特集「先を知るための「読書案内」」の他の記事を読む 世界は、ウクライナ危機一色だ。開戦以前、世界は気候変動対策に取り組もうとしていたが、今や忘れ去られたかのようだ。だがそれではいけない。今こそ大胆な変革が必要である。 コロナ禍は、「最後の危機でも最悪の危機でもなく、今後も続く慢性的な緊急事態の最終リハーサルだ」と警告してきた。それが、人類の経済活動が惑星のあり方を根本から変えてしまった「人新世」という時代の宿命だからである。 パンデミック下で世界の分断は深まった。米中対立の影響が広がり、経済格差も拡大した。そんな中、NATO対ロシアという形の危機が起こったのだ。西側諸国はロシアを共通の敵とし団結しているが、他方で中国やインド、ブラジルなどの国々はそれを冷ややかな目で見ている。 そのような分断は気候危機にとっても致命的である。気候変動対策は本来、極めて限られた短期間に、世界が団結して大きなア