日立と東芝、ソニーとパナ 三度のパラダイムシフトが分けた「昭和企業」の明暗:どこで差がついたのか(1/4 ページ) コロナ禍も1年半が経過して、産業界はこれが一つのパラダイムシフトになったと、確実に実感させられています。歴史を振り返れば、こうした大きな変革は平成以降10年前後の周期でやってきています。そして、高度成長期に大きく花開いたわが国を代表する昭和企業たちは、その都度生き残りをかけて時代の急変革にのまれまいとさまざまな努力をしつつ、何とかここまで生き延びてきたといえるでしょう。 しかし、さすがに平成以降三度目にあたる今回の大変革では、優勝劣敗が明らかに現れたことが見てとれます。その優劣要因はどこにあったのか。また「負け組」昭和企業は生き残りに向けて何が必要なのか、検証していきます。 日本企業が直面した三度のパラダイムシフト まず昭和の終焉(しゅうえん)以降約10年ごとの経済的変革を押
10月1日に適当に書き散らした文章(anond:20211001193856)が2週間以上してからTwitterでリツイートされているのを発見。 はてブを見るとまさかの500越えでびっくり。ブコメを一通り読んだが、言いたいことをわかってくれてるなという人もいれば、全然話がかみ合わないなという人、こんな視点があったのかという人もいて面白かった。 そのうえで、もうちょっと追加で書きたい気分になったので電気自動車の普及プロセスを考えるうえでケーススタディになりそうなディスプレイ産業の話をもう少し書いてみる。 なぜiPhoneXの有機EL採用のインパクトが大きかったのかブコメでも指摘があったが、iPhoneXの前にサムスンがGalaxyで有機EL採用していただろうという話。そのことは当然知っててiPhoneXで有機ELが普及したと書いたわけだけど、その理由はなぜか。 年間の携帯電話生産台数って、サ
今回はこの10年近くの間カメラ業界の話題の中心となり続け、そして今、そのブームに終わりを告げようとしているソニーEマウントについて、ソニーのカメラ業界における功績と罪過を総括したいと思います。 (当時)家電業界から、保守的なカメラ業界に本気で戦いを挑み、イメージセンサーを核とした革新的技術によって時代の寵児となってカメラ業界を牽引してきたソニー。 しかしそのαの熱狂が今、終焉の時を迎えようとしています。 ソニーの躍進 カメラ業界の凋落がソニーに追い風を吹かす ついに訪れたソニーαの黄金期 ソニーの凋落 フルサイズミラーレスというブルーオーシャンの終わり 奪われていくフルサイズミラーレス市場でのシェア ソニーがカメラ業界にもたらした功績と罪過 技術革新によってカメラ業界を進歩させた功績 業界の住み分けを崩壊させた罪過 業界に創造と破壊をもたらしたソニーの未来 果たしてソニーがカメラ業界にもた
大手電機メーカー、パナソニックが揺れている。創業103年目、グループ全体で26万人が働く、日本を代表するものづくり企業だ。しかし、ここ数年、事業売却や撤退の表明が相次いでいる。会社は来年4月に経営トップが9年ぶりに交代する。そして2022年4月には持ち株会社へと移行するという。巨大メーカーは一体どこに向かうのか、取材を進めると根深い課題が横たわっていることが見えてきた。(大阪放送局記者 甲木智和・谷川浩太朗) 格闘家のボブ・サップ氏が金色に輝く巨大なボールを会場に投げ入れ、野太い声で「ディーガ!」と絶叫する。ブルーレイ・DVDの録画再生機の新商品発表会の1シーンだ。会場は明るく、勢いが感じられた。しかし、これは残念ながら最近開かれたものではない。2004年3月、電機業界が“デジタル家電景気”に沸いていたころ、旧松下電器産業が行った記者発表会だ。 かつて薄型テレビやビデオカメラ、冷蔵庫からド
パナソニックが大ピンチ…元社長やライバル幹部たちが明かした「凋落の真相」 家電もダメ、半導体もダメ、充電池も… プラズマテレビで敗戦を喫し、「変わらなきゃ」ともがき続けてきたパナソニック。身を切る改革を山ほど実行したつもりだったが、活路は見出せなかった。漂流する26万人の巨艦はどこへ向かうのか。 「戦犯」の元社長は叙勲 「パナソニックはもう、難しいわな。世界で何十%のシェアを握れるような、『これは』という事業を生み出せなかった。これだけ組織が大きくて技術の範囲が広いと、どれが有望か見出すだけでも簡単じゃないんです」 11月24日の夕刻、大阪府内の自宅で本誌記者にこう語ったのは、'00年から'06年までパナソニック(当時は松下電器産業)社長、'06年から'12年まで同会長を務めた中村邦夫氏(81歳)。在任時に独裁体制を敷いた「天皇」、そしてパナソニック凋落の引き金をひいた「戦犯」と社内では呼
パナソニックでは、充電繰り返し回数の多い「eneloop」と、1回あたりの使用時間が長い「充電式EVOLTA」というように、用途に合わせて選べるようにしているが、量販店などで展示販売されているのは充電式EVOLTAの方が多い。一方で、eneloopは、AmazonではPanasonicのロゴを黒にした製品が用意されたり、コストコでは充電器をセットにしたパッケージ製品が販売されたりしている。 ちなみに、eneloopでは、約2100回の繰り返し充電が可能であり、2019年3月からの新しいJIS規格においても約600回の充電が可能になっている。また、10年後でも残容量は約70%を保持していることから防災グッズとして利用することにも適しているほか、電池の外装が抗菌加工となっているため、複数の人が利用するという環境においても、衛生面での配慮が施されているという特徴がある。 筆者は、10年以上前から
三洋電機が発売していたコンシューマ向け製品の中で、パナソニックに残った代表的な製品が、ニッケル水素充電池「eneloop(エネループ)」だ。その人気は、いまだに衰えない。 しかし、三洋電機時代のエネループ愛用者の間で、最近話題になっていることがある。以前は量販店のレジ周りにドンと置かれていたコーナーがなくなっていたり、広告訴求が少なくなっていたり、あるいは関連商品が減っているということ。つまり、“存在感が弱まりつつある”というのだ。 しかし2013年2月には累計出荷数が2億5千万個を達成し、世界的にもヒットしてきたエネループの存在感は、本当に薄れているのだろうか。 充電池が占める割合、2003年はわずか0.6%だった 「くり返し使うライフスタイル」をキーワードに2005年に誕生したエネループは、21世紀の新たな充電池として、これまでにはない電池の使い方を提案し話題を集めた。 商品が生まれた
日本を代表する電機メーカーが軒並み巨額の赤字に陥っている。経営者たちは円高や欧州不況など外部環境のせいにするが、言い訳に過ぎない。トップが舵取りに失敗し、決断を間違えた瞬間があった。 絶頂からあっという間に転落 '07年に社長となった片山幹雄さんの下で、シャープは大阪・堺市にあった新日鐵の工場跡地に液晶パネルと薄膜太陽電池の超巨大工場を新設しました。 「グリーンフロント堺」と名付けられたこの巨大工場に投じられた資金は、協力会社の分も合わせると実に1兆円。うち3800億円が第10世代と呼ばれる最新鋭の液晶パネル製造工場への投資でした。 液晶ディスプレイの性能と価格を決定する大きな要因は、いかに大型のパネルを作れるかです。堺工場は、40〜60インチの大型ディスプレイの市場が立ち上がることを予測して建設されたものでした。三重県・亀山工場で成功した、液晶ディスプレイからテレビまで一貫して生産する「
最近、日本経済新聞電子版に掲載された中村邦夫パナソニック前会長の言葉に、私はある衝撃を受けました。そして思い出したことは、日本の電機メーカーでの伝統的なソフトウエアの軽視、というより「ソフト嫌い」の伝統です。 この言葉が出てくる記事は、2012年7月2日掲載の「『さらばパナソニック』知られざるカリスマの胸中」です。経営の第一線を退く中村邦夫前会長へのインタビューに基づく記事で、その中にこんな言葉が出てきます。 僕はね、電機業界にはITという隕石(いんせき)みたいなんが落ちてきたんやと、今でもそう思うとるんですわ。 この言葉は、三洋電機の買収(2008年〜2009年)の是非に関する文脈の中で出てくる言葉です。そして、次のように続きます。 ライフスタイルも何もすべてを変えてしまったからね。デジタル化の波が急激にやってきて、われわれのようなメーカーは、さてどうするかと考えねばならなくなった。 こ
11月に、ある大手M新聞社が出版している経済週刊誌から、「日本のテレビ産業壊滅」についての記事執筆を依頼された。筆者は、まず2004年および2007年にすでに壊滅の兆候があったことを指摘した。そして、その兆候から窺える根源的な問題が今日に至って何も解決されていないから、壊滅したのだと結論した。 しかし、編集委員からは「話が古すぎる」と苦言を呈され、すったもんだのやり取りがあった。筆者としては、テレビ産業界に巣食う根源的な病理をえぐったわけで、それにいちゃもんをつけられるとは思わなかった。 話が新しいか古いかなんて、全く本質的な問題ではない。というより、2004年にすでに壊滅の兆候があったことは、今、考えると大きな発見であり、それこそ記事に取り上げるべき大問題であるように思う。 しかし、編集委員は頑なに書き直しを要求した。結局、筆者は、全てを書き直す時間も気力も体力も喪失したため、こちらから
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