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SFに関するreqanuiのブックマーク (72)

  • 資本主義以外の選択肢を模索する、経済学者・政治家によるSF経済書──『クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界』 - 基本読書

    クソったれ資主義が倒れたあとの、もう一つの世界 作者:ヤニス・バルファキス講談社Amazonこの『クソったれ資主義が倒れたあとの、もう一つの世界』は、『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』などで知られる経済学者にして政治家のヤニス・バルファキスによる、資主義に代わる制度についての提言を記した書というか、SF経済書というかといった感じの一冊である。 体裁としては完全にSF小説で、物語で中心になる時代は2025年と現代よりも少し先の未来。中心人物であるギリシャに住むコスタは、ユーザーの欲望を読み取り、それを擬似的に(脳内で)体験させる装置であるHALPEVAMと呼ばれるシステムを構築する過程で、偶然にも平行世界の自分と通信を確立することに成功し、自分(同名の人物でややこしくなるので、作中ではコスティ)とのやりとりを開始することになる。 で、このコスティ

    資本主義以外の選択肢を模索する、経済学者・政治家によるSF経済書──『クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界』 - 基本読書
    reqanui
    reqanui 2022/01/05
    コリイ・ドクトロウのSF小説『マジック・キングダムで落ちぶれて』(2003)でも経済の仕組みは似たような感じだったなあ。労働だけでなく生活の全てが他人からの評価で決まる評価経済社会なのでもっと極端だったけど。
  • 意識せずとも必要な情報を伝えてくれる穏やかなデザインへ──『カーム・テクノロジー 生活に溶け込む情報技術のデザイン』 - 基本読書

    カーム・テクノロジー 生活に溶け込む情報技術のデザイン 作者:アンバー・ケース(Amber Case)発売日: 2020/07/14メディア: 単行現在、生活していく上で身の回りには欠かせない電子機器・パソコン・スマホアプリケーションで溢れている。web会議をするためにはDiscord、zoomといったツールが、チャットツールとしてはSlackがあり、パソコン外の家にも大量の電子機器が存在している。さらには、洗濯機や冷蔵庫、時計に掃除機などあらゆるものがインターネットに繋がって、そのすべてが我々に何らかの情報を伝えたがっている。 数が多いので、我々はそのすべてを注視しているわけにはいかない。そいつらが何かを知らせたい時に全員がピーヒャラピーヒャラ大きな音を立てたらこちらもブチ切れざるを得ないだろう。機械には限界がないかもしれないが、人間の注意力には限界があるからだ。では、どうすればいいの

    意識せずとも必要な情報を伝えてくれる穏やかなデザインへ──『カーム・テクノロジー 生活に溶け込む情報技術のデザイン』 - 基本読書
  • 『君の名は。』への評がいかに快挙か;訳文と感想(ネットで読めるグレッグ・イーガン氏の映画・創作観) - すやすや眠るみたくすらすら書けたら

    録り貯めたお正月の特番を消化しているかたのなかには、3が日に地上波初放送された『天気の子』や8日新年一発目の『金曜ロードSHOW!』神木隆之介さんなど豪華吹替キャストによる『パラサイト』をご覧のかたもいらっしゃるんじゃないでしょうか? 今回の記事は、そんな新海誠監督の前作で神木氏主演『君の名は。』にたいするグレッグ・イーガン氏の評価がいかにすごいか、氏のインタビューやエッセイ(『Avatar Review(「アバター」批評)』『No Intelligence Required Her, Ex Machina and Interstellar(知性は不要――「her/世界でひとつの彼女」、「エクス・マキナ」そして「インターステラー」にとって)』)などを勝手に訳して、氏の映画観・創作観と比べることで確かめてみようという感じのやつです。 訳文文7700字{2230字+5529字(原文730語+

    『君の名は。』への評がいかに快挙か;訳文と感想(ネットで読めるグレッグ・イーガン氏の映画・創作観) - すやすや眠るみたくすらすら書けたら
  • MeaningofLife.tv

    reqanui
    reqanui 2021/03/14
    ダイソン教授へのインタビュー「実際には私ではなく、1930年代のSF作家オラフ・ステープルドンによって発明されました。本当に名前を付けたい場合は、ダイソン球ではなくステープルドン球にする必要があります.…」
  • 10年代SF傑作選から『サハリン島』まで、多数の傑作SFが刊行されたてんこ盛りな2020年を振り返る - 基本読書

    アンソロジーが記憶に残った年 今年を振り返って記憶に残ったのは、やはり10年という区切りの年だったこともあってか優れたアンソロジーが多数刊行されたこと。たとえば、『なめらかな世界と、その敵』の伴名練が編者に入った『2010年代SF傑作選1・2』(大森望・伴名練編)は野崎まどの笑撃作「第五の地平」から小川一水による数学SFの傑作「アリスマ王の愛した魔物」、ベテランから新鋭まで幅広く取り揃えたアンソロジーだ。 2010年代海外SF傑作選 (ハヤカワ文庫SF) 作者:ピーター トライアス,郝 景芳,アナリー ニューイッツ,ピーター ワッツ,サム・J ミラー,チャールズ ユウ,ケン リュウ,陳 楸帆,チャイナ ミエヴィル,カリン ティドベック,テッド チャン発売日: 2020/12/17メディア: 文庫今年は海外編も前回の年代別傑作選から十八年ぶりに『2000年代海外SF傑作選』、『2010年代海

    10年代SF傑作選から『サハリン島』まで、多数の傑作SFが刊行されたてんこ盛りな2020年を振り返る - 基本読書
  • ロボット法と関連するロボット/アンドロイドSFを紹介する - 基本読書

    ロボット法 作者: ウゴパガロ,Ugo Pagallo,新保史生,松尾剛行,工藤郁子,赤坂亮太出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2018/01/30メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見るノンフィクションとSF(を筆頭とした作品)を同時に読んだらおもしろいじゃろう、といつも思っているので、その二つを並列的に紹介する試みをやろう。現実の物理事象がネタ元になっているハードSFを宇宙物理学系のと合わせて紹介してもおもしろいだろうし、ドローン/遺伝子/脳科学/AIと、小説と関連して話を膨らませられる題材も多い……ということで初回は最近盛り上がっている”ロボット”である。 ロボット法については近著で手頃なノンフィクションが二冊あるのでそれを中心にして紹介するとして、一言ロボットといってもそこには無数の広がりがあって、全側面を取り上げることはできないのでまず最初に超古典的な作品、

    ロボット法と関連するロボット/アンドロイドSFを紹介する - 基本読書
    reqanui
    reqanui 2021/01/03
    ロボット法(パガロ)読んだ後にロボット法(平野)を読むとだいぶ読みやすい!と感じる。 その2冊を読んだ後にBEATLESSを読み返すと「これロボット法でやったところだ!」ってのが色々発見できて面白い。免責の条件とか
  • 『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』をダシにして文明再興SFを語る - 基本読書

    この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた 作者: ルイスダートネル,Lewis Dartnell,東郷えりか出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2015/06/16メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る先週末HONZに文明が一旦崩壊したあと、いかにして文明をリスタートさせるのかをテーマにして書かれた『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』の記事を書いたらこれがけっこう読まれていたみたいだ。honz.jp アクセス数とかはわからないけど※この記事を書いた後でアクセス数を見れるようにしてもらえました。 なんかブックマークコメントやTwitterの言及がいっぱいついていた(Twitterの方はみてないけど)。やれ異世界転生物で使えそうだとか、SFでこんなものがあるとか。僕もこの記事を書きながら自分のブログだったらSFへの言及がマシマシになって収拾がつかなくなって

    『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』をダシにして文明再興SFを語る - 基本読書
    reqanui
    reqanui 2020/12/23
    仁木稔の《ヒストリア》シリーズはラテンアメリカとか中央アジアとかそれぞれの地域の文化に根差した独自の文明の再興を描いてたなあ
  • ゾンビが跳梁跋扈する世界で発生する密室殺人──『わざわざゾンビを殺す人間なんていない。』 - 基本読書

    わざわざゾンビを殺す人間なんていない。 作者: 小林泰三,YKBX出版社/メーカー: 一迅社発売日: 2017/06/30メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る「全人類の長期記憶が一斉に不可能になったら」という展開を大真面目に描く『失われた過去と未来の犯罪』。複数世界にまたがって展開するミステリ『クララ殺し』など、「よくそんな設定思いついたな」や「設定を思いついたとしてもよく書こうと思ったな/よく書ききったな」とただ驚愕してしまう作品を昔から連発している小林泰三さんの最新刊は、死んだ哺乳類(人間含む)がゾンビになる世界、ゾンビが当たり前になった世界で起こった密室殺人事件を描くゾンビ・ミステリーだ。 世界観を紹介 ゾンビと一言でいってもいろいろなバリエーションがあるので、世界観含め軽く紹介していこう。まず書のゾンビは、死者が生き返るタイプのもので、噛みつかれた上で"死

    ゾンビが跳梁跋扈する世界で発生する密室殺人──『わざわざゾンビを殺す人間なんていない。』 - 基本読書
    reqanui
    reqanui 2020/12/07
    ゾンビと共存する新しい生活様式
  • 経済 - Analoghack Open Resource

    *資の優位と、速度の時代 21世紀は、経済成長に対して資が常に優位でした。 あらゆる労働よりも資が優位にあり、投資家が社会に対して強力なイニシアチブを発揮し続けました。 資金の動きは、人工知能の補助によって活発になっています。 知的活動を人工知能にアウトソースすることによって、「目配りできる範囲が広がった」「金銭化がスムーズになり形態が多様になった」「経済活動の部分と部分がシームレスに繋がるようになった」ことが、大きな要因です。 高度AIが人間以上の働きを見せ、超高度AIが飛躍をもたらしたことは非常に大きな影響を経済に及ぼしました。ですが、それ以上に、AIの一般化によって、社会と金銭の動きそのものが、タイムラグをほとんど生じないほど滑らかになった高速化・ボーダーの消失が時代の性質を決めました。 22世紀初頭の経済は、もはや人間だけの能力では到底維持が不可能なほど複雑化・高速化していま

    経済 - Analoghack Open Resource
    reqanui
    reqanui 2020/11/10
    『22世紀社会では、経済がミームを制御することはよく知られています。これは経済環境が、ミームに対する淘汰圧として機能するためです。 』なるほどなあ
  • hIE - Analoghack Open Resource

    『BEATLESS』の舞台となる2105年の世界では、アンドロイドは「人間型インタフェース」であり、"道具"として扱われます。 hIEは、人間型をした「道具」です。人間の行動を適切に"まねる"だけで、感情は持っていません。 人間と疑似コミュニケーションするための表層しかありません。 hIEの表情や言動は、画像や音声ファイル、あるいはフィギュアの質感と同じ、ただの「媒体」です。 hIEは「オーナーが信頼できる」程度の行為の一貫性さえ持っていれば、裏側が完璧・理想的なものである必要はない。という考え方で作られています。(※) hIEに人間のかたちの表層を演じさせるプログラムは、莫大な分量の人間の動作から抽出された行動データから作られていて、ネットワーク上のクラウドに存在します。hIEはこれにアクセスして、表層だけプログラム通りに振る舞っているだけのものです。そこに心と呼べるものは一切ありません

    hIE - Analoghack Open Resource
    reqanui
    reqanui 2020/11/08
    『小説中でも、hIEが画面の中心に据えられるシーンでは、hIEの感情をおしはかるような表現は使わないようにしていた記憶があります。』これは実際そう感じたな。
  • 不死を得た世界に、新たな神が現れる。フランス作家による未来への警告──『透明性』 - 基本読書

    透明性 作者:デュガン,マルク発売日: 2020/10/15メディア: 単行この『透明性』は、セネガル生まれのフランス人作家マルク・デュガンによる長篇小説である。書が長篇のフィクションとしては邦初紹介作となるが、これまで13作の小説を刊行していて、映画監督やジャーナリストとしても活躍する、フランスでは名声の確立した作家のようである。FBIのフーバー長官や、ロシアの原子力潜水艦についてなど、過去とその歴史をテーマにした、ノンフィクション的な小説が有名だった著者だが、今回の作品は、2068年頃を舞台にした近未来小説だ。 どのような世界なのか トランパランス(透明性)社の社長の女性とその12人の仲間たちが、世界の金融市場に前例のない攻勢をかけ、全人類を新時代へと投入させることを画策する場面から物語は始まる。彼らは世界の株式が大暴落する事件を起こし、事前に莫大な規模の空売りを仕掛け、グーグル

    不死を得た世界に、新たな神が現れる。フランス作家による未来への警告──『透明性』 - 基本読書
    reqanui
    reqanui 2020/10/16
    カッサンドル・ランモルドティル社長の強烈な危機感と対抗意識に至道流星作品のヒロインっぽさを感じた。至道流星、未来の経済を主軸に据えた小説書くべきだと思うんだよなあ。
  • 究極の経済学小説――グレッグ・イーガン「しあわせの理由」 - 誰が得するんだよこの書評

    経済学では、財は、その使用によってなんらかの効用 utilityを得るための手段です。ここでいう効用とは、快楽であり、幸福であり、欲望の満足です。経済学は財の効率的な分配を研究していますが、それは結局のところ、僕たちが効用を効率的に得るための道具なのです。 そこでこういう疑問が出てきます。では、なぜ効用そのものが直接、売買されないのだろうか。なぜ、しあわせは商品化されないのだろうか。 作は、脳内の物理的状態を変更できるナノマシンによって、しあわせが、いとも容易く得られる世界を描いています。この技術の衝撃はすさまじく、既存の価値観はことごとく破壊され、生きる理由でさえも、どこにも見出せなくなりそうな絶望に襲われます。いや、その絶望ですらも、無意味にしてしまいます。パラメータをちょっといじっただけで完全に消えてしまう程度の絶望なら、はたして絶望と言えるのでしょうか。まあ、同じことは希望にさえ

    究極の経済学小説――グレッグ・イーガン「しあわせの理由」 - 誰が得するんだよこの書評
  • 時間旅行が当たり前になった世界特有の精神病理を描き出す、時間SF✕ミステリ──『時間旅行者のキャンディボックス』 - 基本読書

    時間旅行者のキャンディボックス (創元推理文庫) 作者:ケイト・マスカレナス発売日: 2020/09/10メディア: Kindle版この『時間旅行者のキャンディボックス』はケイト・マスカレナスのデビュー作にして、時間旅行が当たり前に存在する世界での様々な精神的な病を描き出す、時間旅行心理学とでもいうような領域を切り開いた珍しいタイプの時間SFである。 時間旅行はウェルズの『タイムマシン』以降SFではありふれたギミックだけれども、大抵の場合、時間旅行をして「何をなすのか」が重要になる。最近だと歴史改変合戦で自陣の勝利に導くことが目的のアナリー・ニューイッツ『タイムラインの殺人者』が出ているし、ジョディ・テイラー『歴史は不運の繰り返し』は、時間旅行を用いることで歴史事件の調査を行う人々が中心の物語である。一番よくあるのは、『STEINS;GATE』のように、大切な人を守るためや、死や世界の破

    時間旅行が当たり前になった世界特有の精神病理を描き出す、時間SF✕ミステリ──『時間旅行者のキャンディボックス』 - 基本読書
  • 愚かさは病気なのか──『軌道学園都市フロンテラ』 by ジョーン・スロンチェフスキ - 基本読書

    軌道学園都市フロンテラ〈上〉 (創元SF文庫) 作者: ジョーン・スロンチェフスキ,加藤直之,金子浩出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2015/06/29メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る軌道学園都市フロンテラ〈下〉 (創元SF文庫) 作者: ジョーン・スロンチェフスキ,加藤直之,金子浩出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2015/06/29メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る書名にもある通り炭疽菌ケーブルで地球とつながった軌道学園都市フロンテラで繰り広げられるSF版ハリーポーッターとでもいうような恋愛模様に謎の未来スポーツ(無重力スポーツ。主人公の女の子は当然エース)、アリストテレスを主体とした政治学に選挙、全身義体の少女に、放っておくと国家機密にさえアクセスしかねない強迫性のハッカー、それに地球外生命体とのファースト・コンタクト──。 あ

    愚かさは病気なのか──『軌道学園都市フロンテラ』 by ジョーン・スロンチェフスキ - 基本読書
  • 「服は人なり」を突き詰めたらどうなるか──『カエアンの聖衣』 - 基本読書

    カエアンの聖衣〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF) 作者: バリントン・J・ベイリー,大森望出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/03/24メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る読みたい読みたいと願いながらも古で手に入れるのもなあと思っていたのだが、ついにバリントン・J・ベイリー『カエアンの聖衣』が大森望氏の新訳で復活した。ハヤカワ文庫補完計画全70点の復刊ラインナップに早くから記載されていたものだから、最後(3月下旬刊)まで待つことになるとは思わなかったが待った甲斐はある。 衣装SF 作は衣装SFと言われる。それは一つに、『カエアンの聖衣』とついているように、カエアン人と呼ばれる人々が持っている特異な衣装哲学からきている。 カッコいい服を着ることで気分が高揚したり、自信が出てくるように、外見の変質が精神に影響を与えることは多くの人が頷くところであろう。それを発展

    「服は人なり」を突き詰めたらどうなるか──『カエアンの聖衣』 - 基本読書
  • 続きがでなくて悲しかった最近のSFたち - 基本読書

    25日発売のSFマガジン2020年10月号、ハヤカワ文庫SF50周年号で、50周年を記念して渡邊利道さん、鳴庭真人さんと僕の3人で座談会をやっています。 SFマガジン 2020年 10 月号 発売日: 2020/08/25メディア: 雑誌あまり明確なテーマはなくざっくばらんに最近のハヤカワ文庫SFや創元SF文庫について話そう、といったかんじで楽しく話したんですが、その座談会に備えて近年(5年ぐらい)のラインナップを見返したり、どのジャンルが何冊ぐらい出ているのかを数えていたら、「そういえばこれ続きが結局出なかったな……」とか、「というかなんで出なかったんだよ!!」と怨念が蘇ってきたので、供養代わりに記事にしようかと思います。ちなみに早川の編集さんにはその場で続きを出せ! といってます。 ラメズ・ナム『ネクサス(上・下)』 ネクサス(上) (ハヤカワ文庫SF) 作者:ラメズ ナム発売日: 2

    続きがでなくて悲しかった最近のSFたち - 基本読書
    reqanui
    reqanui 2020/08/26
    ニーヴンのノウンスペースシリーズはリングワールドのドラマ化で未訳作がきっと出る!…といいなあ…。パペッティア人の惑星船団が舞台の『Fleet of Worlds』を読みたいんだ。
  • 二人殺すと天使によって地獄に引き摺りこまれるようになった世界で起こる連続殺人事件を描き出す特殊設定ミステリ──『楽園とは探偵の不在なり』 - 基本読書

    楽園とは探偵の不在なり 作者:斜線堂 有紀発売日: 2020/08/20メディア: Kindle書は、メディアワークス文庫から『キネマ探偵カレイドミステリー』でデビューした斜線堂有紀による、二人以上の人間を殺すと天使によって地獄に引き摺りこまれるようになった世界の連続殺人事件を描き出す、特殊設定ミステリの長篇である。 特殊設定ミステリは大好物だが、作の場合は単なる事件とその解決に関連した特殊設定というだけでなく、導入によって社会構造自体が大きく変わる「世界全体に波及するタイプの特殊設定」で、一番好きな部類だ。なので、そのへんをどう描き出してくれるのか、あるいはあまり描き出さないのかと戦々恐々としながら読み始めたのだけど、いやーこれが期待通りの逸品! きちんとこの事象が発生することによって社会がどのように変化したのかを描き出し、なおかつそうした社会構造の変容それ自体が、事件やテーマ部分

    二人殺すと天使によって地獄に引き摺りこまれるようになった世界で起こる連続殺人事件を描き出す特殊設定ミステリ──『楽園とは探偵の不在なり』 - 基本読書
    reqanui
    reqanui 2020/08/24
    チャンの『地獄とは〜』と比較すると本作は天使の降臨が殺人に限られているが故に、社会の変革も人の悪意による理不尽さが増しているのが本当に悲惨。同一の世界観の短編集とかトリビュート企画とか読みたいです。
  • ワイドスクリーン・バロックという言葉を生み出した、複雑怪奇、超絶怒涛の幻の名作SF──『パラドックス・メン』 - 基本読書

    パラドックス・メン (竹書房文庫) 作者: チャールズ・L.ハーネス,Charles L. Harness,中村融出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2019/09/12メディア: 文庫この商品を含むブログを見るこのチャールズ・L・ハーネス『パラドックス・メン』は、1953年に刊行された長篇SFの初の邦訳である。なぜ70年近くも前の作品が今さら翻訳されるのだ、といえば刊行元である竹書房の立ち位置、この企画を実現できる稀有な翻訳者と編集者がいたことであったり色々あるのだけれども、作品に重点をおけば、それはこの『パラドックス・メン』が長らく未邦訳の幻の傑作扱いされていた、という点にある。 というのもSFには〈ワイドスクリーン・バロック〉と呼ばれるSF内ジャンル、作品傾向の呼び名があるが*1、名付け親であるオールディスはまさにこの『パラドックス・メン』を高らかに褒め上げ、初めてその言葉を使ったの

    ワイドスクリーン・バロックという言葉を生み出した、複雑怪奇、超絶怒涛の幻の名作SF──『パラドックス・メン』 - 基本読書
  • 史上もっとも偉大な科学予測の試みとクラークに評された、科学と人類の未来について論じた先駆的名著──『宇宙・肉体・悪魔──理性的精神の敵について』 - 基本読書

    宇宙・肉体・悪魔【新版】――理性的精神の敵について 作者:J・D・バナール発売日: 2020/07/17メディア: 単行この『『宇宙・肉体・悪魔──理性的精神の敵について』』は、X線結晶構造解析のパイオニアであり分子生物学の礎を築いたと言われるJ・D・バナールによる、1929年に刊行された人類の未来について書かれた一冊である。原著が100年近く前であり、過去にみすずで刊行されたのも1972年と、言ってしまえば非常に古臭いである。 僕も今回みすずから新版が出るということではじめて読んだのだけれども、いやはやこれには心底驚かされた。バナールが書で論じたのは、今の我々が暮らす時代よりもさらに先、科学がさらに発展した状況のことであり、人間が身体を機械化し場合によっては宇宙に植民地を広げていくような時にいったい人類にいったい何が起こるのか、という未来のことなのである。そして、その論、そのヴィジ

    史上もっとも偉大な科学予測の試みとクラークに評された、科学と人類の未来について論じた先駆的名著──『宇宙・肉体・悪魔──理性的精神の敵について』 - 基本読書
    reqanui
    reqanui 2020/07/24
    買って読んだ。凄まじい気迫を感じた。『未来の人間は、おそらく幸福は人生の目的ではないということを発見しているであろう。それ以上のことは、われわれには推測さえもすることができない。』
  • 地上で最後の一人となった女性による、美術と哲学と狂気の内面世界を描いた実験小説──『ウィトゲンシュタインの愛人』 - 基本読書

    ウィトゲンシュタインの愛人 作者:デイヴィッド・マークソン発売日: 2020/07/17メディア: Kindle版デイヴィッド・マークソンによるこの『ウィトゲンシュタインの愛人』は、何らかの理由で地球上で最後の一人になった女性が、淡々とその生活と過去のことを記していく自伝風小説だ。「人類最後の一人系」小説とか映画ってそう謳っておきながらも誰かが出てくるものだが、作の場合そういうことはなくずっと独り言である。 ただ、普通の自伝ではない。版元の紹介に〈アメリカ実験小説の最高到達点〉とあり*1、最高到達点かどうかは、実験小説界隈にスキーのジャンプのように明確な計測が(僕の知る限りでは)存在しているわけではないので不明なところもあるが、とにかく実験的小説であることは確かである。というのも、女性はかなりの教養と美術的素養のある人物であることがその語りからは伺えるのだけれども、何十年にも及ぶ孤独な放

    地上で最後の一人となった女性による、美術と哲学と狂気の内面世界を描いた実験小説──『ウィトゲンシュタインの愛人』 - 基本読書