差別って、いったい何だろう 京都部落史研究所月報『こぺる』165号、1991年9月 考えるようになったきっかけ 京都部落史研究所の灘本と申します。今日は、『ちびくろサンボ』を題材に差別問題について考えていこうということで提起をさせていただきます。新聞などで見ておられると思いますけれども、長い間、日本で子どもたちに非常に人気のある絵本として読み継がれてきた『ちびくろサンボ』が、人種差別絵本であるということで、絶版になっており、現在、本屋さんでは買えない状態になっています。私は、今回の『ちびくろサンボ』が批判され、絶版にされていく過程に、現在の差別問題の扱われ方がよく表れており、よくないことであると思っています。「差別」というレッテルが貼られた途端、皆が議論しなくなって、何が本質かわからない間に、出版物が消えていく。消えていったら、それでおしまい。こういうことが本当に差別問題の解決につながるの