リレーエッセイ「ことば紀行」 第34回 「ベラルーシ語」清沢紫織 野外イベントを楽しむベラルーシの若者たち ベラルーシ語 【主な使用地域】 ベラルーシ共和国、ヨーロッパや北米のベラルーシ人コミュニティ 【話者数】 ベラルーシ国内では、約500 万人がベラルーシ語を母語(родная мова) だと考えているが日常的に使用しているのは220 万人ほど。 【使用文字】 キリル文字(稀にラテン文字を用いる話者もいる) ベラルーシ人はベラルーシ語を話さない? ベラルーシ語は19 世紀中頃までロシア語ないしポーランド語の方言に過ぎないとみなされていた言葉である。そんなベラルーシ語だが、19 世紀後半からのベラルーシ人の民族意識の高まりを背景として、次第に作家たちの執筆言語として重要な役割を果たすようになり、さらに言語学者たちによる正書法・辞書・規範文法の整備を経て、20世紀前半までには現代的な標準