前回は802.11ahが、IoTの王道とも言える「センサーデータ(数byte~数十byte)を定期的に送りたい」という環境なら問題なく使えそうだ、というお話をしました。今回はその他の使い方を2つほど考えてみます。 ■任意のタイミングで大きなファイル(数Mbyte~数十Mbyte)を一気に送りたい FTPでもHTTPでも良いので、とにかく送りたいときに大きなファイルを一気に送り切りたい、というパターンです。残念ながらこれは802.11ahと相性があまり良くないと考えています。前回も書いた通り、もともとTCPに備わっている送信速度調整機能はデータ送信後ACKを受信するまでのラウンドトリップ時間を計測することで実現しています。802.11ahでは通信スピード自体はたとえば1Mbpsで、送信制限によって見た目の帯域を1/10にしているだけです。この場合TCPはACKが返ってきた時間から「1Mbps