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ブックマーク / honz.jp (23)

  • 『励起 仁科芳雄と日本の現代物理学』を読む - HONZ

    みなさんは、仁科芳雄という人物をご存知だろうか? 物理学をある程度学んだ者なら必ず知っているし、物理学でなくても、理系の研究者なら、ほぼ間違いなく知っているだろう。わたしも一応は知っていた。「仁科記念賞」という、原子物理学とその応用に関する栄誉ある賞があるし、教科書には「クライン=仁科の式」というものが載っている。仁科は理研(理化学研究所)の人であることや、サイクロトロンを作ったことや、第二次世界大戦中はいわゆる「ニ号研究」をやっていたこと、そして戦後は学術会議の創設に関わったことなども知っていた。(恥ずかしながら書を読んではじめて知ったのだが、いわゆる原爆研究とされる「ニ号研究」というプロジェクト名は、「2」号研究ではなく、仁科から取ったカタカナの「ニ」号なのだそうだ! わたしはそんなことも知らなかった!) というわけで、わたしとしても仁科のことを多少は知っていた、と言えなくもない。だ

    『励起 仁科芳雄と日本の現代物理学』を読む - HONZ
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    sakstyle 2024/01/23
    青木薫の書評/「仁科個人と、その外部とバッサリと切り分けてしまうことは、かえって実態から乖離する」「本書の読みやすさには、ちょっと不思議な気がするほど」 「「われわれは歴史をどう知るのか」という問題」
  • 現在に至る種を広範囲にわたってまきつづけてきた悪魔的な天才──『未来から来た男 ジョン・フォン・ノイマン』 - HONZ

    アナニヨ・バッタチャリヤ (原著), 松井信彦 (翻訳) 出版社: みすず書房 発売日: 2023/9/21 この『未来から来た男 ジョン・フォン・ノイマン』はその名の通りジョン・フォン・ノイマンの伝記である。1903年生まれの1957年没。数学からはじまって、物理学、計算機科学、ゲーム理論、気象学など幅広い分野で革新的な成果をあげつづけ、史上最高の天才など、彼を称える言葉に際限はない。彼と同時代を生きた人物に、クルト・ゲーデルやアルベルト・アインシュタインなどそうそうたる人物が揃っているが、その三人すべてを知る人物も、フォン・ノイマンが飛び抜けて鋭い知性の持ち主だと思っていたと語る。 実際、それが誇張表現ではないぐらい彼が一人で成し遂げたことは凄まじかった。たとえば子どもの頃、フォン・ノイマンは古代ギリシャ語やラテン語をマスターし、母語のハンガリー語だけでなくフランス語、ドイツ語英語

    現在に至る種を広範囲にわたってまきつづけてきた悪魔的な天才──『未来から来た男 ジョン・フォン・ノイマン』 - HONZ
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    sakstyle 2023/10/05
    ノイマンの伝記/「京都に原子爆弾を投下すべきだと主張」とかもしてたのか。骨肉腫になった際の娘の問いかけがすごい
  • 数多の「健康で、長生きする」実践的なメソッドが全部まとまった一冊──『科学的エビデンスにもとづく 100歳まで健康に生きるための25のメソッド』 - HONZ

    数多の「健康で、長生きする」実践的なメソッドが全部まとまった一冊──『科学的エビデンスにもとづく 100歳まで健康に生きるための25のメソッド』 近年、栄養環境の改善や医療技術の進歩によって人間はより長く生きることができるようになった。ただ、ほとんどの人が望んでいるのは、「長く生きる」ことだけでなく、同時に「健康で」あることだろう。糖尿病などの慢性疾患を発病して、永続的な治療が必要ないのであれば、それが幸いである。 そうした状況と科学の進展も合わさってか、『LIFESPAN: 老いなき世界』など、近年「健康に、長生きする」ことにフォーカスしたが多数出るようになった。書『100歳まで健康に生きるための25のメソッド』は、そうした数多ある健康長寿のメソッドを、詳細な科学的エビデンスと共にすべてまとめ、それを実践するために何をしたらいいのかのレクチャーまでしてくれる、実践的な「健康に、長生き

    数多の「健康で、長生きする」実践的なメソッドが全部まとまった一冊──『科学的エビデンスにもとづく 100歳まで健康に生きるための25のメソッド』 - HONZ
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    sakstyle 2022/12/26
    食、運動、健康診断などの予防的な行動、メンタル面
  • ジューディア・パール『因果推論の科学』を読む:統計を、AIを、そして科学について考える人は、ぜひ一読を! - HONZ

    ジューディア・パール『因果推論の科学』を読む:統計を、AIを、そして科学について考える人は、ぜひ一読を! 英語圏ではすでにして評価の高い、ジューディア・パールの大著『因果推論の科学--「なぜ?」の問いにどう答えるか』(原題はThe Book of Why)が、ついに翻訳刊行された。実は私は原書を読みかけて挫折していたのだが、このたび邦訳が出たのを機に、ついに読み通すことができた。そして、書を読み通したことで得たものは大きい。 ジューディア・パールは、人工知能への確率論的アプローチの導入と、ベイジアンネットワークの開発により世界的名声を確立し、「人工知能分野の巨人」とも呼ばれる人物である。ベイジアンネットワークなんて初めて聞くという人もいるかもしれない。人口知能研究の歴史という観点からざっくりその位置づけを説明すると、かつてAI研究は、「エキスパートシステム」と呼ばれるアプローチを採ってい

    ジューディア・パール『因果推論の科学』を読む:統計を、AIを、そして科学について考える人は、ぜひ一読を! - HONZ
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    sakstyle 2022/10/13
    「本書を読むうちに、「科学はwhy?を扱わない」という思想は、私が思う以上に根深いらしいことがわかってきた。」/反事実的推論と因果ダイアグラム
  • 科学の歴史がこの一冊に!──『世界を変えた150の科学の本』 - HONZ

    この『世界を変えた150の科学の』は、科学の歴史上重要とみられる科学ノンフィクションを150冊以上紹介したになる。は270ページだが、大判のフルカラーで、150冊のの中身だったり図版だったり表紙だったりが所狭しと並んでいて、ずっしりと重厚で、中身が詰まっている。記述がおもしろいのはもちろんだが、図版などをぱらぱら見ているだけでも楽しい。 まだという形態がなく、石に刻みつけていたり巻物だったりといった時代から科学のをたどっていき、最後には現代にいたり、近年の2018年に出た科学ノンフィクションも取り扱ってみせる。たとえば、最近のものだとハラリの『サピエンス全史』も(内容というよりかは、英語以外の言語から他言語に翻訳されていった特異性をもって)あげられていたりするので、いまから読むべきサイエンスを探すブックガイドとして読んでもいいだろう。 破滅論者はいつも、は死んだも同然などと

    科学の歴史がこの一冊に!──『世界を変えた150の科学の本』 - HONZ
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    sakstyle 2020/03/05
    「石に刻みつけていたり巻物だったりといった時代から科学の本をたどっていき、最後には現代にいたり」「サイエンス本を探すブックガイド」「科学ノンフィクション史的な観点から読んでもおもしろい」
  • 人文文化と科学文化の融合──『なぜ脳はアートがわかるのか 現代美術史から学ぶ脳科学入門』 - HONZ

    なぜ脳はアートがわかるのか。そんなことをいうと、「いや、そもそも自分にゃさっぱりアートはわからねえ」という人がわらわら湧いて出そうだが、かくいう僕もそのタイプ。真四角の図形をぽこぽこ置いて、赤だの黄色だので適当に塗ったとしか思えない絵が抽象絵でありアートなのだと言われても素人が作ったものとの違いがよくわからないことが多い。 だが、ある意味ではそういう人たちにも読んでほしいだ。これを読むと、なるほど、確かに人間は、そうした一見意味がよくわからない抽象的なアートを「わかる」ことができるのだということが、脳科学的な観点から理解することができるようになる。また、普段からアートを楽しんでいる人たちも、ターナーやモネ、ポロックにデ・クーニングなど無数の画家の作品と脳についての知見を通すことで、一つの解釈として楽しむことができるだろう。著者のエリック・R・カンデルは記憶の神経メカニズムについての研究に

    人文文化と科学文化の融合──『なぜ脳はアートがわかるのか 現代美術史から学ぶ脳科学入門』 - HONZ
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    sakstyle 2019/07/05
    気になってる本
  • 文学を語ることばで科学を語る。『科学する心』 - HONZ

    「あまりに面白くて一晩で一気に読み終えました。この広大なテーマでエッセイを書ける人は他にいません」。池澤夏樹・著『科学する心』の帯に書かれた吉川浩満さんの推薦文です。文学者のことばで科学を語るエッセイ集として話題になっている『科学する心』。このの刊行記念として、三省堂書店池袋店の主催で行われた池澤夏樹さんと吉川浩満さんの対談イベント(4月25日)の模様をダイジェストでお届けします。(HONZ編集部) 池澤:今日はまず、吉川さんに御礼を言わないといけません。このを出す前に、何かとんでもない間違いをしているんじゃないかと心配になって、ゲラをお送りして、目を通していただきました。いわば学術的な査読をお願いした。実際、あちこちにあった間違いを教えていただき、そのおかげで無事に出版できました。大変ありがたいことでした。 吉川:すごく面白くて、一晩で一気に読みました。すぐに編集の方にメールを送っ

    文学を語ることばで科学を語る。『科学する心』 - HONZ
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    sakstyle 2019/06/03
    池澤夏樹エッセイ集刊行記念で吉川浩満との対談イベント
  • 進化の方向性を支配してきた「移動運動」というテーマ──『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか: 生き物の「動き」と「形」の40億年』 - HONZ

    進化の方向性を支配してきた「移動運動」というテーマ──『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか: 生き物の「動き」と「形」の40億年』 今年読んだノンフィクションの中で最高の一冊だ。人間は、鳥は、魚は、なぜ今のような形をしているのか? 偶発的な進化の賜物であって、非機能的で意味をなさない機能の集積が大多数を占めているのか? スティーヴン・ジェイ・グールドは、仮に進化の過程を再現したならば、今とは異なる生物界が現れるだろうと断言したが、当にそうなのか? 今の生物世界は、進化の偶然性に支配された一回限りのものなのか? 否、そうではない! 物理学と運動器官の繋がりから生物を捉え直すことによって、そこには歴史的な流れと明確な帰結が存在しているのだ。 生物とはつまるところ身体という物質だ。そして動き回っているときには、ニュートンの万有引力の法則、てこの原理や流体挙動の法則といった諸々の規則の支配下におかれ

    進化の方向性を支配してきた「移動運動」というテーマ──『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか: 生き物の「動き」と「形」の40億年』 - HONZ
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    sakstyle 2019/03/05
    物理法則と祖先の形態という条件から、「移動運動」というテーマのもと、生物の「かたち」がどのように進化してきたか
  • アメリカ特殊部隊の戦い方を変えた『ドローン情報戦』 - HONZ

    アメリカ陸軍には「デルタフォース」という対テロ特殊部隊が存在する。アメリカのIS掃討作戦の最前線で戦っているのもこの部隊であり、陸軍の最強特殊部隊だ。 秘匿性が高く、その実態はベールにつつまれていたが、同部隊に所属していた元情報分析官による書によって、その最先端の戦い方が明るみになった。無人航空機、通称ドローンが同部隊の情報収集及び攻撃に多大な貢献をしていたのだ。 アメリカ空軍などがドローンを活用していることは既に広く知られているが、特殊部隊がここまで作戦上ドローンを重宝していたとは驚きの事実だ。書は、アメリカ陸軍特殊部隊のドローン戦略最前線、現代版の戦闘を知る上で一級の資料といえよう。出版前にアメリカ軍の検閲にかかったようだが、実際に実行したドローン作戦については削られることなく出版に至っている。 一般的には敵地爆撃や出撃隊の後方援助などにドローンが使われることが多いが、特殊部隊は攻

    アメリカ特殊部隊の戦い方を変えた『ドローン情報戦』 - HONZ
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    sakstyle 2019/01/16
    「本書には2009年から2010年にイラクを撤退するまでのアメリカ軍ドローン作戦の詳細が描かれている」筆者は元デルタフォースの情報分析官。ドローンによる偵察・情報収集について
  • 『宇宙の覇者 ベゾスvsマスク』地球レベルの悲観と、事業レベルの楽観と - HONZ

    イノベーションが加速する条件とは何か? 先端テクノロジーの開花か、組織の多様性か、それともポテンシャルのある市場環境か。様々な要素が考えられるが、最も重要なのは人間離れした男たちの、人間らしい競争意識ではないかーーそんなことを痛感させられる。 書は宇宙ビジネスの最前線を描いた一冊である。数多ある類書と一線を画すのは、イーロン・マスクとジェフ・ベゾスーーこの二人にフォーカスを絞っている点だ。二人の胸のうちに肉薄し、対抗意識を物語の構造に織り込んだ。論争、訴訟、そして心理戦による駆け引き。なにより二人のアプローチが対照的なのである。 宇宙への挑戦は、革新と停滞の物語でもある。全世界を熱狂させたアポロ11号の月面着陸から約半世紀。その間、ロケット技術の進歩はほとんどなかったといっても過言ではない。21世紀初頭にロシアと米国で打ち上げられたロケットは、アポロ時代のものと大差なかったという。それだ

    『宇宙の覇者 ベゾスvsマスク』地球レベルの悲観と、事業レベルの楽観と - HONZ
  • 異なる道筋で進化した「心」を分析する──『タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源』 - HONZ

    タコというのはなかなかに賢い生き物で、その賢さを示すエピソードには事欠かない。 たとえばタコは人間に囚われている時はその状況をよく理解しており、逃げようとするのだが、そのタイミングは必ず人間が見ていない時であるとか。人間を見ると好奇心を持って近づいてくる。海に落ちている貝殻などを道具のように使って身を守る。人間の個体をちゃんと識別して、嫌いなやつには水を吹きかける。瓶の蓋を開けて、中の餌を取り出すことができるなどなど。 タコには5億個ものニューロンがあり(これは犬に近い。人間は1000億個)、脳ではなく腕に3分の2が集まっている。犬と同じニューロンってことは、犬ぐらい賢いのかなと考えてしまいそうになるが、タコは哺乳類らとは進化の成り立ちが根的に異なるので、単純な比較は難しい。では、いったい彼らの知性はどのように生まれ、成り立っているのか。神経系はコストの高い器官だが、それが結果的に生き残

    異なる道筋で進化した「心」を分析する──『タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源』 - HONZ
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    sakstyle 2018/12/16
    タコは何故多くのニューロンを持っているのか→被捕食者との関係が一種の社会的行動? 動きの自由度の高い身体を統御するため?/史上最初の「主観的経験」は?など
  • 『現代経済学 ゲーム理論・行動経済学・制度論』経済学はどこに向かうべきなのか? - HONZ

    経済学とは何か?―こんなシンプルな質問にさえ、今の経済学は答えるのが難しい状況にある。かつて、個々の経済主体の行動から経済全体の動きを理解するミクロ経済学と、GDPなどの集計量から経済全体の動きを扱うマクロ経済学の二つが主流だった頃には、「経済現象を対象とし、それを解明する学問」で済んだものが、20世紀半ば以降、従来の主たる研究対象だった市場メカニズムだけでなく、企業のような市場以外の経済制度も分析対象とするようになり、急速に多様化・複雑化していった。そして、過去30年の間に、書の副題にあるようなゲーム理論や行動経済学や制度論といった新しい手法が次々と生まれてきた。 こうした中で、書は、経済学とは何かという答えを示す代わりに、現在の経済学の広範で多様な様相を整理することで、そもそもなぜこの問いに対して簡潔に答えるのが難しいのか、経済学はなぜそれほどまでに複雑になったのか、そして経済学

    『現代経済学 ゲーム理論・行動経済学・制度論』経済学はどこに向かうべきなのか? - HONZ
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    sakstyle 2018/11/08
    制度的存在としての人間
  • 『交雑する人類』 古代DNAが世界史を書き換える! - HONZ

    ゲノム革命は我々の想像を超える速度で進行している。ワトソンとクリックが生命のセントラルドグマを解き明かしてからわずか半世紀と少しの間に、PCRやCRISPR−Cas9などの革新的な技術が次々と開発され、SFの世界にしか存在しないと思われたような成果を次々と現実のものとしている。遺伝子共有サイトのデータが迷宮入りしていた凶悪犯罪の犯人を追い詰めたという事例にも見られるように、その影響は多岐にわたり、私たちの生活のあらゆる面を大きく変える力を持つ。 中でも2009年以降に急速に発展した古代DNAの全ゲノム研究の発展は特筆に値する。この分野はマックス・プランク進化人類学研究所のスヴァンテ・ペーボによって確立され、ネアンデルタール人と現生人類の直接の祖先が交配していたことを明らかにした。だが、古代DNA解析が明らかにするのは、単に各種旧人類とホモ・サピエンスとの交雑の有無だけではない。古代DNA革

    『交雑する人類』 古代DNAが世界史を書き換える! - HONZ
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    sakstyle 2018/08/23
    筆者はペーボのプロジェクトに参加していた人/ミトコンドリアDNAではなく全ゲノム分析→出アフリカの新シナリオ/ゴースト集団/右派の似非科学に利用されないためにも研究をという主張も
  • 『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』 - HONZ

    私は、1年のうち少なくとも3ヶ月は、海外で恐竜化石調査を行っている。主な調査地は、モンゴル・アラスカ・カナダ・中国、そして日である。2017年4月には、北海道むかわ町穂別から発見された日で最初の大型恐竜の全身骨格について、発表をした。全長8メートルのハドロサウルス科という恐竜で、全身の8割以上が揃っている、世紀の大発見だ。私の研究は、それだけではない。恐竜から鳥類への進化の過程についても研究をしている。爬虫類的な恐竜から、鳥型の恐竜へと進化していくそのプロセスに注目しているのだ。脳の進化、消化器官の進化、翼の進化など、「恐竜の鳥化」というものをキャリアのテーマとしている。私だけではなく、世界中の恐竜研究者の成果によって、最近では「鳥は恐竜である」ということが定着してきた。つまり、世界中の鳥類研究者は、“恐竜研究者”ということになる。 * 最初に『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』が出版され

    『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』 - HONZ
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    sakstyle 2018/07/06
    ダイナソー小林による文庫解説のダイナソー小林っぷり
  • 自然と全力で格闘する科学者たちの姿『生物模倣――自然界に学ぶイノベーションの現場から』 - HONZ

    生物模倣、バイオミミクリーという用語がある。 これは端的にいってしまえばアリやハチが持っている、生物が進化の果てに築き上げた独自の機能を模倣し、技術として取り込もうという考え方のことである。書では、そうしたバイオミミクリー(または、「生物に着想を得た」バイオインスパイアード)の事例──具体的には、イカにナマコ、ゴキブリにヤモリ、生態系そのものから着想を得て、迷彩スーツ、火星探査ローパーに装甲ロボット、持続可能都市と、ありとあらゆるものへ活かそうとする各種研究が紹介されていく。その道のりにはまだまだわからないこと、解決しなければならない問題が数多くあるが、世界を一変させる可能性を持っている。 効率は自然の多くの形態や機能を動かす強力な推進力であり、バイオインスピレーションによる技術開発でも高い価値のある長所となる。進化による際立った新基軸のいくつかは、進化が限られた資源を使ったり、厳しい環

    自然と全力で格闘する科学者たちの姿『生物模倣――自然界に学ぶイノベーションの現場から』 - HONZ
  • 九歳でロケット、十四歳で核融合炉を作った「天才」──『太陽を創った少年』 - HONZ

    この世には「ギフテッド」と呼ばれる神から与えられたとしか思えない才能を持つ凄い人間たちがいる。そのうちの一人がアメリカ、アーカンソー州のテイラー・ウィルソン少年だ。彼は9歳で高度なロケットを”理解した上で“作り上げ、14歳にして5億度のプラズマコア中で原子をたがいに衝突させる反応炉をつくって、当時の史上最年少で核融合の達成を成し遂げてみせた。 彼は核融合炉を作り上げるだけで止まらずに、そこで得た知見と技術を元に兵器を探知するための中性子を利用した(兵器用核分裂物資がコンテナなどの中に入っていると、中性子がその物質の核分裂反応を誘発しガンマ線が出るので、検出できる)、兵器探知装置をつくるなど、その技術を次々と世の中にために活かし始めている。書は、そんな少年のこれまでの歩みについて書かれた一冊であり、同時にそうした「少年の両親が、いかにしてのびのびと成長し、核融合炉をつくれる環境を構築してき

    九歳でロケット、十四歳で核融合炉を作った「天才」──『太陽を創った少年』 - HONZ
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    sakstyle 2018/05/25
    親が(も)すげぇ……。どんなに子どもを信頼して、子どもの才能を伸ばしたいと思ってても、核融合炉を作れるだけの教育と環境を与えられる人、ほとんどいないでしょ……
  • 『幻の惑星ヴァルカン』 それはいかにして「発見」され、いかにして葬り去られたのか - HONZ

    水・金・地・火・木・土・天・海・冥。かつてそう教えられた太陽系惑星のなかから、2006年に冥王星が除外されたことは記憶に新しい。だがじつは、19世紀後半にはそれら惑星候補のなかにもうひとつ別の名前が挙げられていた。書の主役は、その幻の惑星たる「ヴァルカン」である。 ヴァルカンはその生い立ちからして冥王星とは異なっている。というのも、そもそもそんな星は存在すらしていなかったからだ。では、存在しないものがいかにして「発見」され、そして最終的に葬り去られることになったのか。書は、その誕生前夜から臨終までを、関係する天文学者や物理学者にスポットを当てながら、ドラマ仕立てに描いていく。 ストーリーは、17世紀後半、ニュートン力学の登場から始まる。周知のように、その偉大なる体系は、惑星の運動を含む広範な現象の統一的説明を可能にした。いや、説明だけではない。驚くべきことに、その体系は未知の現象に対す

    『幻の惑星ヴァルカン』 それはいかにして「発見」され、いかにして葬り去られたのか - HONZ
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    sakstyle 2017/11/11
    “だがその一方で、ときとしてヴァルカンは「発見」されてしまう。アマチュアの天文家の間で、ひいては熟達した天文学者の間で、それを見つけたという声が繰り返し上がってくるのである。”
  • 「生物とは何か」を問い直す──『生物はウイルスが進化させた 巨大ウイルスが語る新たな生命像』 - HONZ

    『巨大ウイルスと第4のドメイン』を筆頭に魅力的なウイルス論、入門を書いてきた著者による最新作『生物はウイルスが進化させた』は、「生物」に対する見方を根底から覆す、最新のウイルス研究成果についての一冊だ。多くの野心的な仮説と、確かにそうかもと思わせる検証でぐっと惹きつけ、読み終えた時にはウイルスに対する考え方が大きく変わっていることだろう。 まさにそれによって、「生物とは何か」「ウイルスとは何か」、そして「生物の進化とは何か」を問い直す「コペルニクス的な転回」を余儀なくされる、そんな存在こそが「巨大ウイルス」なのかもしれないのである。 内容的にはいくらか過去作との内容の重複もあるが、ウイルスとは何か、細菌との違いといった基的なところの説明から、従来のウイルス観を覆す巨大ウイルスとは何か、その特異性とは──と話をつなげ、”そもそもウイルスの定義とはどうあるべきなのだろうか”と最終章にてこれま

    「生物とは何か」を問い直す──『生物はウイルスが進化させた 巨大ウイルスが語る新たな生命像』 - HONZ
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    sakstyle 2017/05/05
    “多くの野心的な仮説と、確かにそうかもと思わせる検証でぐっと惹きつけ、読み終えた時にはウイルスに対する考え方が大きく変わっていることだろう。”
  • 『文化進化論 ダーウィン進化論は文化を説明できるか』 文化も生物のように変異し、競争にさらされ、受け継がれていく - HONZ

    文化進化論 ダーウィン進化論は文化を説明できるか』 文化も生物のように変異し、競争にさらされ、受け継がれていく ダーウィン進化論は、信じられないほど少ない仮定で、驚くほど多くのことを説明してしまう。なにしろ、100万種以上といわれるほど多様で、かつその1つ1つが複雑な機能を備えている生命が、どのように実現されているかを誰もが理解できるように示してみせたのだから、驚異という他ない。またダーウィン進化論は、DNAがどのように遺伝情報を継承しているかというミクロな視点から、種が集団としてどのように発展するかというマクロな世界までを考えるための共通土台を提供することで、あらゆるレベルでの生物への理解を深めるために欠かせない存在となっている。 それでは、進化の果てに生み出されたヒトが作り出す文化について、我々はどれほど理解しているだろう。文化がどのように生まれ、伝達され、発展もしくは衰退するのか、

    『文化進化論 ダーウィン進化論は文化を説明できるか』 文化も生物のように変異し、競争にさらされ、受け継がれていく - HONZ
  • 『生命の星の条件を探る』「信念」を「科学」に変える - HONZ

    地球以外のどこかに、生命の星は存在するのか?  書はその謎に、地球惑星システム科学という観点からアプローチした一冊である。著者の阿部豊さんは、数えきれないほどの思考実験と分野横断的な分析を繰り返し、ある確信へと到達する。だがそんな彼を、突然病魔が襲う。 解説の阿部彩子さんは、共同研究者として、そしてとして阿部豊さんを支えてきた人物。彼女の目を見た書の読みどころを、特別掲載いたします。(HONZ編集部) 「信念」を「科学」に変える もしも、地球にある水の量をいまの10分の1に減らしたら何が起こるだろうか? 私たちが2011年に『アストロバイオロジー』という科学ジャーナルに発表した研究論文、「陸惑星の生存限界」のなかで答えようとした問題のひとつです。 私の夫、阿部豊の専門は「地球惑星システム科学」というべきもので、いわば地球物理学、地質学、鉱物学、地理学などの垣根を統合し、包括的にこの惑

    『生命の星の条件を探る』「信念」を「科学」に変える - HONZ
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    sakstyle 2015/08/28
    “水の量の少ない「陸惑星」のほうが、全球凍結や暴走温室効果が起こりにくく、環境がはるかに安定している”/科学者を目指したきっかけは、リー・バートン『せいめいのれきし』!