十二指腸潰瘍の人は胃がんになるリスク半分-との研究データを東大の研究グループがゲノム(全遺伝情報)解析によって突き止めた。「遺伝子レベルでの裏付けは報告がなく、世界で初めての研究成果」(東大)としている。5日付の米国の遺伝学専門誌「ネイチャー・ジェネティクス」(電子版)に掲載された。 研究したのは東大医科学研究所の松田浩一准教授と谷川千津研究員らだ。ゲノム研究の第一人者である同研究所の中村祐輔教授のチームに所属する。松田准教授らは理化学研究所などと共同で、平成15年から集積した7072人の十二指腸潰瘍患者と2万6116人の健常者のDNAについてゲノム解析した。 その結果、長短2つのタンパク質を作る遺伝子の違いを発見。短いタイプを持つ人では十二指腸潰瘍になる率が長いタイプを持つ人に比べ2・2倍と高いのに対し、胃がんにかかる率は0・56倍と低くなるデータを得た。これまでは疫学データで同様の傾向