故桂枝雀師匠の落語を聴くのが大好きである。 生き急いだ(逝き急いだ?)この大天才の落語に出会えた事は、大げさに言えば私の人生の大きな収穫のひとつである。 師の「爆笑落語」を批判する向きも多いと聞くけれど、私は断然支持するものである。 渋滞中のフリーウェイや、ラスベガスまでの四時間半の道のりに枝雀師の噺を聞くのは、私にはなによりの楽しみ一つだ。 さて、落語には本編に入るまでの前フリとして「枕(まくら)」と呼ばれるものがある。 大抵は本編に関連したお話である「枕」でスタートして、そこから聴衆の興味を引き付けつつ本編に入って行くというのが落語のパターンなのは良く知られている通り。 枝雀師匠の得意な「枕」の中に、私が「科学まくら」と名付けたものが二つある。 一つは「リニア・モーター・カー」 この「枕」は「三十石」や「住吉駕籠」などの「旅もの」で聞くことができる。 師匠のハナシの面白おかしさを私の筆