進化の先端走るトゲネズミ [08/05/05] 大阪科学医療グループ・長崎緑子 鹿児島県の奄美大島と徳之島でそれぞれ絶滅の危機にあるトゲネズミの仲間は、不思議な動物だ。雄になることを決めるY染色体がなくなっているのに、ちゃんと雄が生まれる。そこに、沖縄本島だけにいるオキナワトゲネズミが3月、30年ぶりに捕獲された。国の天然記念物であるこれら近縁3種を比べて「性決定」の謎を解く研究が始まった。 ◇雄なのにY染色体がない 沖縄本島北部の密林で3月に捕まったオキナワトゲネズミは雄1匹、雌3匹、雄雌がはっきりしない子ども1匹の計5匹。絶滅が心配され続けていただけに、「生存確認」は、環境省や地元で保護運動を続けてきた関係者をほっとさせた。 体長の計測などがすむと、死んだ雌1匹をのぞき、すぐに密林に放された。ただ、どのネズミもしっぽの先端が5ミリほど切り取られていた。染色体を調べるためだ。 「しっ