「行政は最少の支出で最大の効果を生み出さなければならない。この保養施設の購入は、その原則からかけ離れている」 静岡県の伊豆半島南東部に位置する河(かわ)津(づ)町。かつては川端康成の小説「伊豆の踊子」の舞台にもなった温泉地で、東京都渋谷区が昨年10月にオープンした保養施設「河津さくらの里 しぶや」の効果に、区議の一人が疑問を呈する。 「オープン」とは言っても、開業からわずか1カ月余りで目玉施設の大浴場が建て替え工事に入り、老朽化の激しかった東館も解体が決定、営業しているのは本館のみだ。宿泊客は大浴場が再開予定の「今年の秋ごろ」(区担当者)まで、近くの公営温泉に行き、「借り湯」をする必要がある。 河津町は、早春には早咲きで有名なカワヅザクラ(河津桜)が咲き誇り、都心から特急1本で行けることもあって、行楽シーズンには多くの観光客が訪れるが、この保養施設の開業からの平均稼働率は約4割にとどまって