なぜ警察が動くのか 警視庁が、2016年秋口から2つの会員制月刊誌への名誉毀損捜査を開始している。 『FACTA』(ファクタ出版)と『エルネオス』(エルネオス出版社)――質の高い的確な情報を、年間購読契約を結んだ企業幹部やマスコミ関係者、官僚や政界関係者に向けて発信している月刊誌で、事情通の間では広く知られている。 問題となったのは、いずれも朝鮮総連中央本部が入居する総連ビル(東京都千代田区)の売却に関する記事である。 「北朝鮮の事実上の大使館」である総連ビルは、競売にかけられて混乱の末、15年1月28日、山形県の倉庫業、グリーンフォーリスト(グ社)が44億円で買収し、総連のダミー会社的存在のグ社によって総連の継続使用が決まった。 これを受けて、両誌は15年3月号に掲載。いずれも顛末を過不足なく報じるもので、速報性に欠けるためか掲載は1ページに留まったものの、内容は「なぜグ社だったのか」を