第1 労働基準法の「労働者」の判断 l、労働基準法第9条は、その適用対象である「労働者」を「・・・・・使用される者で、賃金を支払われる者をいう」と規定している.これによれは、「労働者」であるか否か、すなわち「労働者性」の有無は「使用される=指揮監督下の労働」という労務提供の形態及び「賃金支払」という報酬の労務に対する対償性、すなわち報酬が提供された労務に対するものであるかどうかということによって判断されることとなる。 この二つの基準を総称して、「使用従属性」と呼ぶこととする。 2、しかしながら、現実には、指揮監督の程度及び態様の多様性、報酬の性格の不明確さ等から、具体的事例では、「指揮監督下の労働」であるか、「貸金支払」が行われているかということが明確性を欠き、これらの基準によって「労働者性」の判断をすることが困難な場合がある。このような限界的事例については、「使用従属性」の有無、す
当ホームページの趣旨 私ことDr.Kは、長年の会社経験と多くの転職経験の中で、様々な会社の理不尽・労働者への不当な圧迫を経験してきました。 繰り返す失業生活の中で、ふと出会った電子掲示板。 そこには労働者の労働法を知らない事による多くの悩みが寄せられていました。 私の知識の中でお答えできる内容がほとんどだったことと、 世の中で私以外にもたくさんの人が会社の理不尽に悩まされている実際の声を聞いて、自分の使命に思い当たりました。 自分は労働者・失業者のための社会保険労務士をやろうと。 そのようなことでこのホームページは、会社の理不尽に悩む労働者の相互激励のための広場として開設しました。 掲示板では、働くことに関するすべてのことについて、あなたのご感想をお待ちしております。 「礼儀」 労働は契約であり、企業と労働者は、自由な意思による対等な立場で契約を結び、互いに契約相手方を尊
雇用政策を大きく分ければ、企業内での雇用維持を中心に考える内部労働市場政策と、企業内外の流動性促進を中心に考える外部労働市場政策に分けられる。日本では1960年代から1970年代初めにかけては外部労働市場志向型であり、1966年に制定された雇用対策法では「職業能力と職種を中心とする近代的労働市場の形成」を目指していた。ところが石油ショック以降1990年代初めにかけての時期には、できるだけ解雇や退職を回避して、企業内部で雇用を継続することが政策目標とされた。 高齢者雇用政策においても、上記雇用対策法では中高年齢者雇用率制度によって、企業の外側にいてなかなか就職できない中高年齢者を企業に割り当てて就職させるという政策手法をとっていた。ところが1970年代以降、高齢者雇用政策の中心は定年延長や継続雇用に移り、もっぱら企業内部にいる労働者の雇用継続が中心課題とされ、外部労働市場政策は関心が薄れた。
日本における外国人政策は、江戸幕府が横浜等の開港に踏み切り、外国人居留地を設けた1859年に始まります。周知のように、欧米列強との通商条約では、外国人の居留は居留地に限られた代わりに、在留外国人には日本の法令は適用されず、領事裁判権が認められました。この状態は明治政府になっても変わらず、1899年にようやく不平等条約の改正が実現し、領事裁判権とともに居留地も廃止され、「内地雑居」が始まることになります。 ところが、中国や朝鮮との関係はこれとは異なっていました。1871年の日清修好条規は相互に領事裁判権を認める対等条約でしたし、1876年の日朝修好条規は日本だけが領事裁判権を有する逆不平等条約でした。中国人には領事裁判権が認められているのですから居留地外の居留はできませんが、朝鮮人には領事裁判権がないので内地雑居が認められていました。ちなみに同様の扱いであった国はメキシコ、ハワイ、ブラジルで
近年、労働者派遣システムの周辺が法政策の大きな問題となっている。しかしながら、特にマスコミ報道や政治家の認識は、偽装請負がケシカランとか、日雇い派遣を禁止すべきだといった、いささか近視眼的リーガリズムに偏している嫌いがある。これらがいわゆる就職氷河期世代の就業形態としてワーキングプアの一形態となっているのは確かだが、請負をやめて派遣に切り替え、日雇い派遣を直用の日雇いにすれば、ワーキングプアがなくなるわけではなかろう。対処すべき社会学的問題と法制度論を実証的論理なしに安易につなげると、大山鳴動して・・・ということになりかねない(これは、企業がワーキングプアという社会学的問題に対処すべき責任が重大であるということとは別問題である)。 一方、労働者派遣法の法政策については、これまで規制緩和が一方的に推し進められてきたが、社会の雰囲気の変化もあって、規制強化論がかなり強まってきている。このこと自
近年賃金制度論が再び労働問題の焦点に復活してきた。振り返れば、1960年代まで賃金論の中心はヒト本位の年功制か仕事本位の職務給かという賃金制度論にあり、労働市場の近代化という大義名分の下で同一労働同一賃金原則に基づく職務給制度を唱道する経営側と政府側に対して、口では同一賃金原則を唱えながら実際には中高年層の賃金を引き下げるからと反対する労働側が対峙していたのである。ところが、日経連が有名な『能力主義管理』を公表したころから、経営側がヒト本位の職能給に立場を替えてしまい、政労使とも年功的に運用される職能給という点で一致してしまった。経営側が職務遂行能力の査定権限という形で労働者への支配を確保すると同時に、労働側は実質的に年齢別生計費に応じた生活給を確保したわけである。 これに対する原理的な批判は二カ所から生ずる。第一は生活給システムをあるべき市場原理に反するとして批判する立場である。経済理論
国ナビを使って予算編成を行うのは、総理大臣や内閣の閣僚である。では国ナビや自治ナビを使った新たな予算編成のプロセスは、いかなるものになるだろうか。想像力を膨らませて、近未来の予算編成期に、実際にどのように国ナビが使われるのか思い描いてみよう。 --------------------------------------- いよいよ予算編成の時期がやってきた。予算案をとりまとめなければならない。 内閣総理大臣は、首相官邸の執務室で、プロジェクターでスクリーンに投影された国ナビのシートの前でずいぶん長い間考えこんでいた。 彼の頭の中には、まず予算に盛り込まねばならない政策項目があった。それは、自分がマニフェスト(政権公約)で国民に約束した政策の重点項目や、圧力団体や地方からの要望が多い景気対策、連立与党が厳しく要求する社会保障政策の充実などである。 そうした政策を実行するためには予算的にいくら
せっかく「労働契約法」が成立したというのに、何を時代遅れなことを云っているのだと言われそうだが、これは最近とみに痛感していることである。 労働契約法の制定過程では就業規則法理が大きな論点となったが、その際特に労働側から、「就業規則に依拠して、労働契約についていろいろな問題を解決しようとしてきたことが、労働契約法理の健全な発展を妨げてきた」とか、「契約法上は、契約というのは当事者双方の合意であり、合意がなければ法的効果は何も発生しないはず」とか、「市民社会のルールの基本的な契約のルールというのは当事者の合意」といった発言が繰り返された。しかしながら、こういった民法の私的自治原則にのみ立脚して労働関係を構成するならば、労働者の利害の共通性に立脚してその労働条件を集団的・斉一的に規律しようとしてきた労働法独自の労使自治原則は否定されることになる。 そもそも、契約の自由を基本原理とする市民法のもと
近年、格差拡大や貧困の問題が大きな社会問題となってきている。新自由主義的な構造改革路線に対する熱狂が2005年の郵政選挙で頂点に達した後、国民の意識は一気に足もとの現実に向かい始めたようである。本誌が、ほぼ1年前の2006年11月号に続き、再び格差社会を特集に取り上げたのも、この問題への関心の高さを物語っていよう。 筆者は、2006年1月以来、連合総研の「現代福祉国家への新しい道−日本における総合戦略」研究委員会に参加し、労働を中心とした福祉社会の新たなビジョンの構築に取り組んできた。この研究委員会の成果は、『福祉ガバナンス宣言−市場と国家を超えて』と題して、昨年11月に日本経済評論社から刊行されている。 筆者が執筆したのはそのうち「第1章 生涯を通じたいいい仕事−福祉社会のコア」の部分であるが、同書の中で今日的にもっとも議論を呼ぶテーマはおそらく、駒村康平氏と後藤玲子氏が取り組んでいる所
いこ☆るオリジナル クリアファイル好評販売中 クリアファイルをつくりました。ご愛用していただけたら、とってもうれしいです。 価 格 300円(3枚1組) 詳しくはこちらをご覧下さい。 いこ☆る連続講座 ハラスメントに負けないために 安心して働けますか?あなたの職場! *2008年 10月25日(土)午後 1:30〜 4:30 これってパワー・ハラスメント? 三木 啓子さん *2008年 11月15日(土)午後 1:30〜 4:30 わたしは悪くない! 周藤 由美子さん *2008年 11月29日(土)午後 1:30〜 4:30 日本にもハラスメント規制法を! 大橋 さゆりさん 会 場 ドーンセンター 詳しい内容はこちらをご覧下さい。 いこ☆る パワハラ・セクハラ ホットライン いこ☆る連続講座「ハラスメントに負けないために」開催に伴い電話相談を実施します。ぜひご利用くださ
今日、労働者派遣法をめぐって、規制緩和を求める側と規制強化を求める側とがせめぎ合っている。その論点は様々であるが、いささか奇妙に見えるのが事前面接をめぐる問題である。 労働者派遣法26条7項は、派遣先が「派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない」と規定している。これは、派遣労働者を派遣先に派遣する行為は派遣元による労働者の配置にほかならず、派遣先に派遣労働者のうちだれを派遣するかを決定するのは雇用関係のある派遣元であり、にもかかわらず派遣先が派遣労働者を特定する場合には、派遣先と派遣労働者との間に雇用関係が成立すると判断される蓋然性が高くなり、労働者供給に該当する可能性があるからであると説明されている。 ところが、規制改革会議や日本経団連は、派遣就労前に事前面接を行い適性を確認することはミスマッチや就労開始後のトラブルを避けるためにも必要であるとか、労働者
2006年はマスコミや政治家が一斉に格差社会を問題にした年でした。皮切りは2005年12月末に毎日新聞で始まった連載記事「縦並び社会」で、「視点:格差社会考」と題する論説記事と併せてこの問題をリードしました。世間へのインパクトという点で大きかったのは、NHKが7月に放映した「ワーキングプア−働いても働いても豊かになれない」でしょう。政府側でも、「労働経済白書」が所得格差の問題を取り上げ、特に若者における非正規雇用の増大が将来的な格差拡大につながっていきかねないことに警鐘を鳴らしました。国外からも、OECDの対日審査報告書が所得不平等と貧困の問題に一節を割いています。構造改革路線に対する熱狂の季節が過ぎ、格差拡大に対する懸念が政治的課題としてクローズアップされてくる中で、安倍政権は「再チャレンジ支援」を掲げ、格差の固定化を防ぐ「成長力底上げ戦略」を進めました。 これに対し、野党の民主党もよう
先ほどの風間さんのお話に出た福井秀夫さんとは、私は今同じ大学におります。福井さんはもともと建設省のお役人で、定期借地権、定期借家権でいわゆる規制緩和の旗頭のような存在ですが、いつのまにか労働の分野に出てきて、現在、規制改革会議の労働タスクフォースの主査をされていて、いろいろなことをおっしゃっている。それに対して、一応労働の関係でずっとやってきた人間として、反論すべきところは反論しなければいけないと思って、いろいろとしゃべったり書いたりしています。 実は、ここ1週間ばかり私は“戦争状態”にあります。私はブログを書いているんですが、池田信夫さんという方が、福井さんと似たようなことを言っていて、要は、役所も企業も組合も左翼も全部フリーターの敵であると。組合というのはギルドで、既得権を握りしめて放さない。そのつけが全部あなた方フリーターに回ってきているのだと。だから、組合を全部なくして、解雇を自由
今日、世界的に雇用労働者と自営業者の狭間に位置する人々の問題が政策課題としてクローズアップされてきている。国際的なレベルでは、本号の鎌田論文が紹介しているように、ILOにおいて「契約労働」や「雇用関係」という形で議論されてきているし、日本でも労働契約法制研究会報告で「雇用と自営の中間的な働き方に従事する者への対応」が取り上げられた。 本稿では、EUレベルでのこの問題に対する法政策の試みを概観するとともに、EU加盟国レベルで既になされている法的対応を若干紹介したい。 その前に、この問題の法的概念整理を試みておこう。雇用労働者と自営業者の区別が問題になるのは、両者が労務サービスを提供するという点で共通性があるからである。日本の民法では、請負ないし委任(一般的には「委託」)という契約類型で労務サービスを提供する者が問題になる。雇用とこれらとの区別の基準は明快なようでよく考えると実は曖昧な面がある
本章においては、現在のEU諸国における労働者代表制、労使協議制、労働者参加制など、広い意味の労働者参加システムのあり方を概観する。 その前提として、EUにおいて近年再び労働者参加が政策課題として浮かび上がってきた背景を簡単に説明しておく。EU市場統合の進展やその拡大とともに、中国やインドなどの勃興による経済のグローバル化はEU企業に大幅なリストラクチュアリングを余儀なくしている。EUが世界経済に生き残っていくためにはEU企業が競争力を維持しなければならず、そのために「変化」は不可欠である、というのがEU当局の基本的な考え方である。2002年1月に労使に提示された「変化を予測し管理する−企業リストラクチュアリングの社会的側面へのダイナミックなアプローチ」は言う。リストラクチュアリングによる生産性の向上と新技術の導入は、たとえそれが社会的な痛みを伴うとしても進めなければならない。無視したり反対
企業、事業所の意思決定にそこで働く労働者を何らかの形で関与させることは、支配従属関係による雇用労働が一般化した産業革命以後、社会主義や労働運動の課題の一つであった。しかしながら、欧州先進国における労働運動の主流は、企業内部の意思決定権限は使用者に委ねつつ、企業の外側に労働組合という自発的結社を形成し、企業外部(産業レベルないし全国レベル)の団体交渉により賃金労働時間その他の労働条件を決定して企業に強制するというメカニズムの確立を優先した。 とはいえ、労務管理や労働法規制が複雑化する中で、企業、事業所レベルのさまざまな問題解決のために労働者を関与させる仕組みが必要となり、国ごとにさまざまな仕組みが形成された。大きく分ければ、企業外部の労働組合とは別機関として企業内労働者代表システムを設ける国、労働組合の一機関として企業内システムを構築する国、両者を組み合わせた国になる。 これが近年再びクロー
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