取り調べの様子を録画したDVDをNHKに提供したのは刑事訴訟法が禁じる証拠の目的外使用として、大阪地検が佐田元真己弁護士を大阪弁護士会に懲戒請求した問題で、同弁護士会の綱紀委員会が懲戒審査を求めないと議決したことがわかった。同委員会は「弁護士の品位を失う非行にはあたらない」とし、懲戒の必要はないと判断した。 今後、具体的な処分内容を決める懲戒委員会に諮られることはないが、地検は今回の議決に不服があれば、日本弁護士連合会に異議を申し出ることができる。 大阪地裁は2011年7月、傷害致死事件の裁判員裁判で、取り調べの様子が録画され、地検が証拠提出したDVDの映像を根拠にして、供述調書の信用性を否定し、男性被告に無罪判決を言い渡した。 判決確定後、佐田元弁護士は男性の承諾を得たうえでDVDをNHKに提供。NHKは昨年4月と同9月の報道番組で、男性の顔をぼかすなど映像や音声を一部加工して放送した。