その昔、1980年代末かな、『SFの本』という雑誌に、福本直美という非常に優秀な評論家が「マイクル・コニイはお小説様の作家である」とかなんとかいう題名の、実に鋭い評論を書いていて、ぼくはそれを読んで、マイクル・コニイってあまりソリがあいそうにないなーと思ってサンリオ時代には手に取らなかったのだった。うちにあるということは、いつか読んでもいいか、くらいには思っていたのかな? でも実際には読まなかった。『ブロントメク!』も『ハローサマー、グッドバイ』も。 その評論の主旨というのは、確かコニイの作品は基本的に主人公が身勝手で独善的で、それを厚顔なまでのナルシズムで正当化しているんだ、というものだったように記憶している。『ハローサマー、グッドバイ』の主人公は、自分は特権階級のパシリ小役人の息子としていい思いをさせてもらってるだけなのに、なんか反抗期の青臭い正義感を口先だけでたぎらせていい気になって