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◇メディア、腕の見せどころ 英国BBC放送の超人気テレビ番組に、「イエス・ミニスター」(かしこまりました、大臣)というのがあった。本紙でも最近の特派員記事で取り上げていた(9月14日付)。筆者も、かつて本コラムで言及したことがある。政治家と官僚との虚々実々の攻防をこれほどまでに鋭く可笑(おか)しく活写したドラマはほかにない。続編の「イエス・プライムミニスター」(かしこまりました、総理)を含めて、1980年代のシリーズものテレビ番組の世界に君臨した。 脱官僚政治を掲げた政権が発足したので、筆者は目下、この番組の録画を改めて最初から鑑賞し直している。ほとんど全セリフを暗記するほどに繰り返し見ている作品ではあるのだが、今回は、また感慨ひとしおだ。 テレビ番組の宣伝のために紙幅を費やすつもりはない。だが、あまりにも時宜を得ている。攻める政にも、守る官にも、これは必見バイブルだ。 どこまでが政治で、
1700993。95年の東京都知事選で初当選した故青島幸男氏は得票数を刻んだタイピンを胸に、逆風の都議会に臨んだ。与党なき議会と巨大な官僚組織に単身乗り込み、無党派層の絶大な支持こそが支えだったのだろう。 四面楚歌(そか)の中、青島氏は臨海副都心開発の起爆剤として進んでいた世界都市博覧会を公約通り中止した。記者会見では「都市博をやる、やらないでなく、青島は約束を守れる男か、守れない男か、信義にかかわる問題だ」と声を張り上げた。まだマニフェスト(政権公約)という横文字も見ない時代。公約というものは形骸(けいがい)化し、政治不信が広がっていた。走りだした公共事業の中止などあり得なかった。「何かが変わる」と高揚したのは、取材していた私だけではなかった。 しかし振り返れば、決断の評価を定めるのは難しい。工事を請け負うはずの中小企業は相次ぎ倒産、融資あっせんや補償にも多くの費用がかかった。臨海副都心
鳩山由起夫・民主党代表の論文の抜粋が米紙に転載され「日米関係に波紋を広げた」と報道された。論文では「イラク戦争の失敗と米国の金融危機によって、米国主導のグローバリズムの時代は終わり、世界は米国一極支配から多極化の時代へ向かうだろう」と指摘する一方、日米同盟は「日本外交の基軸であり続ける」とも述べている。 一体どこが米国を怒らせるほどの内容なのか。至極まっとうな見解ではないか。90年代、冷戦後の世界経済を主導しようと、米国は最も得意とする金融業とIT産業を結びつける一大市場を作り出した。これに地球(グローブ)全体を巻き込んでいこうという戦略がグローバリズムである。 米国は各国をこの市場に参加させようと働きかけ、日本も規制緩和、市場開放、自由競争などの構造改革路線を選んだ。だが規制のない地球市場が行き着く先は、すべての価値を金銭に換算し、日本と外国の労働者を競争させ、どちらが安上がりかを選ぶ世
◇年金、医療…切り捨てられ静かな怒り 都会の「限界集落」と呼ばれる戸山団地にも、政権交代を求める風が吹いた。年金、医療、そして介護。老後の安心が揺らぐ中で、初めて民主党に1票を託した人も少なくない。「切り捨てられた」という静かな怒りを受け止めることができるのか。新政権は重い課題を背負っている。【工藤哲、林哲平、長野宏美】 ◇次世代に、よい社会を どんよりとした空から、小さな雨粒が落ちる。30日朝、団地前の新宿区立西戸山小に設けられた投票所には、50メートル近い列ができた。団地の高齢化率は5割を超え、住民の4人に1人を75歳以上のお年寄りが占める。投票所でも、付き添いの人に支えられながらつえをついて歩く人や、車いすに乗ってスロープを上る人の姿が目立つ。 「苦しい生活を強いられている国民の気持ちを無視している」。夫婦で投票に訪れた男性(70)は、何十年も自民党を熱心に支持してきたが、今回は民主
1999年から続いた自民、公明の連立政権下では、個人情報保護法の制定をはじめ、「表現・報道の自由」への規制が強まった。この約10年は、インターネットなど本格的なデジタル社会の到来で、新聞事業が大きく揺さぶられた時期とも重なる。衆院選(30日投・開票)で誕生する新政権に望むメディア政策について、ジャーナリストの原寿雄氏、服部孝章・立教大教授、音好宏・上智大教授の3人に聞いた。【臺宏士】 ■新聞への公的支援論議を--ジャーナリスト・原寿雄氏 インターネットの普及によって、読者離れと広告離れが深刻化し、いまのままでは日本の少なくない新聞が廃刊や経営規模の縮小を迫られるのは必至だ。不動産収入や映画製作への参加など本業以外をみても、新聞を支えてきた購読料と広告料に代わる収入源は見つからない。 米国ではより深刻で、1紙しか残らない地域も増えているようだ。インターネットは、オピニオンを飛躍的に発展させた
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