猛暑が続く先月下旬。都庁前で行われた無料の食品配布会で、小柄な高齢女性が静かに話した。「何もかも高い。ちょっと前は3本で100円だったニンジンが、今はたった1本でそれくらい。ここはトマトもキュウリもただでもらえて、楽しみ」。帽子を目深にかぶり、つえを握って、食品を受け取るための列に並んでいた。(中村真暁)
猛暑の本格化と足並みを合わせるよう、新型コロナウイルスの第11波が到来しつつある。喉の痛みに止まらぬせきなど、特有の症状に直面する人々はいま、別の悩みも突きつけられる。コロナ治療薬の高さだ。頭がふらつく中でも価格におののき、処方をためらう人もいるという。「経済格差」「健康はカネ次第」。そんな言葉も浮かぶ現状を改めなくていいものか。(山田雄之、木原育子)
7月19日、筆者が代表を務めるNPO法人POSSEの学生スタッフ等は、厚労省で記者会見を行い、2023年度の生活相談記録の集計・分析から、若者の「見えないホームレス化」が広がっているのではないかという問題提起と、国や自治体への政策提言を行った。 記者会見の様子 去る4月26日、厚労省は今年1月時点の全国のホームレスの人数が2820人で過去最小となったと発表した。初回調査の2万5296人から大幅に減少しており、行政のホームレス対策が功を奏したように見える。 しかし、2023年度にPOSSEの生活相談窓口に寄せられた若者(10代〜30代)の相談304件のうち、139件(45.7%)が「ホームレス」状態であった。若者の多くはネットカフェや友人宅に滞在していたり、実家にはいるものの家族からの虐待などにより、安心して家にいることができない状況に置かれていた。 本記事では、記者会見の内容をもとに、若者
2023年7月4日、厚生労働省から『国民生活基礎調査』の最新値が公表された。21年の相対的貧困率は15.4%。経済協力開発機構(OECD)が公表する各国の貧困率の最新値でみると、米国(15.1%)、韓国(15.3%)に抜かれ先進国最悪となった。『ルポ貧困大国アメリカ』が大ベストセラーになった08年から15年、日本は貧困大国になろうとしている。 相対的貧困率は改善しているが…… 厚生労働省は、国民生活基礎調査をもとに3年ごとに相対的貧困率を公表している。相対的貧困率とは、等価可処分所得が中間値の半分未満の世帯員の割合を指す。 日本では127万円未満が基準となり、おおよそ6.5人に1人が貧困状態にある計算になる。なお、以降は慣例にならい相対的貧困率を、単に貧困率と表記する。 前回調査時点の18年の貧困率からは0.3ポイント改善した。子どもの貧困率は2.5ポイント改善して11.5%に、ひとり親世
コロナ禍は明け、街ににぎわいが戻ってきた。日経平均株価は一時バブル期を超え、賃上げなど景気のいいニュースが流れる。だが、昨年の生活保護の申請件数はここ10年あまりで最多を記録し、今年に入っても増えているという。何が起きているのか、生活困窮者の支援現場を訪れた。 東京都庁(新宿区)の真下のスペースで毎週土曜、生活困窮者向けに無料で食料が配布されている。NPО法人「自立生活サポートセンター・もやい」と支援団体「新宿ごはんプラス」が、新型コロナウイルスの感染が広がった2020年4月に始めた。約100人だった利用者は増え続け、23年5月の新型コロナの5類移行後も700人近くで高止まりしているという。 取材に訪れた日、開始1時間ほど前から、長い列ができていた。配られたのはレトルトカレーやビスケット、トマトなど7点。列に並ぶ人たちにここに来た事情やちまたで流れるニュースについて、どう感じているのか尋ね
ジニ係数とは? ジニ係数(Gini Coefficient)とは、所得などの分布を表す指標であり、主に国民の経済計算などに使われる。1936年にイタリアの統計学者「コラド・ジニ」が提唱したもので、主に世帯数と所得の分布から計算される。 <ジニ係数の参考図> ジニ係数は0から1の間で推移し、0に近いほど所得格差が小さく、1に近いほど所得格差が大きいことを表す。一般的な目安は「0.5」であり、この数値を超えると是正が必要になるといわれている。 当初所得ジニ係数 ジニ係数には2つの種類があり、税金や社会保険料を支払う前の所得を基準にしたものは「当初所得ジニ係数」と呼ばれる。社会保険や公的年金からの給付は含まれないため、当初所得ジニ係数からは所得再配分前の格差を分析できる。 再配分所得ジニ係数 一方で、税金や社会保険料を支払った後の所得を基準にしたものは、「再分配所得ジニ係数」と呼ばれる。この所得
多くのエッセンシャルワーカーもワーキングプアの状態にある(画像はイメージ写真) fadlikus/Shutterstock <生産年齢の有業者の約半分が年収300万円以下で、600万円以上は2割もいない> 社会は、国民の一定数が働くことで成り立っている。働く人が働かない人を支えるという意味で、前者に対する後者の比率は「従属係数」と言われる。高齢化の進展もあり、この値は年々高まる一方だ。 生産年齢人口(15~64歳)と高齢人口(65歳以上)を並べてみると、1950年頃は前者12人で後者1人を支える「お神輿」型だったが、今世紀の初頭に3人で1人を支える「騎馬戦」型になり、近い将来には「1:1」の「肩車」型になるという。これでは社会が成り立たないと、社会保障制度の見直しについて議論されたり、高齢者の役割革新が促されたりしている。 なお、支える側(働く人)も一枚岩ではない。従業地位では正規雇用、非
","naka5":"<!-- BFF501 PC記事下(中⑤企画)パーツ=1541 --><!--株価検索 中⑤企画-->","naka6":"<!-- BFF486 PC記事下(中⑥デジ編)パーツ=8826 --><!-- /news/esi/ichikiji/c6/default.htm -->","naka6Sp":"<!-- BFF3053 SP記事下(中⑥デジ編)パーツ=8826 -->","adcreative72":"<!-- BFF920 広告枠)ADCREATIVE-72 こんな特集も -->\n<!-- Ad BGN -->\n<!-- dfptag PC誘導枠5行 ★ここから -->\n<div class=\"p_infeed_list_wrapper\" id=\"p_infeed_list1\">\n <div class=\"p_infeed_list\">
いったいどこまでこの国は、愚策のツケを“氷河期世代”に払わせるつもりなのか。 政府は16日、今年の「骨太の方針」を決定し、退職一時金課税制度を見直し、労働移動を促すことが盛り込まれた。企業があの手この手で講じてきた“45歳過ぎたらお引き取り願いたい策”に加え、国が「会社に長くいてもいいことな~にもないから。次行こっ! 次!」という増税策に踏み切ったわけだ。 退職所得課税に白羽の矢がたったのは、リストラの嵐が吹き荒れた1990年代初頭だ。「退職所得課税って、経済復活の邪魔になるんじゃね?」という経済成長の阻害要因説が指摘され、その後は賃金の高いシニア世代をなんとしてでも切りたい大御所たちが、「優遇措置があるから転職しない」だの、「優遇措置があるから会社にしがみつく輩が増える」だの、「雇用の流動化の邪魔」だの難癖をつけ続けた。 そして今回、岸田文雄政権が掲げる「新しい資本主義」と「どうにかして
「格差」は隠蔽されたか 格差拡大が話題になり始めたころ、政府、財界、そして一部のマスコミは、躍起になって格差拡大の事実を否定しようとした。 最初の段階では、都合のいい統計データを示しながら、「格差は拡大していない」と言い張った。いくつもの指標が格差拡大を示していることを否定できなくなると、「格差拡大は見せかけだ」と言いだした。 OECDが、日本の貧困率は先進国のなかで米国に次いで高いと発表すると、「この貧困率の計算方法は日本にはあてはまらない」などと言い張った。さらに統計的な証拠が集まって、格差が実質的にも拡大していることが否定できなくなると、「格差があるのは当然だ」と開き直った。 こうして政府が、格差拡大と貧困の増大という事実から目を背け、開き直り、対策を怠っているうちに、日本社会は取り返しがつかないほどに変質してしまった。その結果が、前回の記事(平均年収186万円…日本に現れた新たな「
行財政専門情報サービス 全国の新聞社43社と共同通信社が提供する行財政ニュースサービスです。中央省庁や多くの自治体でご利用いただいています。 【ニューヨーク共同】国連児童基金(ユニセフ)は14日、先進国中心の経済協力開発機構(OECD)や欧州連合(EU)に加盟する41カ国の子どもの貧困や不平等の状況を順位付けした報告書を発表した。対象にした10分野のうち、日本は「貧困の撲滅」で23位、家庭の所得格差を比べた「不平等の削減」で32位と下位だった。 日本は「飢餓の解消と栄養改善」や「働きがいのある人間らしい仕事」の分野でいずれも1位だが、相対的な貧困割合や所得格差に課題を残した。日本のデータを提供した首都大学東京の阿部彩教授は「特に底辺に属する子どもの状況が厳しいことが分かった」と指摘した。
2012年の日本の相対的貧困率は16.1%と過去最悪を更新した。相対的貧困率とは、国民の所得分布の中央値の半分(2012年は122万円)未満である状態を示す。相対的貧困率には所有する資産は考慮されていないが、誤解を恐れずに単純化すると日本人の6人に1人が貧困状態にあるということだ。今年1月時点の生活保護受給者も217万人と過去最多に上る。 「貧困は自己責任」「本人の努力が足りない」――。 貧困世帯には時として厳しい批判が飛ぶ。だが本当にそうなのか。病気、ケガ、介護、転職、失業……誰にでも起こりうる事態をきっかけに、人々は「安定」からいとも簡単に滑り落ちていくのだ。 年収1200万円の生活が一転 「まさかこんなことになるなんて……」 50代の男性はそう嘆く。彼はかつて誰もがうらやむエリートビジネスマンだった。外資系IT企業を渡り歩いてキャリアアップ。ピーク時の年収は1200万円に上り、充実し
はたしてアメリカは、ほんとうにインフレで幸せになったのでしょうか。 アメリカは国民が金融資産の半分以上を株式でもっている国ですから、単純に考えれば、「株価が上がることは、国民の金融資産が増えること」を意味しています。しかし実際には、一握りの富裕層が金融資産の平均保有額を押し上げているだけで、国民の大半は金融資産をあまりもっていないという状況にあります。 株価を上げることで、景気回復を図るのは邪道 株価が上がり続ける一方で、国民の所得はなかなか増えず、しかも物価が上がり続けているということは、名目以上に実質的な所得は減る傾向にあり、国民生活が苦しくなりつつあることにほかなりません。 FRBのバーナンキ議長は「原因」と「結果」を取り違えました。景気回復の結果として株価が上がるのが経済の正しい道筋であり、株価を上げることで景気回復を図るのは邪道というほかありません。邪道な政策ではどこかに無理が生
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く