それでも事業が続けられたのは、障害者1人当たり1日5840円支給される自立支援給付費を障害者給与に充当させていたことに加え、障害者を新規に雇用することにより3年間で1人当たり最高240万円の助成金(特定求職者雇用開発助成金:特開金)を受け取ることができたからである。 昨年4月、厚労省が全国のA型に通達を出して給付費の給与充当を禁止したことから、経営が続けられなくなったとされている。ここでは、「不祥事」の背景として3つの要因を取り上げる。 第1の要因は、A型の会計制度である。行政から事業所に支払われる自立支援給付費という名の補助金は、そこでの作業内容や利用者の生産性とは無関係に何人の障害者が何日間通ったかによって決まっている。 たとえば、施設を利用する障害者の数が20人以下で、障害者7.5人当たり1人の職員が配置されている事業所では、障害者が1日施設を利用すると5840円の給付費が支給される
なぜ人は働くのだろうか。理由はいくつもある。「収入のため」「自己実現のため」、そして「社会に役立つため」などさまざまだ。それは、障害のある人もない人も変わらない。 障害者雇用促進法が改正され、4月から法定雇用率が2.2%に上がった。また、これまで法定雇用率の算定基礎に入っていなかった「精神障害者」が新たに加えられた。 精神障害者の雇用を進めなければならないが… 昨今よく話題になり、身近になってきた発達障害は、多くの場合「精神障害者保健福祉手帳」を取得しているため「精神障害」に含まれる。勤労可能な状況にある知的障害者で企業などに雇用されている人も少なくなく、法定雇用率を達成するには、精神障害者の採用を増やす必要があるというが、雇用主側としては雇用経験が乏しいため、対応に追われているのが実情だ。 障害者の就労は、近年急速に増えている。2016年度にハローワークに新規で求職の申し込みをした障害者
先日、世界中から5000人以上が参加する世界最大級の支援技術やユニバーサルデザイン、アクセシビリティのカンファレンス「CSUN2018」(障がい者のための支援技術会議)に参加してきた。第33回目となる今年は、アメリカはサン・ディエゴで3日間にわたって開催。その会場で展示されていたアイテムを紹介していきたい。 障がい者雇用のバリアを取り払うビジネス関連ツール日本では2018年4月から、障がい者の法定雇用率が段階的に引き上げられる。東京パラリンピックを控え、パラスポーツ選手は売り手市場が続くというが、狭き門だ。多くの企業は、現場での雇用を検討することになるだろう。展示会場ではビジネス関連ツールが多く並び、世界的にも障がい者雇用に関して積極的な姿勢がうかがえた。 まずはそのなかの1つ、聴覚障がい者向けの電話CaptioCall(https://captioncall.com/)をご紹介しよう。
通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。1997年から日本の「ひきこもり 」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したの かを調査。新刊は『ルポ「8050問題」高齢親子〝ひきこもり死〟の現場から 』(河 出新書) 他に『ルポ ひきこもり未満』(集英社新書)『ひきこもる女性たち』(ベ スト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『あのとき、大川小学校で何 が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。KHJ全国ひきこも り家族会連合会本部広報担当理事。東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会 委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』 「引きこもり」するオトナたち 「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそ
観光庁は、ホテル・旅館などの宿泊施設や旅行会社、観光案内所など観光関係従事者向けに、「高齢の方・障害のある方などをお迎えするための接遇マニュアル」を作成した。観光庁のホームページで公表した。 マニュアルでは、「宿泊施設編」「旅行業編」「観光地域編」の3編を作成。マニュアル作成の背景から活用方法、ユニバーサルツーリズムを推進する必要性や社会的背景、基本的情報などに加え、業種ごとの対応シーンに分けたポイントも整理した。例えば旅行業編では「情報提供」「申し込み・相談」「ツアー催行時」「緊急時・非常時の対応」などのシーンが想定されている。 同マニュアルは2017年2月策定の「ユニバーサルデザイン2020行動計画」で、取りまとめることが定められた。超高齢化が進展するなか、人口に占める高齢者や障害者の割合は3割以上を占めており、今後の対応がさらに増加することが予想される。また、2020年の東京オリンピ
4月からの精神障害者の雇用義務化と法定雇用率の引上げを前に、厚生労働省は、経団連、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会の3団体に対し、障害者の雇用促進と職場定着に向けた取組みを要請した。牧原秀樹副大臣が、各団体の専務理事に要請書を手交している。 要請書では、雇用義務のある企業の3割程度が障害者を全く雇用していなかったり、精神障害者などの職場定着が難しいケースがあるなど、様ざまな課題が残されていると指摘。…
左から山本博司会長代理(公明)、川崎会長、石橋事務局次長、穴見事務局長 超党派の国会議員による「障害者の安定雇用・安心就労をめざす議員連盟」が2月27日、設立総会を開いた。会長には自民党の川崎二郎・元厚生労働大臣が、事務局長には穴見陽一氏(自民)が就いた。障害者にとってインクルーシブ(包摂的)でディーセント(働きがいのある人間らしい)な雇用・就労の場を確保するため、雇用と福祉の施策を一体的に立案・展開できる体制づくりを目指す。 略称は「インクルーシブ雇用議連」(与野党の議員約80人)とする。当面は障害者雇用の実態(就業率、雇用形態など)を調査するよう厚労省に求める。川崎会長は「議連にする以上は法律を作るのか議論する。提言できる議連にしたい」とあいさつした。 議連の前身となる勉強会は2016年11月に発足。17年12月20日には加藤勝信・厚労大臣に対し、「福祉と雇用の施策を横断的に審議できる
クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。 マイクリップ一覧へ 愛知労働基準協会(大野智彦会長)は、愛知県内企業の人事労務担当者ら約40人を対象に、障害者を積極的に活用している中電ウイング㈱への見学会と、障害者雇用促進に向けた講習会を開催した。 見学会では、障害に応じた仕事の配分方法などについて視察。たとえば、知的障害者は、包装などの軽微な定型業務に配置している。 続く講習会では、福島大学の長谷川珠子准教授が、合理的配慮に関して説明した(写真)。「配置転換については、環境変化が症状を悪化させる恐れがあるため、主治医などの意見を踏まえることが求められる。また、健常者以上に業務上の必要性が重視される」とした。
「大きな戦力になる」 今年4月の改正障害者雇用促進法施行で、企業などが雇うべき障害者の割合(法定雇用率)が0.2%引き上げられ、2.2%になる。女性が出産や子育てと仕事を両立させるのはただでさえ難しいが、障害があれば、困難の度合いはさらに高まる。能力を発揮するためには、一定の配慮や適切な対応が必要だ。 昨年12月、大阪府摂津市のダイキン工業テクノロジー・イノベーションセンターに、同社の管理職ら約100人が集まった。今春、7人の障害者が入社するのを前に、受け入れる社員らに必要な心構えなどを専門家が語る講演会。講師を務めたのは、聴覚障害があり、ユニバーサルデザインのコンサルティング会社「ミライロ」の薄葉幸恵(うすば・ゆきえ)さん(42)だ。 薄葉さんは、肢体不自由で車いすを使う場合は通路の幅を広くする▽視覚障害の場合はものごとを判断するための情報が少ないため、あいまいな言葉は使わない-など、個
『この地獄を生きるのだ うつ病、生活保護。死ねなかった私が「再生」するまで。』(小林エリコ/イースト・プレス) 短大卒業後に就職したブラック職場でメンタルをむしばまれ、自殺をはかるも一命をとりとめる。その後、精神病院に入院し、生活保護を受けることで「絶望のふちに追い込まれた」という小林エリコさんによる『この地獄を生きるのだ うつ病、生活保護。死ねなかった私が「再生」するまで。』(イースト・プレス)は、貧困と心の病気がテーマになっている。 出版した当初、「『生活保護を受けてラクしやがって』とか『精神病は甘えだ』的な批判が一定数来る」と思っていたそうだ。しかし実際には「読んでよかった」の声が圧倒的に多かったという。そんな状況を「少し落ち着かない(笑)」とはにかみながら語る小林さんに、生活保護と精神障がい者の置かれた現実について伺いました。 ■20世紀末は、ブラック企業に対する注意喚起が薄かった
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