経済学者ヨーゼフ・シュンペーターのイノベーション論 所長「ときに榊田くん、キミは創造的破壊という言葉を知ってるかね」 榊田「もちろん知ってます」 所長「ふむ。では、誰が言った言葉ですか」 榊田「えーっと、それは……。ニーチェでしたっけ、それともサルトルだったかな」 所長「またいい加減なこと言って。この名言を世に送り出したのは19世紀から20世紀にかけて活躍した経済学者ヨーゼフ・シュンペーターです」 榊田「でも創造的破壊って、イノベーションの言い換えじゃなかったでしたっけ。なのにどうして経済学者がイノベーションに言及したんだろ」 所長「シュンペーターは馬車から機関車のような非連続的な経済発展の原動力になるもの、これこそがイノベーションだと考えたからですよ」 榊田「経済発展の原動力がイノベーション──」 所長「そしてイノベーションを巻き起こすには、既存の物や力の結合をいったん解き放ち、物や力を