出版デジタル機構――出版物の電子化支援を掲げこの4月に設立された同組織は、日本の電子書籍市場に欠けていた最後のピースなのだろうか。彼らが何を目指しているのか、あるいは胸にはどんな思いを秘めているのか、その輪郭を掴むべく、今回直接経営陣に話を聞いた。 「日本で電子書籍が普及しないのはなぜなのか?」 「使い勝手が悪い電子書籍を使うくらいなら“自炊”した方が良い」 「電子書籍元年から3年近く経つのにKindleはまだ上陸しないのか?」 日本の電子書籍を巡る状況は、ユーザーの側から見て決して理想的なものとは言えない。多くの試みがなされ、実際にさまざまなサービスが登場するも、ユーザー、そして業界が期待したほどにはまだ普及が進んでいない。 2010年から電子書籍の動向を追ってきた筆者は、その原因の1つに「タイトル数の少なさ」を挙げてきた。消費者にとって、本、そして本を扱う書店は、ヒット作さえあれば良い