20年ほど前、ある伝統的な大企業が大卒社員のリクルーティング広告を出した。全国紙での全面広告だったから記憶にある方もいるかもしれない。細かい部分までは覚えていないが、確か「我が社は、奇想天外なアイデアを持つ人を大切にしたい」というようなコピーだった。 広告の内容は、その会社で行ったある商品開発の会議でのエピソード。1人の若い社員が、ばかばかしいぐらいの“コペルニクス的転換”を持ったアイデアを発表したのだが、いくらなんでも「それはない」ということで、その提案は却下された。だが、そのエピソードを聞いた社長は、「そういう発想を持った若者こそ、我が社が求める人材だ」と感じた……という話である。 当時、僕は25歳だったと記憶しているが、この広告を見た率直な感想として、「この会社はだめだな」と思ったのを覚えている。というのは、広告に書かれていた若者のアイデアというのが、結構“いい線”をいっていたからだ