『ぷるぷるの夜』 NHK新人落語大賞を受賞することができた。 やりたいことに対して素直に向き合い続けてきた結果、気付けば従来の落語家像の外側を歩きがちな十数年だった。枠からはみ出た活動スタイルは当然ながら大多数との差別化に繋がり、そのことで声がかかった仕事や出会えた人は多い。一方で、伝統芸能でもあるこの世界においてそういう道を歩むということで自ずと手放さざるを得ないものもあって、その一つには『NHK新人落語大賞』も含まれていた。伝統あるこの大会において、多様性の担保、つまりは賑やかしとして本選に出られる日が来たとしても、そこで自分が大賞を獲れることはまずないだろうと決めつけていた。落語道のまん真ん中を歩いている方が受賞するべき賞だと他ならぬ自分自身がそう思っていた。だからまさか自分の落語人生がNHK新人落語大賞を受賞する世界線につながっているとは想像していなかった。時にこんな思いがけないご
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