ノーベル平和賞の記念メダルを掲げるマララ・ユスフザイさん(左)とカイラシュ・サティヤルティさん=ノルウェー・オスロ市庁舎で2014年12月10日午後1時33分、金子淳撮影 「素晴らしいのは、インドの父がパキスタンの娘に出会えたことだ」。昨年12月、ノルウェー・オスロ市庁舎で開かれたノーベル平和賞の授賞式。児童労働根絶に取り組むインドの受賞者、カイラシュ・サティヤルティさん(61)は上気した様子でこう語った。演説の途中で原稿を見失い、アドリブで言ったセリフだったが、会場から盛大な拍手を受けた。「パキスタンの娘」というのはもちろん、同時受賞したマララ・ユスフザイさん(17)のこと。1947年の分離独立以来、3度の戦火を交えた敵対国の同時受賞となった一連の行事の中で、最も牧歌的な一幕だった。 ノーベル平和賞はしばしば「政治的な賞」と批判される。選考には受賞者の実績ではなく、ノーベル委員会の政治的