1990年代以降、日本の教育は、制度改革とカリキュラム改革を進めてきた。目先の改善策だけにとらわれていると泥沼にはまる。何が問題にされ、どこへ向かうのか、広い目で考えてみる必要がある。 『教育改革――共生時代の学校づくり 』 藤田英典/岩波新書 社会学者としての冷静でバランスのとれた現実主義的な目と、教育学者としての高い理想とが、見事に結びついた名著。教育改革を標榜する政策は、本書出版後、大きな展開(迷走、と呼ぶべきか)があったけれども、本書の議論は今でも鋭く急所をついている。 『教育基本法を考える――心を法律で律すべきか』 市川昭午/教育開発研究所 著者は、中央教育審議会のメンバーとして教育基本法改正を審議する過程に居合わせた。審議のあり方がいかにずさんなものであったのかを明らかにしている。目配りのきいた議論で、教育基本法改正問題の全体像がよく理解できる。