きょう日銀の金融政策決定会合が終わったが、誰も関心をもたない。金融政策では何もできないことがわかったからだ。ゆるゆると景気拡大が続いている原因は、日銀が国債や株式などを買う「日銀の財政政策」による資産インフレだが、それも長期金利がゼロになったら終わりで、あとは銀行のバランスシートが劣化するだけだ。 本書はこの20年、政治に振り回されてきた日銀の歴史のおさらいだが、気になるのは登場人物がそろって「景気と財政再建のトレードオフ」の変数として消費税率を想定していることだ。実際には、それより大きなデフレ要因があった。OECDの集計では社会保障支出は20年で1.5倍に増え、社会保険料の負担は消費税の3倍以上になった。 社会保障関係費と称する特別会計の赤字補填が一般会計の1/3に達するのは世界にも類をみない財政構造だが、この状況でマネタリーベースを3倍以上に増やしても可処分所得は減る一方だから、物価は
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