中央省庁や都道府県でまん延する障害者雇用の水増し問題を受け、元裁判所事務官の男性が「横浜家裁に勤務していた二十三年前、障害者として名前を使わせるよう上司から求められた」と本紙に証言した。今回の水増し問題では裁判所の雇用水増しも判明している。男性は「法の番人たる裁判所の話で当時も許せなかったが、二十年以上たった今も省庁で水増しがされている。これでは障害者が仕事に就けない」と憤っている。 この男性は、さいたま市西区の藤川延雄(のぶお)さん(69)。藤川さんは一九九五年六月、勤務先の横浜家裁内で上司の男性から、障害者雇用率達成のため障害者として名前を貸すよう依頼された。 藤川さんは強度の近視で、裸眼の視力は〇・〇三だったが、眼鏡をかければ〇・四程度。「身体障害者として報告されるほどの障害とは思ってもみなかった」。弟が身体障害者で、就労に苦労する実情も知っていた。その場で六法を開き、障害者雇用促進