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ブックマーク / ikedanobuo.livedoor.biz (115)

  • 労働の「商品化」は資本主義の終わりの始まり : 池田信夫 blog

    2017年11月03日18:23 カテゴリ経済 労働の「商品化」は資主義の終わりの始まり 最近、銀行のリストラが話題だ。決済機能は100%コンピュータで代替でき、融資や仲介業務もAIでできるので、給料の高い銀行員はIT投資のリターンが大きい。正社員のコストは労働生産性よりはるかに高いので、銀行員が定年退職して時給1000円でコンビニの店員をやると賃金は大幅に下がる。これが労働分配率の下がる原因だ。 労働がATMやPOSなどで自動化されると、賃金は労働生産性に近づく。コンピュータにできないクリエイティブな労働は少ないので、平均賃金は理論的にはIT投資の収益率(レンタル価格)と等しくなる。それがマルクスが、労働力の商品化(コモディタイズ)という言葉で表現したことだ。 これを契約理論で考えると、労働サービスを(たとえばロボットとして)売買できるようになると、雇用という非効率な長期契約が必要なく

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  • 「失業予備軍」としての高齢者と主婦 : 池田信夫 blog

    2017年10月12日10:19 カテゴリ経済 「失業予備軍」としての高齢者と主婦 アゴラの記事を補足しておくと、2009年以降に新たに労働市場に入ってきたのは、退職後の高齢者と主婦である。そのほとんどはパートタイム労働者なので、労働人口は増えたが、総労働時間が減ったのだ。 正社員とパートタイム社員(右軸)の実質賃金(時給) 上の図は川口=原のデータだが、「正社員と非正規の格差が拡大した」という一般的なイメージとは逆に、人手不足でパートタイム労働者の時給は上がった。このためパートの供給が増えたが、彼らの時給は正社員のほぼ半分。正社員の給与が下がり、定年退職してパートに置き換わったので、合計した平均賃金は上がらない。これはマルクス的にいうと、高齢者と主婦が失業予備軍として低賃金労働を供給したということだ。失業予備軍とは労働市場の外側にいる人々で、労働供給の価格弾力性が大きいので、時給が上がる

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  • 小さく見えて大きな政府 : 池田信夫 blog

    2017年10月15日07:30 カテゴリ経済 小さく見えて大きな政府 世界的には保守とリベラルの争点は「大きな政府か小さな政府」かという対立軸だが、この基準でみると日に保守政党はない。安倍政権は世界的にみるとアメリカ民主党よりリベラルで、野党は極左である。 この図は内閣府の調査した国民負担率の国際比較(クリックで拡大)だが、日は極端に大きいわけではない。その特徴は租税負担率の低さである。日よりはるかに国民負担率の低いアメリカでも24.2%なのに、日の租税負担率はそれとほとんど変わらない。この最大の原因は財政赤字が大きいことだが、もう一つは社会保険料が高いことだ。 日の社会保険料は、大きな政府の代表だと思われているスウェーデンの3倍だ。選挙のたびに消費税が争点になって先送りされ、社会保険料が引き上げられてきたため「痛税感」は小さいが、負担の実態はヨーロッパ並みに大きい。 つまり「

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  • パラノイアだけが生き残る : 池田信夫 blog

    2017年09月22日15:37 カテゴリ パラノイアだけが生き残る JBpressのEVについての記事に書いたモジュール化に関する誤解があるので、補足しておく。これは私が20年前に『情報通信革命と日企業』で提唱した概念だが、単なる製品の「標準化」ではなく産業構造と一体だ。そういう「革命」を当事者が(まだ事態の進行中に)書いたのが書である(原著は1996年)。 IBM-PCが登場する前の1980年ごろには、IBM、DEC、スペリー、ワングなどのコンピュータ各社がそれぞれ系列メーカーをもち、垂直統合型の生産システムをとっていたのに対し、90年代にはIBM-PCによって部品が標準化されたため、図のように部品ごとに世界市場ができ、グローバルな水平分業が成立した。この点でIBM-PCは、コンピュータ産業の構造が転換する分水嶺だった。同じことがEVで、自動車産業にも起こるおそれが強い。 意図せ

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  • 在日米軍基地は「旧枢軸国」を監視する施設である : 池田信夫 blog

    2017年09月20日22:26 カテゴリ 在日米軍基地は「旧枢軸国」を監視する施設である 日米同盟は、正確には「日米軍事同盟」である。これはそう古い言葉ではなく、1981年の日米共同声明で初めて使われた。このとき国会で、社会党の土井たか子の質問に鈴木善幸首相が「軍事的意味合いは持っていない」と答えたのに対して、伊東正義外相が「軍事的な同盟」だと答弁したため、閣内不一致を追及されて外相が辞任した。 書もいうように安保条約と地位協定は、アメリカが在日米軍基地を自由に使うための条約である。米軍基地が世界でもっとも多いのはドイツ、日韓国、イタリアである。「なぜ日独伊なのか」と問えば、答は明らかだろう。米軍基地は、旧枢軸国に駐留して監視するために設置されたのだ。 その後も米軍は既得権を離さず、日政府は平和憲法に呪縛されて、数々の「密約」が結ばれた。書はそういう資料をコンパクトにまとめて

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  • イギリスという例外 : 池田信夫 blog

    2017年05月22日17:36 カテゴリ イギリスという例外 日人の頭には、いまだにイギリスを世界史の標準と考える発想が残っている。「ピューリタン革命」で近代市民社会をつくり、「産業革命」で資主義をつくり、「自由貿易」で世界に冠たる帝国を築いた――というのが教科書に載っている標準的な歴史観だが、これらはすべて現在の歴史学ではあやしいとされている。 まず1641年から始まった内乱は「ピューリタン革命」という宗教戦争ではなく、イングランド・スコットランド・アイルランドの三王国戦争と呼んだほうがよいという。このときイングランドは一時的に共和制になったが、1660年から王政復古で元に戻った。最大の変化は、そのあとのクーデタ(名誉革命と呼ばれる)で起こった。 産業革命と呼ぶべき実態がなかったことは、私も『資主義の正体』で紹介した通りだ。資主義は大地主(ジェントルマン)による新大陸の奴隷貿

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  • 「天皇」は輸入品である : 池田信夫 blog

    2017年05月21日11:42 カテゴリ法/政治 「天皇」は輸入品である 産経新聞におもしろい記事が出ている。安寿久という編集委員は講演でこう語ったという。天皇がいることで日人がまとまれるという価値観をつくったのは、日最古の書物「古事記」だった。正成がこれだけ天皇に忠節を尽くしたのも、この国の形が一番だと思ったからだろう。古事記の価値観によって、「大化の改新」も「建武の新政」も「明治維新」も、そして昭和20年のときも、中心には天皇がいた。日人にとって「公」とは、天皇という存在ではないか、とも考えられる。ここには古事記から昭和20年まで一貫して、日は「万世一系の天皇」が支配してきたというイデオロギーがある。これは今でも自民党の右派に信じられているが、明白な誤りである。明治時代以降の天皇は(古代とは名前以外に共通点のない)ヨーロッパからの輸入品なのだ。 そもそも江戸時代まで「天皇」

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  • 保育園と原発に共通の「失敗の構造」 : 池田信夫 blog

    2016年03月09日11:59 カテゴリ科学/文化 保育園と原発に共通の「失敗の構造」 今週は、アゴラで保育園をめぐる議論が活発だが、これと震災から5年たっても復興の遅れている福島の問題には、共通点がある。両方とも、複数の官庁がからんで全体の意思決定ができないのだ。 保育園の場合は、保育園は厚生労働省、幼稚園は文部科学省と、同じような施設が別の役所の所管で、「幼保一元化」の議論は10年以上やっているが、進まない。ようやく「認定こども園」という保育園もどきの施設ができたが、補助金漬けの保育園の実態は変わらない。 時代遅れの保育園を廃止して幼稚園に吸収し、小学校を5歳入学にするのが先進国の潮流だが、強い政治力をもつ社会福祉法人が厚労省をバックアップしているため、事態が動かない。官邸が指導力を発揮するしかないのだが、社会福祉法人は票をもっているので、安倍首相は動かない。 同じことが原子力行政に

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  • 被災者の地獄への道は村上春樹の善意で舗装されている : 池田信夫 blog

    2015年04月11日17:29 カテゴリその他 被災者の地獄への道は村上春樹の善意で舗装されている かつて私は村上春樹の小説の熱心なファンだったが、彼の社会的な発言は単なる平和ボケの団塊オヤジだ。いま話題になっている「原発NO!に疑問を持っています」という話でも、「交通事故で毎年5000人近くが亡くなっているのに、原発だけを取り上げてNO!というのはどうかと思う」という読者の質問に、村上はこう答える。福島の原発(核発電所)の事故によって、故郷の地を立ち退かなくてはならなかった人々の数はおおよそ15万人です。桁が違います。[…]もしあなたのご家族が突然の政府の通達で「明日から家を捨ててよそに移ってください」と言われたらどうしますか? そのことを少し考えてみてください。原発(核発電所)を認めるか認めないかというのは、国家の基幹と人間性の尊厳に関わる包括的な問題なのです。まず彼はここで毎年50

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  • 国会はなぜグダグダなのか : 池田信夫 blog

    2015年03月04日22:33 カテゴリ法/政治 国会はなぜグダグダなのか 今週のニュースザップで、モーリー・ロバートソンと話した問題の補足。ここで議論したのは、日の国会が明治以来ずっと与野党ともに「万年野党」状態だったことだが、これにはもっと深い理由がある。 日の議会は(戦前の帝国議会も戦後の国会も)立法府としての役割を果たしていない。これは行政の裁量を法で制限する「法の支配」がないためだ。行政実務は膨大で政治家の能力が低いので、ほとんどの法案は内閣提出法案で丸投げだ。しかし与党と官僚だけで決めると国民の不満が出るので野党が分配を要求し、役所が省令や行政指導などで微調整する。 このように法律を曖昧にして実質的な政策は役所の裁量で決める行政国家は、明治憲法の手にしたプロイセン憲法から受け継いだ伝統だ。ここでは主権者(国民)が行政をチェックするしくみがないので、彼らはマスコミを通じて

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  • 「無縁社会」キャンペーンの恥ずかしさ : 池田信夫 blog

    2011年02月13日14:20 カテゴリメディア 「無縁社会」キャンペーンの恥ずかしさ 昨夜のNHKの「無縁社会」の番組が、あちこちで話題になっている。私は「働く世代の孤立を防げ」というタイトルだけで見る気がしなかったが、内容は想像以上に恥ずかしいものだったようだ。それは上のイラストからも感じられるが、きわめつけがスタッフの作ったとみられる自作自演のつぶやきだ。 朝日新聞の「孤族」キャンペーンとも共通するのは、日来「有縁社会」で、その縁が失われるのは嘆かわしいという湿っぽいノスタルジアだ。しかし島田裕巳氏も指摘するように、人々は経済成長によって縁を失ったのではなく、高度成長期に自由で豊かな生活にあこがれて都市に集まり、みずから「無縁化」したのだ。小池和男氏などの調査でも明らかなように、日人が「社縁」の好きな会社人間だというのも幻想である。 ところがNHKは、この問題を逆に見て「2

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  • 徳政令のすすめ : 池田信夫 blog

    2014年11月29日11:03 カテゴリ 徳政令のすすめ 著者アトキンソンは元ゴールドマン・サックスのアナリストだが、日仕事をしているうちに京都の美しさにひかれ、ストレスの多い投資銀行をやめて、文化財を修理する会社の社長になったらしい。書の前半は、彼がかかわった不良債権処理の話だ。 90年代前半、すでに日の建設・不動産業界はほぼ半分が倒産状態で、資金の数百倍の債務を抱える業者も珍しくなかったが、不動産取引は手形ではないので形式的には存続していた。これを銀行が「破綻懸念先」といった形でごまかして延命していた。1995年にNHKの番組に出てもらったとき、アトキンソンは「建設・不動産業界の債務を一括して免除しろ」という徳政令を主張した。これに対して銀行業界は猛反発し、そのとき出演していた大蔵省の長野証券局長も「特定の債務者だけ債務免除することはできない」と否定した。 当時は(私を含

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    sizukanayoru
    sizukanayoru 2014/11/29
    "破綻処理というのは約束を破るメカニズムなので、何らかの形の徳政令(債務免除)は不可欠だ。そのとき大事なのは責任追及ではなく、損害の総額を減らすことだ。"
  • 世代間格差を是正する年齢別選挙区 : 池田信夫 blog

    2014年11月23日12:49 カテゴリ法/政治 世代間格差を是正する年齢別選挙区 きょうのアゴラこども版に書いたのはわかりきった話だが、問題はこんな当たり前のことを主張する政党が一つもないことだ。特に三党合意で増税を決めた民主党まで増税先送りに賛成したのは無責任だが、現在の有権者の構成ではやむをえない。安倍首相は「代表なくして課税なし」といったが、将来世代は国会に代表を出せないからだ。 有名なmedian voterの定理によれば、小選挙区制では中位投票者の利益にあわせた政策を掲げることが合理的だ。たとえば9人の有権者が年齢順に1から9まで並んでいるとする。A党が最年少の投票者9の利益にあわせた政策を出すと、B党は8に合わせた政策を出せば1~8の票を取れる。これに勝つにはA党は7に合わせれば1~7を取ることができる…というように考えると結局、どっちの党も中位投票者5にあわせることが合理

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  • 日本の間抜けな帝国主義 : 池田信夫 blog

    2014年11月24日12:59 カテゴリ法/政治の間抜けな帝国主義 アゴラで『帝国の慰安婦』について「日は領土拡大のために中国を侵略したのではない」と批判したら著者から反論があったので、岡隆司氏などの最近の研究をもとにして説明しておこう。 近代戦を戦うには、日列島は資源に乏しく防衛線が長い。来るべき世界戦争にそなえるには、朝鮮や満州の資源が必要だという認識が日軍にはあった。しかし明治維新で国内を統一したばかりの日が大陸に進出することは物理的に不可能であり、国内の勢力均衡を崩す点でも好ましくなかった。 中国からみても朝鮮は華夷秩序の中の属国であり、中国に反抗しないかぎり自治を認める属国自主だった。この状態が続けば、アジアはそれなりに安定していたが、各国の勢力が交錯する朝鮮半島は、長い間、中国の支配下にあった王朝がきわめて弱体で、戦争の発火点となりやすい東アジアのバルカン半島

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  • 間違いだらけの首相会見 : 池田信夫 blog

    2014年11月18日20:49 カテゴリ法/政治 間違いだらけの首相会見 安倍首相の記者会見は、マクロ経済的にも財政的にもめちゃくちゃだ。消費税を引き上げることによって景気が腰折れしてしまえば、国民生活に大きな負担をかけることになります。そして、その結果、税率を上げても税収が増えないというとことになっては元も子もありません。何度も書いたように、そんなことはありえない。消費税率を上げて消費税収は増えた。全体の税収が減ったのは、所得減税をしたためだ。 政権発足以来、雇用は100万人以上増えました。今や有効求人倍率は22年ぶりの高水準です。この春、平均2%以上、給料がアップしました。過去15年間で最高です。企業の収益が増え、雇用が拡大し、賃金が上昇し、そして消費が拡大していく。そして景気が回復していくという、経済の好循環がまさに生まれようとしています。 彼はどういう雇用が増えたか、知っているだ

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    sizukanayoru
    sizukanayoru 2014/11/19
    ” それより正直に「来年はもっと景気が悪くなるから、単独過半数の票がぎりぎり読める今やるんです。野党もバラバラで民主も海江田代表だから、今がラストチャンスなんです」といえば、国民も納得しただろう。”
  • 「明るい焼け跡」からの再出発 : 池田信夫 blog

    2014年11月15日08:53 カテゴリ 「明るい焼け跡」からの再出発 きのうのアゴラ読書塾では書を読んだが、昨今の増税先送りをみていると、財政が崩壊して「焼け跡」になるのも、そう遠い将来ではないだろう。そのときのために、かつての敗戦がどういうものだったか、知っておくことは役に立つ。 書は外国人歴史家の見た、明るい敗戦の風景だ。その特徴は、日人の多様性を膨大な一次資料にもとづいて生き生きと描いている点にある。書には「集団主義」で保守的なステレオタイプの日人はほとんど登場しない。欠乏していた物資の流通は闇市を通じて急速に回復し、旧秩序を嘲笑して性のタブーに挑戦する「カストリ雑誌」が大流行する。 書で詳細に紹介される当時の大衆文化の資料は、日人が焼け跡のもたらした解放感をむしろ楽しんでいたように見える。もちろん当時の日は連合軍に占領されていたが、日人はGHQ(連合軍総司令

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  • 1000兆円の借金を返す方法 : 池田信夫 blog

    2014年11月08日14:11 カテゴリ経済 1000兆円の借金を返す方法 政府債務が1000兆円を超えた今、問題なのは株価暴落ではなく金利上昇(国債暴落)のリスクである。これからFRBの金融引き締めで金利が世界的に上がると、日銀が最高値で買った国債が莫大な評価損を抱える。アメリカと同等の2%台まで上がると、少なくとも30兆円の含み損が出る。日銀の自己資は約6兆円だから、債務超過に陥る。中央銀行が債務超過になること自体は、決定的な問題ではない。日銀はいくらでも紙幣を発行できるので、国債を無限に買い続けることができる。日国債の95%は内国債なので、為替の影響もあまり受けない。しかしマネタリーベースは、今回の追加緩和だけでもGDPの70%になる。財政ファイナンスを無限にやったら、GDPを超えて膨張するだろう。 そのとき何が起こるかはわからない。普通は国債の投げ売りで金利が暴騰し、ハイパー

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  • 低線量被曝で発癌率は下がる : 池田信夫 blog

    2012年09月05日11:11 カテゴリエネルギーテクニカル 低線量被曝で発癌率は下がる 放射能恐怖症の原因になっているのが「どんな低線量でも危険だ」というLNT仮説である。その論拠として反原発派が持ち出すのがBEIR VIIの報告書だが、これには専門家の批判が強い。そこで引用されている論文には、LNT仮説を否定するデータがたくさん出ているからだ。その矛盾を指摘した論文を紹介しておこう(非常にテクニカル)。 1972年に出たBEIR第1次報告書の引用する論文には、次のようなデータが出ている。これは長崎の被爆者の白血病発症率で、cGyはほぼ10mSvに相当する。図のように310mSvまでは白血病の発症率は下がっている。 1960年代初期までは、遺伝的結果がもっとも重大な放射線の影響だと考えられていたが、次のように卵巣の被曝線量でも100mSvまでは先天性異常の発生率は下がっており、通常より

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  • 小林よしのりの『脱原発論』 : 池田信夫 blog

    2012年09月15日11:43 カテゴリその他 小林よしのりの『脱原発論』 私も出ていると教えてもらったので立ち読みしてみたが、243ページに1コマだけ出てくる。反原発派は科学的には壊滅状態で、討論会に出てくるのも共産党とか社民党しかいなくなったが、書のような大衆レベルではまだ根強く放射能への恐怖があるようだ。政治家が迎合するのはそういう人々なので、彼らを説得しないと事態は打開できない(もちろん画像にリンクは張ってない)。 派手なマンガで飾っているが、中核的な主張は単純だ。要するに「低線量被曝の影響はわからないのだから最悪の場合を想定して原発はゼロにせよ」ということだが、この主張は(今までも書いたように)二重に誤っている。 まず、低線量被曝の影響はよくわかっている。100mSv以下のリスクは統計的に有意な影響が出ないほど小さいということで、世界の研究は一致しているのだ。この場合、瞬時(

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  • 「日本史」の終わり : 池田信夫 blog

    2012年09月19日11:39 カテゴリ 「日史」の終わり 與那覇潤氏と私の共著が19日に(電子版と同時に)発売される。アマゾンでは予約の受け付けを開始した。 まえがき 民主党が政権交代を果たして、もう3年になります。あのときは多くの人々が自民党政権のもとで続いていた閉塞状況が変わるのではないかと期待しましたが、今では国会はねじれ、民主党は分裂し、すっかり熱気は冷めてしまいました。民主党は官僚機構の壁を破れずに自民党化する一方、自民党は「何でも反対」の野党化し、55年体制の与野党が入れ替わっただけのように見えます。 そんな中で、大阪市の橋下徹市長の率いる「大阪維新の会」が注目を集めています。彼は「決定できる民主主義」を掲げ、地元では熱狂的な支持を受けています。それは「自民党をぶっ壊す」とぶち上げて2005年の総選挙で圧勝した小泉純一郎元首相を思わせます。彼が日の停滞を今度こそ打ち破

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