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reviewと社会に関するsizukanayoruのブックマーク (49)

  • ブロデックの報告書 - 情報考学 Passion For The Future

    ・ブロデックの報告書 この小説は絶品。読みふけった。 「僕はブロデック、 この件にはまったく関わりがない。 僕は何もしなかったし、 何が起こったのかを知ったときでも、 できればいっさい語らず、 自分の記憶に縄をかけ、 金網の罠にはまった貂のようにおとなしくさせるために きっちり縛り上げておきたかったのだ。」 主人公ブロデックは村人達が集団で放浪者アンデラーを殺す現場に偶然居合わせてしまう。村人達は村一番のインテリである彼に、この事件の顛末を中央に伝えるための正しい報告書を書けと脅す。もともと余所者で立場の弱い"僕"は依頼を断ることが出来ずに、不穏な監視下、自室に閉じこもって黙々とタイプライターを打つ。 村人達は主人公に踏み絵としての事件記録を書かせた。彼の村への忠誠を試しているのだ。しかし、彼が書き綴っていたのは事件の報告書だけではなかった。それは彼自身が記憶の奥に封印していた戦時中の陰惨

  • 『差別と向き合うマンガたち』:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    吉村和真、田中聡、表智之『差別と向き合うマンガたち』臨川書店。 いいだ。マンガの研究者、ライター、編集者、マンガに興味ある人、必読の一冊といっていい。「差別」の二文字でおそらく読者を選んでしまい、あるイメージで書店に並び、買われることになるはずだが、そのイメージは裏切られるだろう。「差別」問題へのもっと詳しい記述を期待する向きには喰い足りないと感じられるのかもしれないし、著者たちもたぶんそれを予想している。逆に、僕のように、差別問題にリアリティがあまりなく、知識もなければ、ちゃんと考えたこともない人間でも、マンガが好きなら面白い。興味をひかれて読んでゆくと、「差別」というよりも、「社会」に向かって開かれてゆくマンガの「読み」の問題を様々に考えさせられ、その一つとのサンプルとして「差別」問題がある、という感じだ。 とはいえ「差別ってタイトルにあげなければ、もっと一般読者を獲得できたかもしれ

    『差別と向き合うマンガたち』:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ
  • 負け犬の皮をかぶった勝利宣言「おひとりさまの老後」

    上野千鶴子というファンタジー。 題名にだまされてはいけない。これは「千鶴子ヴィジョン」から見た老後のお花畑なんだ。しっかり年金をもらって、悠々自適のセカンドライフを謳歌できる、いわゆる逃げ切り世代へのエールなのだ。 お花畑では、男は役立たずなお荷物に過ぎないし、子や親族は資産を自由に使えなくする邪魔な存在となる。そんなものは放っておいて、「おひとりさま」になれという。どうせ老後は、夫に先立たれ/離婚するし、子どもはアテにならない。結局「ひとり」になるのなら、最初から「ひとり」を想定したライフスタイルがいいのだと。 そして、子どもにカネを遺すと自立しないから、アタシが使うのが正しい。「夫のカネはあたしのもの、あたしのカネはあたしのもの」という金銭感覚で後家楽を目指すのが、日の女の「上がり」なんだとけしかける。 さらに、子孫に囲まれて暮らす老後観なんてウソ。「いっしょに暮らそう」という子の

    負け犬の皮をかぶった勝利宣言「おひとりさまの老後」
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: だめな国は何をやってもだめ「最底辺の10億人」

    「だめな奴は何をやってもだめ」という箴言は、国にもあてはまるのかもしれない。 すなわち、「だめな国は何をやってもだめ」。国家まるごと腐りきっており、大統領から警官まで賄賂と蓄財に勤しむ。国家経営は破綻し、令状のない逮捕、裁判のない拘留、嘘選挙がまかりとおる。行政機関は国家資を強奪するために存在し、軍部の武器は国内に向けられている。 まず、資が流出し、次に教育のある労働力が逃げ出す。大統領命令でお札を刷りまくり、「超」のつくハイパーインフレになる。援助は指導者の蓄財にまわされ、海外の銀行に貯め込まれる。社会資として回転しないから、経済の発展もない(アフリカ最貧国の指導者の多くは、世界でも超富裕階級に属している)。 そして、外からの非難に対し、大統領は「レイシスト」だと反撃する。国家の荒廃は「元」宗主国の陰謀だと断じ、仮想敵をつくりだすことによって自分への不満をすりかえる。結果、部族間の

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: だめな国は何をやってもだめ「最底辺の10億人」
  • 新版Kizurizm: 後藤和智『おまえが若者を語るな!』

  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 悪用厳禁!「プロパガンダ」

    「だまされた」と思わせずに大衆を騙すテクニックがわんさと紹介されている。 広告・政治宣伝のからくりを見抜くスゴ。コマーシャルで衝動買いしたり、連呼されるワンフレーズ・ポリティクスに洗脳されることはなくなるだろう。マスメディアの欺瞞を意識している方なら自明のことばかりかもしれないが、それでも、ここまで網羅され研究し尽くされているものはない。 もちろん、チャルディーニの「影響力の武器」と激しくカブってる。その研究成果が幾度も引用されており、暗黙のお返しを求める返報性の罠や、小さなものから大きなコミットメントを求める一貫性の自縄自縛のテクニックなんて、そのまんまだ。 しかし、破壊力が違う。「影響力の武器」を一言であらわすならば、「相手にYesといわせる」ことを目的としているが、書はそれに加えて「相手を説得し、積極的に賛同させる」ことがテーマなのだ。さらに、一人ふたりではなく、大衆レベルで実現

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 悪用厳禁!「プロパガンダ」
  • 2008-01-15 - good2ndの日記:「自己コントロールの檻―感情マネジメント社会の現実 」

    昨日に続いて自己啓発がらみの話題。もうちょっと現代的というか、今の日社会に即した形で自己啓発と労働環境について考察してるをやはりだいぶ前に読んだのを思いだしたのでした。 自己コントロールの檻 (講談社選書メチエ) 作者: 森真一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2000/02/10メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 5人 クリック: 79回この商品を含むブログ (35件) を見る 書の後半、著者は、雇用の流動化した社会では、従業員の教育コスト削減や、新しい環境に従業員が適応するための能力として「感情の知性」(いわゆる EQ)を身につけることが要請されてくる、と論じていて興味深いです。 「感情の知性」を備えた人を産出することは、合理化としての"個々人の移動・分散"にとっても目的合理的である。なぜなら、だれかに監視・指示されなくとも、自分の感情をモニターしながら自己制御し、不適切

    2008-01-15 - good2ndの日記:「自己コントロールの檻―感情マネジメント社会の現実 」
  • 障害者がなぜ犯罪者になってしまうのか / SAFETY JAPAN [書評] / 日経BP社

    服役中に発見した大変な社会問題 2002年、衆議院議員が、秘書給与の流用を行い、有罪の判決を受けて服役した。それ自体は「またかよ」と言わねばならない事件だった。「いつ塀の中に落ちるか」と言われつつも決して逮捕されることなく、今や長老と呼ばれるようになった大物政治家がいることを考えれば、この議員は愚直であり「間抜けだったんだ」と片づけている人もいるかも知れない。 だが、今や元議員となった著者は、刑に服した獄中において、今現在の日社会で進行しつつある大変な問題を発見し、俗世間へと帰還してきた。 障害者、なかんずく知的障害者によって引き起こされる犯罪である。 障害者は障害を持つが故に犯罪に走るというような単純なものではない。障害者は障害者であるが故に社会から疎外され、健全な心身の成長も、就業による社会参加をも阻まれ、その結果として犯罪の岸辺へと吹き寄せられていくのだ。 この問

  • 詩はすべて紋章 | 累犯障害者

    Tout poeme est un blason, il faut le dechiffrer. - Jean Cocteau 『累犯障害者――獄の中の不条理』 山譲司(新潮社) あなたは知っていたか、浅草短大生殺人事件のレッサーパンダ男、下関駅放火事件の犯人、伊勢崎の監禁殺人事件の犯人が知的障害者だったことを。 私は知らなかった。知らなかったのは報道されなかったからだ。報道機関は、加害者が障害者であると判明すると、報道を自粛してしまうのだという。 民主党の衆議員議員だった著者は、2000年、秘書給与流用事件で懲役1年6カ月の実刑判決を受け、栃木県黒羽刑務所に服役した。その際、刑務所の中に知的障害を持つ受刑者がかなりいることを知る。 「知的障害者の刑を軽くしろ」というではない。しかし、知的障害者をめぐる現在の司法と福祉のあり方に疑問を呈示するではある。 子供