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ブックマーク / honz.jp (27)

  • 『沖縄軍人妻の研究』 知られざる米軍兵士の憂鬱と自立する日本人妻 - HONZ

    「沖縄軍人」。響きがたまらない。実は完全なタイトル買いだ。凛とした中に、日活ロマンポルノのタイトルにもなりそうな色香を感じられる。これほど魅惑的な5字の漢字があったのか。「沖縄軍人」。 版元は京都大学学術出版会。堅そうである。実際、書は学術書だ。ポルノ云々言ったことを謝るべきだろうか。私の棚では圧倒的な存在感を放ち、すでに浮いている。 とはいえ、書は学術書にありがちな修飾句の多様などによる読みにくさとは無縁だ。沖縄の米軍兵士と日人女性との結婚離婚を考察し、まとめたものだが、インタビューの内容に基づいて構成されているため、肩肘張らずに読み進められる。 沖縄の海兵隊基地で米軍兵士22人と、米軍兵士と結婚した日50人にそれぞれ出会いから結婚までの過程や、親族つきあい、老後の生活設計から性交渉の状況、基地問題に対する考え方までを聞き取り調査している。基地内の創価学会ネットワーク

    『沖縄軍人妻の研究』 知られざる米軍兵士の憂鬱と自立する日本人妻 - HONZ
    skam666
    skam666 2013/01/30
    “沖縄の女性の家族や地域の絆を重視する姿勢に悩む米兵は少なくない(中略)沖縄の妻たちは、米軍基地に依存するというよりは、沖縄の社会や家族の中で軍人との結婚生活を維持している”
  • 『古代日本の超技術』を年の初めに - HONZ

    毎年、初詣などで神社仏閣系の場所を訪れると、心なしかほっとした気分になる。めまぐるしい変化にさらされている昨今、何年も変わらぬ佇まいを見るということは落ち着くものだ。 世界最古の木造建築である法隆寺五重塔をはじめ、日には古代からの木造建築が、今でもたくさん現存している。周辺の建物が様変わりしていく中、なぜこれほどもの長い間、これらの建築物は風雪に耐え抜くことができたのか。 答えの一つに、「古代人」の技術が「現代人」の技術を上回る要素を持っていたということが挙げられる。そんな馬鹿なと思うかもしれないが、紛れもない事実なのだ。書はそんな、1000年を耐えぬいた古代人たちの技術や思想を紹介した1冊である。 たとえば釘。現代の釘は外に出しておくと10年も経たないうちに真っ赤に錆びてしまうが、飛鳥時代の釘はおよそ1300年ものあいだ新品同様の状態を保っており、この先1000年使っても大丈夫と言わ

    『古代日本の超技術』を年の初めに - HONZ
    skam666
    skam666 2013/01/01
    “飛鳥時代の釘はおよそ1300年ものあいだ新品同様の状態を保っており、この先1000年使っても大丈夫と言われているほどである。古代の釘が朽ちないのは、純度、環境、そして高度な鍛錬を行なっていたから”
  • 『なぜ豊かな国と貧しい国が生まれたのか』 産業革命と国の「仕事力」 - HONZ

    そもそものきっかけは、大学受験を控えて専攻が決まらない息子と書店巡りをしていた著者のアレン教授が、ショーウィンドウ越しにオックスフォード大学出版の「入門」シリーズを見つけたことだった。 書の原題は「Global Economic History : A Very Short Introduction」だ。最初は『豊かな国と貧しい国』という題名にしたかったが、出版社からの要望で、分野がわかりやすいものに落ち着いた。日版の発行に際しては元々の希望に近いタイトルに変更し、さらに、高校生や大学生に読んでもらえるような訳文づくりを目指したそうだ。そうして出来上がったのが書である。ややこしいことを書いてしまったが、要は、とても読みやすく、わかりやすいだ。ややこしいことをシンプルに書くのは、すごいことだと思う。 書が取り扱うのは、西暦1500年から今までの期間だ。著者は、この500年を3つの期

    『なぜ豊かな国と貧しい国が生まれたのか』 産業革命と国の「仕事力」 - HONZ
    skam666
    skam666 2012/12/29
    “1500年から1800年の頃、1人当たりのGDPは、富裕国と貧しい国でそれほど違っていなかった(略)1820年には3.2倍だった「儲けの差」が、2008年には8.8倍になっていた(略)1820年に豊かだった国は、その後も「成長率」が高い”
  • 『BRUTUS 6月1日号』 - HONZ

    好きにとってこの号は間違いなく買いだ。特集は「屋好き。」記事の1目「わざわざ行きたい新しい屋のカタチ」では品川駅ecuteの「PAPER WALL」、下北沢の「DARWIN ROOM」などの屋を紹介している。 続いての記事は「なぜ、京都の〈恵文社一乗寺店〉は、わざわざ全国から客が訪れる屋なのか?」。店内の写真に見入ってしまう。もはや屋そのものが出版物である。面陳(表紙を見せる陳列)と棚刺し(背表紙を見せる陳列)の絶妙な組み合わせ、新刊と古書、文庫と単行の並列など、見開き3ページだけで15分ほどかけて、なめるように見てしまった。 それ以降の記事もとても面白いのだが、さらに「この100ジャンルに強い100書店」という別刷りの綴じ込み付録がついている。嶋浩一郎氏と内沼晋太郎氏の「まだまだあります、一度は行きたい名書店」という対談も適切。 読みすすめるにつれ、3軒の特色ある書店を

    『BRUTUS 6月1日号』 - HONZ
    skam666
    skam666 2012/12/20
    “和僑とは華僑をもじった造語で「海外に渡った日本人」という意味。今世紀に入ってから一部で使われ始めたという。本書では中国に住み人だけでなく出稼ぎに行く人、留学生なども含めて中国に渡った人を指している”
  • もう、辞めたい・・・。心優しき『戦国の貧乏天皇』 - HONZ

    なかなか刺激的なタイトルだ。 わずか7文字の中に、知的好奇心を刺激してやまない「違和感」が内包されている。 まず「戦国」と「天皇」がうまく結びつかない。日史で習った天皇を思いつくままに挙げてみても、古代であれば神武、推古、聖武、桓武といった有名ドコロがすぐに浮かぶし、中世になると、後に院政を敷いたことで知られる白河、鳥羽といったあたりが思い出される。しかし、その後となると、多くの人にとって耳馴染みがあるのは後醍醐天皇くらいで、建武の新政が崩壊して室町時代に入ってくると、その頃の天皇の名前はほとんど知らないのではないだろうか。 そして「貧乏」と「天皇」も、同じように結びつかない。鎌倉幕府の誕生以降、武家統治の時代が長かったのは事実としても、やはり天皇は一貫して日史の中心にいたはずだ。武家の時代にあっても、たとえば征夷大将軍の任命権限を持っていたのは天皇だ。要するに、武家にとっても天皇の権

    もう、辞めたい・・・。心優しき『戦国の貧乏天皇』 - HONZ
    skam666
    skam666 2012/12/05
    “退位させてもらえなかった(略)その大きな理由の1つは、危機的な状況に陥っていた皇室財政(略)即位式には五十万疋(約5億円)が必要(略)この捻出にさえも苦慮するほど、当時の皇室は財政的に追い詰められていた”
  • 『韓国窃盗ビジネスを追え』古美術の世界と闇 - HONZ

    の重要文化財が各地の寺院から盗まれ、その一部が韓国で流通している。そんな話を聞いたことがある人もいると思う。書は主に兵庫県、鶴林寺の「絹著色弥陀三尊像」(以下、阿弥陀三尊像)と長崎県壱岐島、安国寺の「高麗版大般若経」の行方を主に追っている。 阿弥陀三尊像を盗んだ主犯は金国鎮という男。彼は2004年に韓国国内で、日から「絹著色弥陀三尊像」などの古美術品を盗んだ罪により逮捕されている。この事件を追っていた著者の下に新たな情報が舞い込む。それは2011年に国鎮の息子、金秀敏が日での重要文化財窃盗旅行の資金を稼ぐため、韓国国内で盗みを働き、逮捕されたというものだ。逮捕された金秀敏の話では、父親にそそのかされ犯行におよんだという。阿弥陀三尊像は韓国警察の捜査で、様々な経路をたどりながら、大邱市のある寺に寄付されていることが分かった。だが捜査官が寺を訪れたときには、すでに所在が分からなく

    『韓国窃盗ビジネスを追え』古美術の世界と闇 - HONZ
    skam666
    skam666 2012/11/16
    “朝鮮では儒教が国教とされ廃仏毀釈が行われたために、多くの仏教美術品が流失したのだが、世間では反日教育とあいまって、倭寇や秀吉の朝鮮出兵、日帝時代に略奪されたと考える傾向が強い”
  • 文化を牛耳る『平山郁夫の真実』 - HONZ

    2009年に他界した平山郁夫といえば、東山魁夷、岡太郎と並び日で最も高名な画家の一人として知られる。人の絵を飾っている方もいるかもしれない。 国内において一番知名度があり、値段が高く、画壇ヒエラルキーの頂点にいた事実でいえば「平成の国民的画家」は間違いなく平山郁夫だろう。なにより「芸術家は貧乏だ」という常識を覆す美術界のモンスターだった。 平山自身は画家でありながら、納税額は1995年の長者版付で6億4277万円、年間収入は10億を超えた。ふつう画家と呼ばれる多くの人達は、描いてて楽しい純粋な心からスタートし、家族を顧みず、己の世界に没頭するため金や政治とは無縁、それが一般的なイメージではないだろうか。 ノンフィクションライターである著者の大宮知信氏は、なぜ平山の作品に億単位の値が付き、法案を通したりと権力を持っているのか疑問だった。著者は言う 芸術家はえてして貧乏だと思っていた。そ

    文化を牛耳る『平山郁夫の真実』 - HONZ
    skam666
    skam666 2012/11/10
    ]“日本画はしばしば「政治銘柄」として利用される。高額な美術品は金や株券と同様の資産価値がある。とくに大家の作品は換金性があり、企業や政治の贈答用に使われる”