「家族に見守られながら畳の上で死にたい」というのは、多くの日本人が抱く「死」への希望だろう。では、そうやって死んだ後、どのように葬られたいか。先祖代々の墓に入りたいのか、妻であれば夫と同じ墓か、親が眠る実家の墓か、はたまた樹木葬や散骨など、新しい選択肢を選ぶのか……。ライフスタイルの多様化によって、私たちは今、死後にまで至る終末期のライフデザインを迫られている。 「“先祖代々の墓”という考えが、そもそもの間違いのもと」と語るのは、第一生命経済研究所主任研究員であり、『変わるお葬式、消えるお墓』などの著書を持つ小谷みどりだ。 「『○○家之墓』と書かれた黒や灰色の墓石の下に、火葬した遺骨を骨壷に入れて納めるのが日本の伝統的な埋葬の形だ、と考えている人は多いと思います。しかし、墓石のあるお墓が庶民の間にも普及したのは江戸時代中期以降のことで、たった300年くらいの歴史しかありません。また、火葬が