白内障の手術数は国内で年間約167万件。その歴史も長い。眼科外科医の深作秀春さんは「約100年前に86歳で亡くなった印象派の画家モネも白内障だった。有名な睡蓮のシリーズは、白内障患者特有の見え方によって色彩などが変化している」という――。 ※本稿は、深作秀春『白内障の罠 一生「よく見る」ための予防と治療』(光文社新書)の一部を再編集したものです。 「睡蓮」の絵に見る白内障患者モネの見え方の変化 見るということ、そして白内障というものを知るために、まずは意外な視点からアプローチしてみましょう。この「見る」という行為を考える上で分かりやすいのが、ある著名な画家による芸術作品と、目の変化による作品への影響です。 「睡蓮」の絵で有名なフランスの画家モネについては、皆さんも聞いたことがあるでしょう。日本でも上野にある国立西洋美術館だけでなく、全国各地の美術館などで、モネの「睡蓮」の絵を見ることができ