時は2045年。あなたは、米ニューヨーク・マンハッタンを歩いている(地球温暖化が減速し、まだ陸を歩けると仮定して)。目には周囲の人や、場所、モノに関するデータを共有するゴーグルをかけている。するとある友人にばったり出くわす。「ファイヤーな服だね!」とあなたが言うのは、その友人の着ている服には文字通り、火がついて燃えているからだ。羽織っているバレンシアガのオートクチュールのケープが炎に包まれているというのに、友人はお構いなしの様子。というのも、ゴーグルを外して見てみると、友人はTシャツとスウェットパンツしか着ていないからだ。 こうした筋書きは、デジタルの新境地「メタバース」のひとつの可能性を提示している。まだ漠然としていて、誰もよく把握できていないにもかかわらず、IT企業が集まるシリコンバレーは今、メタバースの話題でもちきりで、ファッション界も同じく夢中になっている。バレンシアガから、ウィッ