『評伝クリスチャン・ラッセン 日本に愛された画家』(原田裕規 著)中央公論新社 最も著名なアーティストはおそらくラッセンだろう。だけどそれは日本限定のことだ。こんな奇妙な立ち位置にいるのはラッセンを除いて他にいない。実際、彼は1997年からの6年間だけで日本全国の約150都市で原画展を開催し約15万人を動員した。ラッセンの名前ときらめく海を駆けるイルカたちを描いた象徴的な画面はどんな現代美術家よりもひろく知られており、お笑いのネタにすらなっている。 しかし批評や言説を好む美術業界があるにもかかわらず彼の活動の文脈づけはなされなかった。そんなラッセンにまつわる言葉の欠如を一気に埋めるかのように『評伝クリスチャン・ラッセン 日本に愛された画家』は書かれている。彼の生い立ちから絵画制作のあり方、イルカやクジラの歴史的位置付け、そして同世代のアーティストや批評家たちの冷ややかな目線までを克明に描き
![「最も著名なアーティスト」だけどそれは日本限定…画家でありサーファーでもあるラッセンが生きる“二つの世界” | 文春オンライン](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/fac0530065739061673180f377570d7ce3a5ca06/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fbunshun.jp%2Fmwimgs%2F0%2F3%2F1200wm%2Fimg_035a290501789fb992b263a16e272d6d186118.jpg)