30年にわたったスペースシャトル計画に幕を閉じた7月21日。最後のスペースシャトル「アトランティス」の帰還を待つ米航空宇宙局(NASA)の管制室では、日本の個人が趣味で作ったWebアプリが大型スクリーンに映し出されていた。その心境を作者がブログにつづっている。 Googleマップ上に国際宇宙ステーションやハッブル宇宙望遠鏡の軌道をリアルタイムに表示する「GoogleSatTrack」(GST)の作者、柏井勇魚さんは、帰還への軌道離脱噴射指令をアトランティスに出すNASA管制室の大型スクリーンに、見慣れた画面が映っているのに気付いた。 すぐに自ら開発したGSTだと思ったものの、信じられなかったという。「いや、だって、一介のアマチュアプログラマが作ったWebアプリが、ミッションの中でも一番クリティカルな大気圏再突入前のミッションコントロールセンターの画面に映っている。これで信じろという方がおか
恥ずかしながら、私には2回、失業した経験がある。2回ともハローワークに通い、失業保険のお世話になった。 本稿は、最初の失業時の体験に基づく特許の話である。私は2002年10月に日立製作所を早期退職した(その顛末は本連載の最初に詳述した)。その後、半導体エネルギー研究所という会社に転職した。 失業中に、私は22の会社に履歴書を送ったが、すべて空振り。半導体エネルギー研究所は、23通目の履歴書を送った会社であり、初めて面接に到達し、そして採用された会社だ。 半導体エネルギー研究所は、半導体や液晶などの研究開発を行い、その結果を基に特許を取得し、基本的にその特許の権利行使だけで利益を上げ続けている極めて珍しい形態の会社である。 仕事は刺激的で面白かったのだが、社長の山﨑舜平氏とウマが合わず、「明日から来ないでくれ」と言われ、転職してからたった半年で退職することになってしまった。その結果、2003
中国の高速鉄道をめぐって、中国と日本で紛争が起こる可能性が高まっている。 日本の川崎重工やドイツのシーメンスなどの技術供与により完成したもののはずだったが、独自に開発した部分があるとして、米国、日本、欧州、ブラジル、ロシアで特許を申請する準備をしているという報道がなされたのがきっかけだ。 もちろん、日本側、JRや川崎重工は猛反発だ。これまでの血と汗の結晶を盗まれていいのか、というコメントもある。 しかし、そういう感情論ではなく、何に対してどのように怒るべきか戦略的に考える必要がある。 事実の詳細は不明な点も多いので、ここでは、少し冷静に特許権について大局的に考えてみたい。 そもそも特許、特許権とは何か。実は、特許、という言葉自体は何の意味もない。特許権、となって初めて意味を持つ。というのは、そもそも特許というのは何が許されるかというと、経済的な排他的利用権を持つことが許される、ということだ
日経新聞に「中国版新幹線の特許審査、国際機関『関与せず』」という記事が載っています(訴えられると大変(笑)なのでリンクは省略)。以下、著作権法32条に定められた引用により検討します。全体としては間違ってはいないが微妙に誤解を招きがちという一般紙における知財系ニュースに典型的に見られるパターンになっています。 ことの経緯はご存じと思いますが、中国の車両メーカーが新幹線車両を川崎重工等の企業共同開発していたにもかからわらず単独で国際特許出願して問題になっているというお話です。 まず、記事中に 「可否は各国が決めることで、私はその立場にない」と語り、WIPOとして関与しない方針を明らかにした。 と書いてありますが、ちょっと違和感がある書き方です。WIPO(世界知的所有権機関)が今回のケースに限って関与しない方針を取ったかのように取られてしまいそうですが、そもそも、国際出願においてWIPOは事務作
個人発明家にとっては、出願にかかる費用はかなりの金額であり、出願してみたものの特許になるのかは非常に大切なこと。しかし、代理する側としては、そのようなことを気にかけて仕事をされている方は多くないであろう。正直なところ出願してみないとわからないというのが現実のことが多い。だが個人発明家の視点では、登録率の低い分野ならば、最初から教えてほしかったというのが正直なところ。低いなら低いなりに覚悟がいるであろうし、どこまでやりとおすのかを予め決めておくこともできよう。しかしそのようなことをアドバイスしてくれる弁理士などいないのが米国の実情。
「何もかも失ってしまいました」−津波で工場を失った岩手県釜石市の会社経営者がNHKの中継で肩を落としていた。東京のスタジオから、玄田有史・東大教授(この経営者と以前から面識があったという)は力強く励ました。「何もかも失ったって言われたけど、大事なものが残っていると思うんです。それは技術力です。そして技術を生み出す人も残っているから大丈夫。必ず復活させてください」。 形のあるものだけが財産ではない。技術力やアイデアという「知的財産」は地震や津波でも壊れない。設備や原材料がなくても人さえいればその頭の中から生み出し、無限に増やすこともできる。 こう説明すると知的財産は理想的な「財産」のように見えるが大きな弱点もある。それは「見えない」ことだ。そのため、企業においても事業がうまくいっている平常時には「裏方」として表に出てこないことが多い。 資金調達、利益創出に知財活用を しかし、表舞台が危機的状
キットが販売されているのでチャレンジしやすい近頃では、ホームセンターに電気機器を製作するための道具がそろっています。そのため、DIY感覚で電気製品の自作を始めるのは難しくありません。「回路図や図面が読めなければ電気製品なんて作れない」と思う人もいるでしょう。たしかに、電気製品にはさまざまな部品が使わ…
#やや賞味期限切れのネタですみません(昨年書きかけて途中で忘れてましたw) ミクシィが「チェック」「イイネ」「つぶやき」等を商標登録出願していることが話題になっています(参考記事)。なお今調べてみたら、「つぶやき」は2010年11月5日付で既に登録されてました(登録されてからネット(特許電子図書館)で検索可能になるまで多少のタイムラグがあるので上記記事には間に合わなかったものと思われます)。これにより、「つぶやき」というネットサービス名称はミクシィが独占的に使用可能となりました(実際に同社が他社を排除するかどうかは別)。 ネット世論ではけしからん論が一般的になっているようですが、商標は早い物勝ちが基本ですし、ブランド戦略として防衛的に出願する(他社に取られないようにする、あるいは、誰も登録できないことを確認する)こともありますのでそれほど非難されるべき話ではありません(たとえば、阪神球団に
例えば手元にある携帯電話。普段何気なく使っているこの機械の中にも、数千、数万にわたる特許が詰め込まれていると言われている。「ハンズフリー通話装置」や「電子メールアドレス通知システム」といった機能から、「携帯通信端末用無線通信システム、該システムで用いられる無線通信接続方法及び無線通信接続プログラム」、「携帯電話機を利用した自動文字コード認識、表示システム、方法およびプログラム」など、その名前からでは全く内容が想像できないようなシステムまで、細部にわたって複雑な特許の網が組み込まれている。 そんな特許を飯の種にしようと暗躍する人々が、「パテントトロール」と呼ばれる人々だ。別名「特許マフィア」と呼ばれるように、彼らの仕事は裏社会と密接につながりながら、違法ギリギリの手口で大企業から巨額の賠償金やライセンス料を巻き上げるというもの。もちろん、特許の所有者がその利用に対して金銭を請求することは間違
優れた技術だから勝てる、という話はもうやめよう。競争力モデルは変容し、ビジネスモデルが勝負の時代になったら日本はとたんに勝てなくなった。それが意外に分かっていない、と妹尾堅一郎氏は警鐘を鳴らす。 「優れた技術だから勝てる」はもはや過去のことなのだろうか。高い技術力に支えられた日本製品もその多くが弱体化している。東京大学 知的資産経営総括寄附講座の小川紘一特任教授が調べたところによると、日本製品の凋落ぶりは明らかだ。例えば、1980年代半ばに世界シェア8割を占めたDRAMはほぼ壊滅、薄型テレビの液晶パネルも独占状態から今は1割と見る影もない。カーナビも独壇場だったが、もはや国内需要に頼るだけだ。市場が先進国に限られているうちは強いが、新興国へと拡大するとともに日本のシェアが落ちてしまう。 「世界はG7からG20の時代になり、競争力モデルも20年前とは一変してしまったのに気がついていない。海外
See the image on its own Hangbags away boys! Who’s suing whom in the telecoms trade? Based on these diagrams from Guardian Tech and the NY Times. I thought those charts generated more questions than they answered. So, as ever, I tried to answer the obvious questions and convey various contexts simultaneously. I wondered, too, if I could design the connections so the lines didn’t cross. Almost mana
弁理士登録から早12年目。気が付けば指導する立場に。 合格を機に企業の研究開発から事務所へ転職。 どうするどうなる我が人生。 実務のこと、試験のこと、どうでもいいことを綴っています。 社会人、小出しにボヤいてストレスを溜めないことも大切!! ということで、いろいろボヤいてみました。 Twitterでボヤいたら楽しくなっちゃって。 いろいろあるもんです...(^^; 業界の人なら分かりますよね?? 【相談編】 ちょっと待て そもそもそれは 発明か? この発明 どこにあるある 特許性? 特許性 ああ特許性 特許性 (TT) 料金は 出世払い? お断り 個人客 約束時間 とうに過ぎ 【出願編】 請求項 シンプル過ぎる 怖すぎる 明細書 書いても 書いても 次がある 実施例 これらから急いで 作ります?(@@) ちょっと待て あまりに出来過ぎ 比較例 ( ̄◇ ̄;) 目の端に 未処理案件 山のよう(
僕は、1 日に少なくとも 3,000 行程度、多く書くときで 10,000 行以上のプログラムを書くことができる。その結果、多い月で 10 万行 / 月くらいである。なお、言語は書くソフトウェアの性質上、大半が C 言語である。 また、プログラミングにはバグが付き物だが、ここ 2、3 年の間は、発生するバグの数を極めて少なく保つことに成功している。 とても大きく複雑で、かつレイヤ的に OS に近い処理をたくさんやるプログラムを書く場合は、プログラミングをするときでも、事前の設計が極めて重要となる。設計をうまく行わないと、後になって全面的に書き直しをしないといけなくなったり、パフォーマンスが低下したりする原因となり、開発者の苦痛の原因となる。 当然のことながら、これまで書いたいくつかの大きく複雑といえるソフトウェアの大半の設計も、自分で行った。いかなる場合でも、設計は、最初の 1 回目で確定
標準化活動は、知的財産と一体として運用しなければビジネス上の価値を出せない。知的財産は、占有して利益を独占することも可能だが、普及させてロイヤリティ収入を得ることや、無償で提供して技術をプラットフォーム化し自社のポジションを有利に築くこともできる。そして、標準化とは、この「自社にとって有利な技術を他者に使わせる」上で有効なツールといえる。 しかし、標準化は企業間の話し合いを伴うことが多いため、その活動を行う企業にとって、競争法違反は最も懸念すべきリスクであり、常にこの問題を回避しつつ活動を進めなければならない。特に日本企業は、競争法違反に対する不安感が強く、競争法は標準化活動のリスクと認識されている。ところが、競争法には、標準化活動を制限するだけでなく、標準化活動を支援する役割も期待できる、特に標準技術利用における知財リスクの回避に対する期待は大きい。 昨今、技術の高度化と製品の複雑化によ
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