関東大震災・朝鮮人虐殺は「正当防衛」ではない 工藤美代子著『関東大震災――「朝鮮人虐殺」の真実』への批判 山田昭次 日本史 社会 #関東大震災#朝鮮人虐殺 韓国強制併合一〇〇年を迎えて日本の植民地支配責任を真剣に考え、これを清算しようとする動きが展開されている。しかしこの時期に、これとまったく逆行して日本の植民地支配責任を全面的に否認する動きがある。その一つの現われが工藤美代子著『関東大震災――「朝鮮人虐殺」の真実』(産経新聞出版、二〇〇九年)である。(注1) (注1)同書は、小学館から発行されている雑誌『SAPIO』二〇〇八年五月一四日号から二〇〇九年七月二二日号に「関東大震災〝朝鮮人虐殺″の真実」と題して連載した原稿に加筆・訂正したものである。 彼女は同書で、これまで「震災に乗じて朝鮮の民族独立運動家たちが計画していた不穏な行動は、やがて事実のかけらもない『流言蜚語』であるかのように伝