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ブックマーク / hagamag.com (39)

  • 「パンク」とは何か? ──反権威、自主管理、直接行動によって、自分の居場所を作る革命|『Punk! The Revolution of Everyday Life』展主宰・川上幸之介インタビュー

    「パンク」とは何か? ──反権威、自主管理、直接行動によって、自分の居場所を作る革命|『Punk! The Revolution of Everyday Life』展主宰・川上幸之介インタビュー 「パンク」とは何か? コロナ禍の日にあって大いに話題となった展覧会『Punk! The Revolution of Everyday Life(パンク!日常生活の革命)』展の全貌、そして今あらためて「パンク」を知ることの意義について、企画&キュレーションを担当した川上幸之介氏に話を訊いた。 「パンク」という言葉から皆さんは何を連想するだろうか? 音楽のジャンルとしては、セックス・ピストルズやクラッシュが有名で、パンク・ファッションの典型といえば、モヒカン・ヘアや鋲ジャンを思い浮かべる人も多いだろう。しかし、「パンク」には、DIY精神を尊び、自主独立のライフスタイルを奨励し、インディペンデントでク

    「パンク」とは何か? ──反権威、自主管理、直接行動によって、自分の居場所を作る革命|『Punk! The Revolution of Everyday Life』展主宰・川上幸之介インタビュー
    stonedlove
    stonedlove 2021/12/23
    PUNKS NOT DEAD👊💣💥
  • 太田光海 × 清水高志|巨大な夢が繁茂するシュアール族の森で──複数の世界線を生きる|映画『カナルタ 螺旋状の夢』公開記念対談

    太田光海 × 清水高志|巨大な夢が繁茂するシュアール族の森で──複数の世界線を生きる|映画『カナルタ 螺旋状の夢』公開記念対談 南米エクアドルのアマゾンに暮らす先住民族シュアール族と起居を共にし、奥深い熱帯の森での暮らしの断片を撮影した映画『カナルタ 螺旋状の夢』を巡って、監督の太田光海と哲学者の清水高志が語り合う。 南米エクアドルのアマゾンに暮らす先住民族シュアール族と起居を共にし、奥深い熱帯の森での暮らしの断片を撮影した太田光海監督の映画『カナルタ 螺旋状の夢』が、現在公開されている。 現時点(2021年10月11日)で公開からまだ10日足らず、加えて現状では渋谷イメージフォーラムと岡山の円◎結の二館のみの上映にも関わらず、作にはすでに各方面から数多くの賞賛が寄せられている。 実際、観たものがそれについてを語り出さずにはいられなくなるような、不思議な魅力を持った作品なのだ。それはちょ

    太田光海 × 清水高志|巨大な夢が繁茂するシュアール族の森で──複数の世界線を生きる|映画『カナルタ 螺旋状の夢』公開記念対談
    stonedlove
    stonedlove 2021/10/13
    この映画観たい!
  • 今、戦略的に「自閉」すること──水平的な横の関係を確保した上でちょっとだけ垂直的に立つ|精神科医・松本卓也インタビュー

    今、戦略的に「自閉」すること──水平的な横の関係を確保した上でちょっとだけ垂直的に立つ|精神科医・松卓也インタビュー ともすれば、過剰に「開かれ」すぎてしまったがゆえのディスコミュニケーションが目立つ現在、あらためて「自閉」という状態の持つ可能性を探る。精神科医・松卓也氏インタビュー。 一般に主体のあり方をめぐっては、外に向かって「開かれ」ている方がより望ましく、逆に自らのうちに「閉じて」しまうことは望ましくないという、なんとなくの印象がある。言い換えれば、よりコミュニカティブであることが素晴らしく、そうでないことは悪いことであるという、うっすらと、しかし広く蔓延した信念のようなものが存在する。 近年、精神分析においても注目を集めている「自閉症」や「アスペルガー」が治療すべき病、定型的な主体モデルから逸脱した異常性として捉えられている背景には、おそらく、そうした常に「開かれ」ていること

    今、戦略的に「自閉」すること──水平的な横の関係を確保した上でちょっとだけ垂直的に立つ|精神科医・松本卓也インタビュー
  • 其の三

    インターポールを通じて125カ国に国際特別手配された、最初の〈ザ・ヤクザ〉。小野忠雄が語るゴロマキ人生。 <<第二回を読む 亀と拳銃 巽会から受けた最大の恩恵は拳銃だった。 「あの頃は、どこでも撃てましたね。気楽な、いい時代です。海辺に、防波堤があるでしょう。でっかい防波堤の下(海側)に下りると、だいたいの音が消えるんです。それで、瓶やら缶やら撃ってね。初めての道具は、38口径。 『撃ってみろ』って渡されて、めちゃくちゃ面白かったんだけど、弾がぜんぜん。この頃は(闇で流通する弾薬の値付けが)高かったから、巽会にもそんなになくて」 そこで、小野は自分で仕入れることにした。まだ、1ドル/360円だった1970年、ちょうど前年に入籍、出産したを連れてハワイへ出かけたのである。当時、ブルース・リーが好きだったので、長男には竜と名付けた。 初めての海外旅行にあたり、小野はジャルパックを使ったことの

    其の三
  • 其の一

    インターポールを通じて125カ国に国際特別手配された、最初の〈ザ・ヤクザ〉。小野忠雄が語るゴロマキ人生。 ゴロマキの始まり 小野が持っていた「週刊宝石」(昭和57年9月18日号)の記事。 刑事を引き連れて、ゴルゴ13が帰ってきた――ように見えるが、彼は小野忠雄という。 年齢不詳の殺し屋ではなく、36歳のヤクザ。 国際刑事警察機構(インターポール)を通じて125カ国に国際特別手配された、最初の〈ザ・ヤクザ〉である。約3年半にわたって海外逃亡を続けた後、1982年8月31日にマニラに姿を現し、成田空港へ戻ってきた。 「サングラスは自分で買ったんだ。スーツは、『報道特集』の野郎がマニラまで持ってきた」 TBSとは奇縁があった。 日の敗戦からほどない1945年の12月、赤坂のTBS社屋の向かいで、小野は生まれた。一ツ木通りの判子屋だ。焼け野原の東京ではえないので、母の寿美江と祖父母は、赤ん坊の

    其の一
  • 「デモクラシーとは土民生活である」──異端のアナキスト・石川三四郎の「土」の思想|森元斎インタビュー

    大地を「教育者」と見立て、デモクラシーを「土民生活」と訳し、民衆に土の主人公たる「土民」として生きることを説いたアナキスト・石川三四郎。「土」に根ざした暮らしの中に政治的な闘争のありかを見定めた石川の「土」の思想とは何か。 「吾等の生活は地より出で、地を耕し、地に還へる、是のみである。之を土民生活と言ふ。真の意味のデモクラシイである。地は吾等自身である」(『土民生活』石川三四郎) 大地を「教育者」と見立て、デモクラシーを「土民生活」と訳し、民衆に土の主人公たる「土民」として生きることを説いたアナキスト・石川三四郎。 「土」に根ざした「土民」としての暮らし。そこに政治的な闘争のありかを見定めた石川の、「土」の思想とは何か。 アナキズム研究者であり、9月に復刊された大澤正道の『石川三四郎 魂の導師』へも解説文を寄せている森元斎に話を訊いた。 インタビュー・文/辻陽介 いかにナチスから「土」を奪

    「デモクラシーとは土民生活である」──異端のアナキスト・石川三四郎の「土」の思想|森元斎インタビュー
  • 砂澤ビッキと「二つの風」──芦原伸『ラストカムイ』を読んで|辻陽介

    アイヌとは誰のことか、どこから来て、どこへと向かうのか──芦原伸の『ラストカムイ』は、砂澤ビッキという昭和を生きたあるアイヌの足跡を丹念に追うことを通じて、かかる“厄介”な問いへと向き合った一冊だった。 札幌の森に吹く「四つの風」 アイヌとは誰のことか、どこから来て、どこへと向かうのか── 芦原伸の『ラストカムイ』は、砂澤ビッキという昭和を生きたあるアイヌの足跡を丹念に追うことを通じて、かかる“厄介”な問いへと向き合った一冊だった。普段、僕は書評や感想というものをあまり書かないのだが、このについてはどうしても書かずにいられそうにない。それくらい、僕はこの『ラストカムイ』にらってしまった。ツイッターで済まそうとも思ってはみたものの、それにしてはいささか長くなりすぎてしまいそうだ。折角なのでここにひっそりと、感じたところを書き綴ってみることにしたい。 書の主人公である砂澤ビッキとは、北海

    砂澤ビッキと「二つの風」──芦原伸『ラストカムイ』を読んで|辻陽介
  • かつて祖先は、歌い、踊り、叫び、纏い、そして屍肉を喰らった──生命と肉食の起源をたどるビッグヒストリー|辻村伸雄インタビュー・前編

    かつて祖先は、歌い、踊り、叫び、纏い、そして屍肉を喰らった──生命と肉の起源をたどるビッグヒストリー|辻村伸雄インタビュー・前編 かつて僕たちの祖先はスカベンジャー、すなわち「屍肉漁り」であったという。肉の持続可能性がさまざまな側面から危ぶまれている今日、僕たちはあらためて「肉」と「」の起源へと向かい、その歴史をふたたび編み直す必要があるのではないだろうか。ビッグヒストリーの研究家・辻村伸雄氏に話を訊いた。 かつて僕たちの祖先はスカベンジャー、すなわち「屍肉漁り」であったという。 肉の持続可能性がさまざまな側面から危ぶまれている今日、僕たちはあらためて「肉」と「」の起源へと向かい、その歴史をふたたび編み直す必要があるのではないだろうか。 アジア・ビッグヒストリー学会の会長であり、論文「肉と口と狩りのビッグヒストリー」の著者である辻村伸雄氏に話を訊いた。 (Interview&Te

    かつて祖先は、歌い、踊り、叫び、纏い、そして屍肉を喰らった──生命と肉食の起源をたどるビッグヒストリー|辻村伸雄インタビュー・前編
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    stonedlove 2020/07/31
    HAGAZINEには思いもよらない角度から不意打ちを食らって目が覚めるような記事が多い。これもそう。おもしろいなあ。
  • #19「女」と「タトゥー」と「男」たち・前編

    タトゥー・アーティスト大島托が世界中の「タトゥー」を追い求めた旅の記録。20世紀後半のタトゥーブームを牽引したのは主に「男」たちだった。しかし、今、タトゥー業界は「女」たちによって牽引されつつある。 << #18「タトゥーを世界に向けてアピールする国家的プロジェクトに──マルケサスの“流儀を超えた”進化」を読む ✴︎✴︎✴︎ 気がつくといつの間にやらそうなっていた。 いや、女だらけになっていたのだ。 どこがって、うちのスタジオがだ。 いや、うちだけじゃない。世界中のタトゥースタジオがだ。 というかこれはそもそも世界中のクライアントたちがだ、というべきだろうか。 ✴︎✴︎✴︎ 20世紀末のタトゥーブームを牽引した男たち 僕がタトゥーを始めた頃は男ばかりだった。90年代半ばのゴアにはプロから趣味のアマチュアレベルまで、ワンシーズンに30人ぐらいのタトゥーイストが出入りしていたが、女は1人か2人

    #19「女」と「タトゥー」と「男」たち・前編
  • 磐樹炙弦 『ウィッチ・フェミニズム──現代魔女運動の系譜』 #01 序論「"私たちのフェミニズム"の耐えられない軽さ」 | HAGAZINE

    20世紀後半の第二波フェミニズムから21世紀初頭の第三波フェミニズムのうねりにおいて、如何にしてフェミニストと魔女たちの共謀がとりなされたか。その年代記を現代魔術研究者の磐樹炙弦が紐解く。 エマ・ワトソン、グレタ・トゥーンベリ、ひろゆき 2020年2月7日、ハフィントンポスト日語版に掲載された記事「ひろゆきさん、どうして『今の日では“フェミニズム”って言葉を使わないほうがいい』のですか?」と、続くハッシュタグ #私たちのフェミニズム での炎上は、日語圏における「フェミニズム」を取り囲む状況について、改めて考えさせられるものであった。 https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5e3cb7f5c5b6b70886fd0627 件の記事では、「今の日」で「フェミニズム」という「言葉」が如何に扱われているかを明らかにするため、敢えて専門家で

    磐樹炙弦 『ウィッチ・フェミニズム──現代魔女運動の系譜』 #01 序論「"私たちのフェミニズム"の耐えられない軽さ」 | HAGAZINE
    stonedlove
    stonedlove 2020/02/13
    ひろゆきにはもっと言いたい放題言わせて「主戦場」みたいに編集してほしかった。
  • タトゥー文化の復興は、先住民族を分断、支配、一掃しようとしていた植民地支配から、身体を取り戻す手段──タトゥー人類学者ラース・クルタクが語る

    タトゥー文化の復興は、先住民族を分断、支配、一掃しようとしていた植民地支配から、身体を取り戻す手段──タトゥー人類学者ラース・クルタクが語る ディスカバリーチャンネルの人気番組「Tattoo Hunter」のレポーターとしても知られるタトゥー人類学者ラース・クルタクに、現代においてトライバルタトゥーの記録を収集すること、そして現代にトライバルタトゥーを復興させることの意義について、話を訊いた。 米国出身のタトゥー人類学者ラース・クルタクをご存知だろうか。英語圏ではディスカバリーチャンネルの人気番組「Tattoo Hunter」のレポーターとしても知られるラースは、1990年代より、世界各地の先住民族たちの居住エリアを旅しながら、その地とその地の人々に受け継がれてきた伝統的なタトゥー(あるいは様々な身体改造)と、その背景にある宇宙観についての調査を行なってきた文化人類学者である。 彼の実践的

    タトゥー文化の復興は、先住民族を分断、支配、一掃しようとしていた植民地支配から、身体を取り戻す手段──タトゥー人類学者ラース・クルタクが語る
  • #12 歴史を狩るハンターたちの教え

    文化人類学者・神秀爾によるジャマイカ・レゲエの旅。ボボとSOV、そして日のラスタたちの実践についてのレポートを経た最終回、あらためて、現世を生きるための教えであり実践としてのラスタファーライの豊かな可能性を考える。 ギルロイの根(roots)と経路(routes) ここまで11回、ラスタのことを書いてきた。初回に書いたことなどは、もう少し時間が経つと気恥ずかしくて消してほしくなるような中身な気がするけれど、2-7回はボボのこと、8-10回はスクール・オブ・ヴィジョンのこと、前回の11回は日のことを書いてきた。全12回の予定だったので、ひとまずここで、これまでの話をいったんまとめておきたい。 この連載の主題はhistory huntersとなっているけれど、実はそのことについては何も触れてきていないので、今回はその話をしないといけない。あと、連載の初回で出したキーワードに、マルチ・グラ

    #12 歴史を狩るハンターたちの教え
  • #11 共生する日本のラスタファーライ── 「それは宗教ではなくて生き方だ」

    文化人類学者・神秀爾によるジャマイカ・レゲエの旅。ラスタファーライの歴史と実践を追う。第11回は日のラスタファーライについて。 日のラスタ現象の特徴 今回は日のラスタについて書いていきたい。これまでの連載ではなるべく「ジャマイカのラスタは・・・」という全体論的な書き方はせずに、なるべく具体的な話を出しながら、ボボを中心とした特定の集団の特定のトピックに焦点を当てて書いてきた。ジャマイカのラスタファーライ全体の歴史や傾向には十分注意を払うけれど、その情報を元に個人の嗜好や内面を推測するような分析的な語り口とは距離を置いてきた、と言えばわかりやすいだろうか。当然日の話を書くときにも同じような距離感は大切になる。 あらためて、今回は日のラスタについて、である。今回はぼくなりに腑に落ちているところから、日のラスタ現象の奥深さや面白さについて少し書いていきたい。日のラスタについては単

    #11 共生する日本のラスタファーライ── 「それは宗教ではなくて生き方だ」
  • #11 バンクーバーでは“アレ”がいくらでも好きなだけゲットできる

    タトゥー・アーティスト大島托が世界中の「タトゥー」を追い求めた旅の記録。第十一回の舞台は90年代のカナダ・バンクーバー。まったく信じがたいことだったが、それはきわめて手軽に、いくらでも好きなだけゲットできたのだ。 まったく信じがたいことだったが、それはきわめて手軽に、いくらでも好きなだけゲットできたのだ。 そう、ただバンクーバーにいるというだけで。 熱帯魚のような男はベーっと舌を出した 工場地域のガスタウンはガラの悪いエリアとされている。 観光客でにぎわうショッピング街や大きなビルが立ち並ぶオフィス街とも隣接しているのだが、ここに一歩入るといきなり空気が変わるような感じだ。危険、ということではない。なんかこう、荒んでいるのだ。港湾都市にそういう一隅があるのはどうやら世界共通の現象のようだ。 そのガスタウンでテキトーに宿を決め、荷物を部屋に置いて平日のまだ昼前の通りをぶらつき始めるとスケボー

    #11 バンクーバーでは“アレ”がいくらでも好きなだけゲットできる
  • 暮らしに浸り、暮らしから制作する──嗅覚アートが引き起こす境界革命|オルファクトリーアーティスト・MAKI UEDAインタビュー

    暮らしに浸り、暮らしから制作する──嗅覚アートが引き起こす境界革命|オルファクトリーアーティスト・MAKI UEDAインタビュー なぜ嗅覚はこれまでアートから排除されてきたのか。そして、嗅覚アートの誕生はアートシーンに一体どのような変革をもたらすのか。オルファクトリーアートのパイオニアであるMAKI UEDAが語る。 現在、石垣島に暮らすMAKI UEDAは、ここ十数年、アートにおいて徐々にその存在感を増している嗅覚アート(オルファクトリーアート)のパイオニアである。 これまでに「ART AND OLFACTION AWARDS」をはじめとする世界のさまざまな嗅覚アートのコンペティションで入賞を果たし、オランダの王立大学では世界初となる嗅覚アートのクラスを教え持った経歴を持つMAKI UEDAだが、実はアーティストとしてのキャリアのスタートにおいてはメディアアートを専門としていたという。コ

    暮らしに浸り、暮らしから制作する──嗅覚アートが引き起こす境界革命|オルファクトリーアーティスト・MAKI UEDAインタビュー
    stonedlove
    stonedlove 2019/09/24
    オルファクトリー・アート(Olfactory art)
  • 私の子だからって私だけが面倒を見る必要ないよね? ──エチオピアの農村を支える基盤的コミュニズムと自治の精神|松村圭一郎インタビュー

    私の子だからって私だけが面倒を見る必要ないよね? ──エチオピアの農村を支える基盤的コミュニズムと自治の精神|松村圭一郎インタビュー 移民と出稼ぎが多く流入するエチオピアの農村においては、家と家との垣根が低く、システムに多くを頼ることのない、自律的で相互浸透的な生が営まれているという。90年代末よりエチオピアの農村をフィールドワークしてきた文化人類学者・松村圭一郎氏に話を訊いた。 現代社会の生きづらさを、政治や社会、法律やルールなど「システム」のせいにして語ることは、とても簡単だ。あるいは人類学のなどを読んで、そのが記述する「遠く」の人々の暮らしをロマンチックに憧憬し、あたかもそこがユートピアであるかのように賛美した上、そうなってはいない自分たちの暮らしを社会のせいにして失望することもまた、同様に簡単だろう。もちろん、そうした見方にも一理はある。しかし、それはともするとシステム依存的な

    私の子だからって私だけが面倒を見る必要ないよね? ──エチオピアの農村を支える基盤的コミュニズムと自治の精神|松村圭一郎インタビュー
  • #10 自律と連帯のはざまで ── お前たちはなぜターバンを取らないのか

    文化人類学者・神秀爾によるジャマイカ・レゲエの旅。ラスタファーライの歴史と実践を追う。なぜ彼らはスクール・オブ・ヴィジョンに辿り着き、またなぜそこから離れていくのか。排他性と包摂性、集合と離散をめぐって。 それぞれのヴィジョン 8回目の連載のおわりの方で、いろんな信徒がいろんな経緯でSOVにたどり着いているということを書いた。9回目の連載では、SOVは洗礼という他にはないものを追加することで、特定の宗派やグループに強いコミットメントをもたないラスタを包摂している可能性について触れた。ここで考えて欲しいのは、ぼくたちは、しばしば誰かがいまいるポジションやステイタスを最終的なもの、そうでなくても重要なアイデンティティと考える癖があるけれど、当にそうなのか、ということだ。言い換えると、SOVが信徒にとって最終的な場所ではない可能性、SOVというアイデンティティが決定的に重要なものではなくなる

    #10 自律と連帯のはざまで ── お前たちはなぜターバンを取らないのか
  • #09 マイクロチップは「悪魔の徴」である──スクール・オブ・ヴィジョンの終末思想

    文化人類学者・神秀爾によるジャマイカ・レゲエの旅。ラスタファーライの歴史と実践を追う。スクール・オブ・ヴィジョンではマイクロチップが「悪魔の徴」と考えられている。なぜか。 2007年、世界が終わる 前回は、SOVコミューンの概略が中心だった。今回は主に、その教えや主張について書いていきたい。 前回、さらっと書いただけでほったらかしにしていたことがある。それは、SOVが「来るべき終末に向けて、洗礼を受けて生まれ直すことをすすめる」ということだ。探せばほかにもあるんだろうけど、2008年当時、他に洗礼を取り入れているラスタを知らなかったこともあって、SOVを知っていくときには、このことを大事なキーワードにした。 まず、終末という言葉について考えておきたい。ここでいう終末というのは、終末論という言い方をされるように、「世界の終わり」のことを指している。終末については過去から現在まで、無数の想像

    #09 マイクロチップは「悪魔の徴」である──スクール・オブ・ヴィジョンの終末思想
  • #08 宗派“スクール・オブ・ヴィジョン”と、その経済を支える弁当屋“ラスタラン”

    文化人類学者・神秀爾によるジャマイカ・レゲエの旅。ラスタにはいろんな宗派があり、ボボはその一つに過ぎない。たとえばコーヒーで有名なブルー・マウンテン山麓に視線を転じれば、そこには1990年代に登場した宗派、スクール・オブ・ヴィジョンのコミューンがある。 1990年代に立ち上げられた新宗派“スクール・オブ・ヴィジョン” 前回までは、主にボボヒルについて書いてきた。ボボはメインストリームではないし、ラスタにはいろんな宗派(グループ)があるので、今回を含めて2〜3回は通称スクール・オブ・ヴィジョン(Haile Selassie I School of Vision、以下SOV)と呼ばれる宗派について書きたい。この宗派には2008-2009年にかけて、短期滞在を繰り返していた。今回は信徒の概略とぼくが調査をしているときによく行った、彼らの経営する弁当屋についての話が中心だ。 SOVもボボと同じよ

    #08 宗派“スクール・オブ・ヴィジョン”と、その経済を支える弁当屋“ラスタラン”
  • #08 死後の闇を照らすフラクタルの文様──ボルネオ島の首狩り族タトゥー・後編

    タトゥー・アーティスト大島托が世界中の「タトゥー」を追い求めた旅の記録。第八回は前回に引き続きボルネオトライバルシーンをめぐって。ボルネオタトゥーのリバイバルを牽引するエルネスト・カルムとジェレミー・ローという二人の偉大なるタトゥーイストとの交流の中で見えてきたタトゥーの質とは。 <<#07 死後の闇を照らすフラクタルの文様—ボルネオ島の首狩り族タトゥー・前編を読む アジアに拡散する中華系 ボルネオは国としてはマレーシアなので、安い生活物価と高い仕事のギャラという僕好みの経済バランスとは違い、物価は結構高くてギャラはローカルプライスという環境であり、さらに地元の一般の人々のタトゥー熱がそれほど高いわけでもないし、かといって欧米からの旅行者がそんなに多いわけでもない。東南アジアの現代タトゥーシーンを実質的に支えているのは中華系の人々だ。 まず北方アジア人なので肌色が明るくタトゥー向きなこと

    #08 死後の闇を照らすフラクタルの文様──ボルネオ島の首狩り族タトゥー・後編