ノンフィクション作家・河合香織氏の新連載「老化は治療できるか 人は何歳まで生きられるのか――最新研究の現在地」を一部転載します。(月刊「文藝春秋」2023年3月号より) 【写真】この記事の写真を見る(3枚) ◆◆◆ 今、老化制御ビジネスが世界中で高い注目を集めている。 「不老不死は難しくても、寿命を100年延ばすことはできるのではないか」。グーグル共同創業者のラリー・ペイジは、こう発言している。そして寿命を劇的に延ばすことを目標とする研究所「カリコ」を設立し、15億ドルを投資した。 グーグルの投資部門の責任者だったビル・マリスもこんな予測を口にする。 「人は500歳まで生きられる」 「私は死ななくてもすむようになるまで長生きしたい」 実際、アメリカでは老化予防ベンチャーの設立が相次いでいる。 権力も金もほしいままにした人間が、究極的に求めるもの……秦の始皇帝も、エジプトのファラオも、そして