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ブックマーク / iwanoaida.hatenadiary.com (21)

  • 心臓の奥にあるというその形の無い部位 - 光速

    誰かに熱い目で見られてそれを心地よく思うとき、 そう私こそがあなたの運命の人ですよと思う。 それは別に私があなたの結婚相手ですよというわけではなく。 いやそうなのかもしれないけど、そうである必要もなく。 運命というのはつまり、 あなたが今まで誰にも触れられたことのないような、 心臓の奥にあるというその形の無い部位に私はきっと触れられるという胸騒ぎにも似た期待のことなんじゃぁないか。 消えないままの傷を癒してあげたいか、 一生消えない傷をつけてやりたいのかでその人の創作意識の核心に触れることができるという。だとしたら、 私はそのどちらなのだろうかと時折立ち止まって考え込んでしまう。 何も創作のことだけではなく。 必要にかられて他者の人生をジャッジするとき、 自分の加害者性を思い知らされるとき、 私は私のことを憎みそうになる。 別にそれでいいよと言ってくれる人もいる。そう言ってくれる人たちと冷

    心臓の奥にあるというその形の無い部位 - 光速
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    sukeroc 2022/07/09
  • 感謝なんかしない - 光速

    家族が帰ってきた声がして、聴いていた音楽を消す。カネコアヤノの『燦々』ってアルバムの曲を流しながら、タマネギを炒めていた。バイトが終わって、(というかフェードアウトして)頭の中を流れていたうるさい言葉が消えた。嫌いな人に会わないと何も考えないんだろうか。怒るために生きているわけじゃないのに、怒っていると生活が輝きがちだ。でも、私は嫌いな人に感謝なんかしない。 カネコアヤノ、言ってることも音もシンプルなとこがいい。あとは、怒鳴ってるみたいな歌い方とか、それがかっこいいこと とか、あんまり顔に色を塗らないところとか、それが綺麗なこと とかに、なんとなく救われるし、そういう新しさ全部含めてポップスターって感じがする。もっと売れないかなあ。でも、紅白出るくらい売れたらそれはそれで困るかも。当たり前なこと言っちゃった。あいみょん、母親も弟も好きで、みんなで車に乗るときはよく流れてる。私も好きな曲ある

    感謝なんかしない - 光速
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    sukeroc 2020/01/21
  • あなたのつまらなさにいつも傷ついていた - 光速

    マグカップ、忘れるところだった! と言って、職場に置いてるムーミンのマグカップを見ていた人が、翌日ちゃんとそのマグカップを忘れていった。それを片づけの日に預かって、バイトが終わって、ちょっと日を置いてからその人に連絡して、お茶をしにいった。バイト先の近くにある、鳥の名前のカフェに行ってみたかったからそこを提案したんだけど満席で、だめだったから田んぼの脇にあるカフェに行った。過去につきあっていたDV彼氏の話とかを、ちゃんとオチもつけて惜しみなく話してくれるような人だから、思ってた通り数時間お茶2杯でたのしく過ごせた。かわいいクマのクッキーをくれた。私は、時間や気持ちの使い方がケチじゃない人のことが好き。 話をしていたらその人が以前東京で勤めていたブラック企業の話になって、芋づる式に私が今年のあたまに辞めた会社のことが思い出された。最初は単に、話に同調していることを示すためのお茶請けとしてその

    あなたのつまらなさにいつも傷ついていた - 光速
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    sukeroc 2019/11/30
  • 姿 - 光速

    昨日、母が夕方に出かけていくときに「誰に会うの?」と聞いたら、「年に一度、七夕の時期に会うことにしているママ友」と答えられ、友情にしてはロマンチック過多だった。七夕なんて忘れていたな。一方私は夕飯の支度を頼まれ、トマトスープをつくったはいいものの、父に「何これ?汁物?」と予想外に定義の部分を聞かれ、若干落ちこむなどしていた。水気が少なかったかもしれない。 バラエティのやりとりに声をあげて笑えるようになっている。「そろそろ大丈夫」と何回も口にして、その度に自分に裏切られているから、もうそういうの、いいかな。ここからがダメでここからが大丈夫なんていうわかりやすい境界線が見えていれば、そもそも人は限界を見誤らない。せめて、何かを信じることが自分を裏切ることにならないようにしようと思って、そうやって毎日を暮らしているけど、すぐにわからなくなる。迷う。出かける前にふと鏡の前に立ち、前髪を直すとき、

    姿 - 光速
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    sukeroc 2019/07/08
  • 白のフワフワ - 光速

    近所の緑色の生け垣に、なんらかの白いふわふわが突っ込まれているので、何かと思い近づいてみたら、抱きしめて寝るのにちょうどよさそうなサイズのスヌーピーだった。おそらく洗い立ての。世の中にはこんな風な愛し方もあるのかと思った。 何を見ても何かを思い出す。これって何のタイトルだったっけ と調べてみたらヘミングウェイの書いた何かだった。ヘミングウェイ読んだことない。今は何も思い出すことのない音楽が聴きたくて、Spotifyのシャッフル機能を使って名前の知らない人の歌を聴きながら眠りにつくのを待つことがある。すごくいい映画に「自分のすることを愛せ」というセリフがあるんだけど、それができるようになりたい。 家賃を払いに行ったら、道中つつじが狂ったように咲いており、あの頃はつつじが狂ったように咲いてる町に住んでたな、と5年後くらいにこのマゼンタの花の色を思い出せたらいいと思った。長野に戻りたいとかオレは

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    sukeroc 2019/05/06
  • いっしょになれはしないのに - 光速

    いろんなことに疲れきっていてどうしたらいいのかわかんない。やりたいことはあるんだけど、どこから手をつけたらいいのか整理なんてつかないから、とりあえずトーストを焼いたりシャツを干したりしているうちにくたびれて眠ってしまう。焦りばかりが先走って、地平線のむこうで輪郭をゆがませている。だらしないまま愛されるならいいのに、そういうわけでもないから明日も顔を洗って出かけるんだろうよ。 週明けまでのタスクが無事に終わるのか不安で、今日も残業してしまった。質のいいものをつくりたいという気持ちはあるけど、集中力がつづかないから終電より前に帰路につく。帰り道、高架下でハーモニカを吹いてるおじいちゃんがいて幻覚かと思った。ていうかハーモニカ、めちゃくちゃうまくて。ハーモニカって上手にふけたことないし、現実味、ないなーと思った。まあそんなことはいいんだけど、このところはもう二度と会うこともないだろう人達がやけに

    いっしょになれはしないのに - 光速
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    sukeroc 2018/12/01
  • 海のむこう - 光速

    夜中にエッフェル塔の写真が届く。指先でズームする。フランスにいる先輩と、交換日記のように時差のあるLINEのやりとりを続けているんだけど、これがなんだかとても楽しい。なぜフランス人はフランスパンを剥き出しで持ち歩くのか、という考察が名文なので、みんなにも読んでほしいくらいだ。 ここ数日、杉崎恒夫さんの「パン屋のパンセ」を読みこんでいる。私は一度読んだを読み返すってことを滅多にしないから、これはかなり好きってことだ。たった一行の透明な世界。肺炎で亡くなられたからだろうか。文字にふくまれている酸素が多い気がする。ぜん息気味のときに読むと心地いい。もっと書きたいことがあったような気がしたけど、もう亡くなってしまった人のを買っても、もう読んでもらえない感想を書いても、なんだかしょうがない気がする。間に合わなかった感想を書いている。 不可思議/wonder boyも笹井宏之さんも26歳で亡くなっ

    海のむこう - 光速
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    sukeroc 2018/09/28
  • 覚えている - 光速

    連休中は祖母の3回忌があり、実家に帰省した。前日、末の弟がピアノを教えてほしいとせがむので、途中まで読みを書いてあるジムノペディの楽譜を渡して、ピアノで遊んでいた。そういえば今までも何度か頼まれて、その度冴えない返事をしてうやむやにしていた。教えられるほど、ピアノを知っているか不安だったのだ。楽譜は昨年の夏休みに買ったものだ。まだ弾けない。しかしバイエルは捨ててしまっていた。電子ピアノの鍵盤を撫でて、基準となるドの話やト音記号とヘ音記号の話、シャープの効果など、ごく基的なことを話した。ピアノを習っていたのはもう十五年も前のことなので、自分がすらすらとそういった情報を口にするのを不思議に思った。 身体で覚えたことを、覚えていることをいつも不思議に思う。言葉で思い出せないことはすこし信用できない。弟は今年大学生になったのだが、今でもギターでの作曲をつづけているらしく、楽譜の読み方がわかってう

    覚えている - 光速
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    sukeroc 2018/09/24
  • 乳白色のはだか - 光速

    明け方の5時、寝つけなくてゴロゴロしていたら、フランスにいる先輩からセーヌ川の写真が送られてきた。美術館の絵で見たことがある景色のような気がするなあと思った。「フランス人がフランスパンをむきだしで持ち歩いてるところを目撃したら、私に教えてくださいね」と返信した。 今年の夏は暑すぎて、せっかく時間があるのに美術館にめっきり行ってなかった。ちょうど独りに煮詰まってしまったと思っていたので、今日はどこかに行くことにした。展示情報を見てみたけど「これだけは行かなくちゃ」って直感的に思えるものがどうも都内にはない。東京都美術館の展示室が個人的に好きだからという理由で、藤田嗣治展に行くことにした。夕方に歩く上野は、多少落ちついていた。藤田嗣治は裸婦画が有名だと聞いていたから、「男が描いた裸の女の絵なんかにぜったいぜったい感動しねえぞ」と喧嘩腰で行ったのだけど、乳白色の下地で描かれた裸婦画のゾーンには神

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    sukeroc 2018/09/08
  • あなただけが地獄の入り口 - 光速

    年上女性の笑い皺が好きなんだけど、原田知世以外にも宮沢りえとか、いいよねー。皺のつきかたまでおしゃれで、憧れる。でもそういう人って少数派かな。私はきっと、最強のおばあちゃんになれると思うけどな。「若くてかわいい」そう言われるたびに、いつか「おばさん」のひと言で拒絶されることもあるんだろうなと心配してしまう。言っても、もう25だし、若いって言われるほど若くないはずだ。そんなことを思って、職場の休憩室で白湯を飲んでいたら、「僕が出会った時に、あなたが15才でも35才でも45才でも、きっと好きになったよ」と、言われたことを思い出した。今にしてみれば熱烈な愛の告白だ。そのときには既に愛とか終わっていて、私の耳も手遅れだったから、よく聞こえなかった。でもこういう、その場限りの熱のこもった言葉に、人生のいろんな場面でふいに、体重を軽くしてもらえることがある。不思議なことに、それがたまたま今日だった。な

    あなただけが地獄の入り口 - 光速
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    sukeroc 2018/05/13
  • きみの頭はいつもおかしい - 光速

    今週のお題「私の癒やし」 日曜日の長さに耐えきれないなら いろはす買って 公園にでも行こうか 間違ってもどうでもいい 映画に行こうと誘われて 頭をおかしくされないように パンもコートもいらないくらい 綺麗な石を拾いに行きたい いつになく静かな気分だ こんなとき きみは どんな音楽を聴くんだろうか 今度会ったら教えてくれよ 覚えていたらでいいけどさ 雑草の名前がわからないんだ あれはタンポポで これはじゃらしだろうけど あの綺麗な ぴかぴかしたまっすぐな草 なんて言うの? 愛ってものがあるんだとしたら それは素敵なことだろうけど 女の裏声や 男の香水の よさは僕にゃわからないままだし ファッションのすべてがセックスアピールにうつるなんて 正直 どうかしてると思うよ どうかしてない人生なんかないってことも 知ってるさ でも苛立たしいのは事実だから 拾った石はすぐに投げて捨てるよ もしもきみが

    きみの頭はいつもおかしい - 光速
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    sukeroc 2017/10/26
  • 春とアルコール - 光速

    前を歩く人が上を向いているから、つられて見上げたら桜が咲いてる。なんてことが春には当たり前のように起きて、ロマンチックだ。そんな風に思うのは今お酒が入ってるせいかもしれないけど。あ〜。お酒っていいもんだな〜。 浅草にお花見に行った。浅草寺の付近をぶらぶらしながら桜の写真を撮る、という行為をお花見と呼んでるだけなんだけど。楽しかったな。無職だから自粛しようと思ってたんだけど、先輩に言われるがまま遊んでしまったなあ。値のはるおいしい天丼をべ、クリームソーダを飲み、お酒を飲んだ。気をつかってくれているのかたくさんおごってもらってしまった。就職が決まったら何かごちそうしてよと言われた。そのときは「あはは〜」と笑い飛ばしてしまったけれど、たしかに何か返せるなら返したいなあ。なかなか自分から人に声をかけにくい状況なだけに、誘ってくれる人の存在がありがたいのだった。 神谷バーという昔ながらの大衆居酒屋

    春とアルコール - 光速
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    sukeroc 2017/04/11
    “普段梅酒しか飲まない身からすると、アルコールの味がして、舌がびりっと痺れた。春の味だ。次はなにかのお祝いに、できれば次のすみかが決まったお祝いに、飲みにきたい”
  • 好きなだけ - 光速

    よく「好きなものを仕事にすると嫌いになる」って言うけど、あれをどう思う? あれは半分ほんとうで、半分はうそだと思う。なぜなら好きなものを好きなだけでいつづけることなどできないからだ。仕事にしたから嫌いになるというのはちょっと違うと思う。好きだなあというきもちは工夫すればもち続けることができる。たとえばとっても気に入った部屋を借りたとする。3ヶ月もすれば飽きてくる。その都度部屋の模様替えをすれば部屋の顔色はその都度変わり、退去するときには最初見たものと変わり果てているだろうけれど、あなたがいる場所は変わらないし、そうすることで部屋に飽きてしまわずにすむのならそのほうがいいんじゃないだろうか。それは好きでいるための努力にちがいない。 まあ、努力なんてしてないんだけど、わたしは喫茶店でぼんやりと音楽を聞いたりコーヒーを飲んだりを読んだりするのが相変わらず好きだ。を読むにも就職情報を漁るにもも

    好きなだけ - 光速
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    sukeroc 2017/03/07
  • 思い出したい - 光速

    夜風が痛くない。どこまでも歩いて行けそうでどこまでも歩き、疲れてファミレスに入った。ファミレスにはファミリーしかいない。ドリンクバーに行きづらい。やっぱり喫茶店だな。と思う。ひとりで行くのは喫茶店だよ。うん、来週、あたらしいお店、どっか、行こう。仕事の関係で外出もままならなかった2週間のおかげで、費をはじめとした、さまざまな生活費が浮いたはずなので、そのぶんのお金を、コーヒーについやすことに決める。 年が明けてから日記もろくに書けなかった。そのぶんのきもちはどこにいってしまったんだろうかと、いまのろのろと探している。書かなくてはいけないことがあふれて、ぼんやりとした色彩になってわたしの目の奥に滲んでいるのがわかる。でもそれを取り出すやりかたがわからない。やりかたを取り戻すために、このところ読んでばかりいる。似ているけれどそれではない。このもどかしさだけが、手がかりになる。言葉を出すと

    思い出したい - 光速
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    sukeroc 2017/02/19
    “このもどかしさだけが、手がかりになる。言葉を出すということは主張を研ぎすますということなので、生活には不都合が多いのだろう。わたしは忙しさにふりまわされ、不都合なわたしを一度捨てたのだ”
  • ハンバーガーなどを食べよう - 光速

    寒さに舞いあがってしまうから、冬はもう終わっていい。わたしの部屋は西向きで、外に出ないと朝がこないから、いつも心の準備ができずに扉を開けるのだけど、まぶしくてびっくりするよ。でも、まあいい。べつに、それはいい。朝は寒すぎないほうがいいけど、空は晴れていたほうがいい。 きょうも働いたなあ。生きのびたなあ。わたしは働くまえの朝が嫌いで、働いたあとの夕方が好き。喫茶店のランチタイムのピークは、わたしが今までの人生で出してきたスピードをやすやすと上回る値を求めてくる。死ぬ気でやっても追いつかない。気でやっているつもりなんだけど、くじけないようにへらへらしていたら「響いてないのかな」と先輩が悩んでいる場面に遭遇した。裏目にでてる……。でも、どうしたらいいのかわかんない。ネットで診断とかしてみても悔しいくらい健康だし、医学が実証してくれない以上、わたしのぼんやりもうっかりも、ただの甘えなんだな。なお

    ハンバーガーなどを食べよう - 光速
    sukeroc
    sukeroc 2017/01/11
    “どうにもこうにもいかなくなったら、一度死ぬつもりで目を閉じる。どうせ、朝になれば目はさめるので”
  • さらば(そういうことなら) - 光速

    わたしなりの追悼で書き始めた俳句が、夕方やっとまとまった。きょうは祖母の四十九日だった。偶然きのう知ったのだけど。明日原稿用紙にまとめて封筒に入れよう。すこし楽になった今となっても、人が死ぬということはよくわからない。これについて話そうとすると、自分の体のおしまいに頭がひっぱられてしまって、陽気なことは何も思いつかなくなりそうだ。だから空とか花とかの話をして、わたしはできるだけきもちをぼんやりとさせておく努力をする。明日の朝は何をべようか。 どこに行ってもゴシップだらけのような気がして、そしてそれをほったらかしておいたほうがいいような気がしていて、しばらく詩の話をしていない。別れの挨拶ばかり上手く綺麗になっていく。さよならだけが人生じゃないなら、これからは悪口よりも、きみの好きなひとの話を聞かせてほしい。

    さらば(そういうことなら) - 光速
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    sukeroc 2016/11/24
  • かんたんじゃない - 光速

    図書館でかりた那珂太郎の詩集をひらいたら、表3の部分に「新國誠一さまへ」という宛名とともにサインが入っている。おいおい。まじか。この驚きが伝わらないともったいないので説明すると、新國誠一というのは、コンクリートポエトリーという、文字の配置で詩を表現してみせるという、よくわからんことをこれまたかっこよくやってのけた、カリスマ・タイポグラファーのことです。これが意味することはひとつ。新國誠一が詩人からサインをもらった。そしてその図書館に寄贈した。那呵太郎さん、なんともクセのきつい文体なのだけど、新國さまが読んでらっしゃったのでしたらがんばって読みます、という敬虔なきもちになったり、ならなかったり。いや、やっぱり好きじゃないもんは好きじゃないかな。 明日カレーべるのに今日カレーべた。休みをもらって何をしているかと思えば、小説を読んだり詩集を読んだり漫画を読んだり。ずっとを読んでいて肩が

    かんたんじゃない - 光速
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    sukeroc 2016/11/06
    新国誠一さま宛すごい
  • タコ - 光速

    指先でつめたい空気をさわって帰る夜道は、「もう秋です」って断言しているね。こごえそうでこごえない、寒さがここちよくって両手が泳ぐ。深夜の道路。 ふいに、末の弟が、告別式に向かうマイクロバスのなかで、「さわってみて」って差し出した左手の指先のタコの感触を思い出す。部活でギターを弾きすぎてできたタコ。 「さいしょずるずるに皮がむけて、気づいたらここだけ硬くなったんだよ」 「進化したんだ」 「そう」 ギターを弾いて、歌って、今じゃ作曲もしているらしい、彼は工学部に行くって言っているけど、親戚に進路のことを聞かれたあとにつまらなそうな顔をしている、おまえがほんとうは嘘をついてるんじゃないかって、わたしは思うんだよ。親戚はみんな好きでもない仕事をしていて、「このまま好きなことだけやってちゃいけないのかな」って不安そうにしている彼に「とりあえず一曲つくってうたってみなよ」と言ったら「そうだね」と言われ

    タコ - 光速
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    sukeroc 2016/10/14
    “朝目がさめて、指先がつるつるになってることに気づいたら死にたいくらいしんどくなっちゃうだろう、おまえの2年後が気がかりだよ”
  • 遠くばかり見ていた - 光速

    窓辺に咲いたキンモクセイが綺麗で、洗濯物を干そうとするたび手がとまる。それにしても、東京にはこの花がとてもたくさん、咲いているね。長野にいたころには気づかなかった。山と田んぼばかり見ていた。この花の名前を知ったのは中学生のころの、音楽の時間だったっけ。形よりも先に匂いを知り、色より先に名前を知った。だからだろうか。キンモクセイと聞くと、オレンジの星型よりも先に、明るい音楽室の床が、目の前に。 資格をとるために毎日大学に通っていた時期がすぎて、頭がぼうっとしている。復帰した喫茶店ではろくに仕事ができない。もともとできなかったけど。相変わらず、先輩達には怒られてばっかりなんだけど、酔っぱらいのお客さんが突然やさしい目をして、「今日はあなたに会えて最高の夜です」とか言うので、くじけずつづけられている。わたしも「そうですか。またお会いしましょう」と返す。ほんの言葉遊びだ。でも、風情があるでしょう。

    遠くばかり見ていた - 光速
  • 枝がぼさぼさの松 - 光速

    デパートの屋上でパンにかじりつきながら、小・中学生のときの読書体験について語らった。最高の日曜日ではないでしょうか。ひさしぶりに空とか雲とかを見た気がする。屋上には子連れが多かった。なんかコインを入れるとうごくアンパンマンの乗り物とか、枝がぼさぼさの松とかあって、いいかんじだったな。あまりについて話さないので人とについて話すたびに新鮮に「やったね!」というきもちになる。でも長いつきあいの友人が実はけっこうを読む人だった、ということが最近よくあり、その都度なんだあ言えばよかったと思いもする。趣味について話すという習慣が自分からは抜け落ちているのかもしれない。なんでだろう。 小学生のときは学校でも家でもずっとを読んでいて、いちばん読書に一途に恋してた時期だったなと思う。今はもう何を読んでも毎日の通勤みたいになっちゃったから、あの頃みたいに熱中している感じを味わえることってほとんどなくっ

    枝がぼさぼさの松 - 光速