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2012年5月23日のブックマーク (9件)

  • 「VANから遠く離れて―評伝石津謙介」書評 先見性を養った人脈と反骨|好書好日

    VAN創業者、石津謙介の生涯と思想を、アイビー・スタイルの提唱者としてのノスタルジーだけではなく、戦後史や都市文化との関係の中に位置づけ、日人のライフスタイルを主導した… VANから遠く離れて―評伝石津謙介 [著]佐山一郎 戦後はじめて10代男子がファッションに心も体もかきむしられた時期がある。60年代、その火をつけたのがVANの石津謙介だ。以後、消費文化がミドルティーンにまで下降し、ファッショナブルという感覚が衣服を越えて生活文化全体にまで広がっていった。著者の言葉でいえば、市場がはじめて「文化的基礎」を必要とした時代であった。 VANにかぶれたこの反抗の世代は、石津に「代理父祖(ゴッドファーザー)」を見た。だからやがて父親殺しの対象にもした。VANは、創業から倒産にいたるおよそ四半世紀間、まるでジェットコースターのような社歴を刻んだ。10代の経験がわだかまったままの著者は、煽(あお)

    「VANから遠く離れて―評伝石津謙介」書評 先見性を養った人脈と反骨|好書好日
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    synapse_books 2012/05/23
    「VANから遠く離れて―評伝石津謙介」
  • 「理系の子―高校生科学オリンピックの青春」書評 無邪気な知的好奇心と探究|好書好日

    「核融合炉」の製作に挑んだ少年、自閉症をもついとこのため教育プログラムを生み出した少女…。世界中の優れた理科の自由研究が集まる、高校生の科学オリンピック「インテル国際学生… 理系の子―高校生科学オリンピックの青春 [著]ジュディ・ダットン 数学オリンピックのように「理系」の国際大会があることは有名だが、北米で盛んな「サイエンスフェア」についてはあまり知られていないと思う。英語で「フェア」というと、家畜や農作物の品評会を連想するのだが、サイエンスフェアもまさに学生たちが研究成果を持ち寄り優劣を競う。まず地域大会があり、最終的には全米大会(国際大会を兼ねる)へと階段がつながっている。上位入賞者には高額賞金が与えられたり、スポンサーが付いたり、若い才能を発掘する、まさに「品評会」として機能している。 書は、サイエンスフェアの最高峰である国際学生科学フェアの2009年大会参加者を中心に「理系」高

    「理系の子―高校生科学オリンピックの青春」書評 無邪気な知的好奇心と探究|好書好日
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    synapse_books 2012/05/23
    「理系の子―高校生科学オリンピックの青春」
  • 「世界が日本のことを考えている―3・11後の文明を問う」書評 国内言論に足りぬ視点想起|好書好日

    世界が日のことを考えている 3.11後の文明を問う−17賢人のメッセージ 著者:共同通信社取材班 出版社:太郎次郎社エディタス ジャンル:社会・時事・政治・行政 ネグリは原発を「怪物」と呼び、アンダーソンは日のナショナリズムに期待を寄せた…。共同通信社が東日大震災後、世界の賢人17人に「3.11 文明を問う」というテーマで敢行… 世界が日のことを考えている―3・11後の文明を問う――17賢人のメッセージ [編著]共同通信社取材班 3・11をめぐる海外の識者へのインタビュー集。「賢人もの」にありがちな欧米・男性・学者中心ではない、多様な人選がまず目を引く。 例えば、アマゾン奥地で育ち、16歳まで読み書きができなかったにもかかわらず、ブラジル環境相まで務め上げた女性マリナ・シルバ氏。同じく極貧家庭に育ちながら「インドの核ミサイルの父」の異名を持つ科学者、のちにインド大統領となったアブド

    「世界が日本のことを考えている―3・11後の文明を問う」書評 国内言論に足りぬ視点想起|好書好日
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    synapse_books 2012/05/23
    「世界が日本のことを考えている―3・11後の文明を問う――17賢人のメッセージ」
  • 「魂にふれる―大震災と、生きている死者」書評 「生ける死者」と共生するとは?|好書好日

    魂にふれる 大震災と、生きている死者 著者:若松 英輔 出版社:トランスビュー ジャンル:哲学・思想・宗教・心理 魂にふれる―大震災と、生きている死者 [著]若松英輔 この拙文は書に誘発された筆者の考えと思っていただきたい。 あの忌々(いまいま)しい津波にさらわれた死者の魂の行方を案じていた頃、書と出会った。そして常に関心事であった「生ける死者」と真正面から対峙(たいじ)する著者の真摯(しんし)な眼差(まなざ)しに共感した。「今日は悲しい」と海に向かってつぶやく初老の男性をテレビカメラが捉える。その言葉を導入として著者の「死者論」が展開される。著者は哲学者池田晶子や万葉歌人の言葉を引用しながら、悲しみは「死者を傍らに感じている合図」と解し、この想(おも)いは著者の中で執拗(しつよう)に反復され、常に読者に寄り添い続ける。 3・11に肉親を失った「君」に悲しみについて語りかける著者はその

    「魂にふれる―大震災と、生きている死者」書評 「生ける死者」と共生するとは?|好書好日
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    synapse_books 2012/05/23
    「魂にふれる―大震災と、生きている死者」
  • 朝井リョウ「少女は卒業しない」書評 乙女っぽさに、かつがれる快感|好書好日

    少女は卒業しない [著]朝井リョウ まんまと、一杯くわされた。と思ったが、考えてみれば、私がまぬけで調査不足だったのである。 まず、タイトルに惑わされた。著者名にも、早合点した。坂龍馬のの龍の字を、無意識に当てていた。何より、表紙の、女高生の横顔写真である。さすがに、作者その人のポートレートとは思わなかったが、書き出しの文章が、いかにも乙女っぽく、描写が女性らしい。登場する小道具が、まず男は気がつかない物ばかりで、たとえば、髪をまとめるピンクのシュシュなど、名称さえ覚つかない。 連作の短編集だが、どれも、高校の女生徒が語り手である。この高校は一年から三年まで、クラス替えがない。今日が、卒業式である。そして明日は、合併のため廃校となり、取りこわされる。 卒業式当日の早朝から夜まで、まる一日の物語である。 特別、変わった生徒がいるわけでない。 ある女生徒は、図書室の貸し出しカウンターに、金

    朝井リョウ「少女は卒業しない」書評 乙女っぽさに、かつがれる快感|好書好日
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    synapse_books 2012/05/23
    「少女は卒業しない」
  • 「低線量被曝のモラル」書評 意見異なる専門家による討論|好書好日

    放射線医学、物理学、哲学、倫理学、情報学など、“低線量被曝”の広大な問題をどう捉えるか。2011年7月に開催された東京大学緊急討論会「震災・原発そして倫理」の記録。「安全… 低線量被曝のモラル [共編著]一ノ瀬正樹、伊東乾ほか 福島で原発事故が起きてからというもの、放射線が人体に与える影響をどう考えるか、という問題が大きく浮かび上がってきた。 とくに低線量被曝(ひばく)については、専門家の評価が大きくわかれる。被曝による健康被害より、見知らぬ土地に避難することで受けるストレスなどの害の方が大きい、という専門家がいる。原発推進側が総じて放射線の害を小さくみてきたのは歴史的事実だ。 一方で、1986年のチェルノブイリ原発事故後の調査結果などをもとに、低線量被曝の危険性を警告する専門家もいる。両者の隔たりは大きく、双方が同じ土俵で直接、意見を交わす場面は従来ほとんどなかった。 書は、昨年7月に

    「低線量被曝のモラル」書評 意見異なる専門家による討論|好書好日
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    synapse_books 2012/05/23
    「低線量被曝のモラル」
  • 内澤旬子「飼い喰い 三匹の豚とわたし」書評 畜産と私たちの現在|好書好日

    飼い喰い 三匹の豚とわたし [著]内澤旬子 世界各地の屠畜(とちく)を取材してきた著者が、3匹の豚を飼い育て、肉にしてべるまでの1年間をたどったドキュメント。千葉県の居酒屋跡の建物を改造して飼い始める。豚に名前をつけ、ペットのようにかわいがる。やがて、殺すことにためらいはないけれど、3匹との関係が切れるのは惜しい、出産をさせてみたい――そんな複雑な気持ちが生まれてくる。 最後、屠畜した肉を焼いて口に入れたとき、「帰って来てくれた」という奇妙な感覚にとらわれる。 千匹単位で飼育する、現代の大規模養豚農家や飼料会社も取材するなど、畜産と私たちの現在を問い直す。 ◇ 岩波書店・1995円

    内澤旬子「飼い喰い 三匹の豚とわたし」書評 畜産と私たちの現在|好書好日
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    synapse_books 2012/05/23
    「飼い喰い 三匹の豚とわたし」
  • 白井千晶「不妊を語る―19人のライフストーリー」 望んでも子ができないつらさ|好書好日

    不妊を語る―19人のライフストーリー [著]白井千晶 書店で、買いづらいがある。別に、妙なでもないし、奇抜な書名でもない。むしろ、まじめな、と言っておかしければ、当たり前のタイトルなのである。 書が、それである。こういうを求める人は、まず、不妊の悩みを抱えているか、その治療に踏みきるかどうか迷っている人、あるいは治療中の人だろう。自分が不妊であることを、人に知られたくない。書店でこの種のをレジに差しだすことさえ、かなりの覚悟を必要とする。そんな馬鹿な、と笑うかたは、結婚して子どもが生まれるのは当然で、しあわせは子を持ち育てること、と疑わぬ人たちに違いない。望んでも子ができない者のつらさを、私たちはどこまでわかっているだろうか。 政府は少子傾向を憂え、夫婦にハッパをかける。かけ声で物事が解決するなら、この世の仕組みは単純だ。書をひらいてみるがよい。恥ずかしさや劣等感にさいなまれな

    白井千晶「不妊を語る―19人のライフストーリー」 望んでも子ができないつらさ|好書好日
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    synapse_books 2012/05/23
    「不妊を語る―19人のライフストーリー」
  • 「わたしの小さな古本屋」書評 居場所見つけた、しなやかな強さ|好書好日

    わたしの小さな古屋 倉敷「蟲文庫」に流れるやさしい時間 著者:田中 美穂 出版社:洋泉社 ジャンル:読書・出版・全集 わたしの小さな古屋―倉敷「蟲文庫」に流れるやさしい時間 [著]田中美穂 実は以前から知ってはいたのです、倉敷にある蟲文庫のことは。女性古書店主ばかり13人を取材した岡崎武志『女子の古屋』(ちくま文庫)で田中美穂さんの写真を見たときから、気になっていました。少女のまま大きくなったように見える田中さんが、男社会の古書店業界でどのように生きているのだろうと。 偏屈なおじさんが帳場でにらみをきかせているような古書店が多いですが、最近は、若い店主が自分の目でセレクトした品揃(ぞろ)えを誇る個性的な店が増えてきました。田中さんのお店もその一つ。天球儀や置物が並ぶゆったりとした空間は、「なんでがたくさんあるんですか?」と問う人がいたというエピソードがあるほど古屋らしくない。

    「わたしの小さな古本屋」書評 居場所見つけた、しなやかな強さ|好書好日
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    synapse_books 2012/05/23
    「わたしの小さな古本屋―倉敷「蟲文庫」に流れるやさしい時間」