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2013年6月4日のブックマーク (19件)

  • 『エッチのまわりにあるもの――保健室の社会学』すぎむらなおみ(解放出版社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋ウェブストアで購入 「無条件の承認でもなく、まったくの否定でもなく」 このの著者であるすぎむらなおみさんは、高等学校に勤務する養護教諭(いわゆる「保健室の先生」)です。定時制高校に赴任し、なかなか心を開いてくれなかった生徒たちと文通を始めたことをきっかけに、生徒たちのさまざまな性に関する経験と悩みに直面し、How-To的な対処法がまったく通用しない中で一体どう考えたらよいのかと、著者は自問を重ねます。その成果がこのであり、取り上げられるトピックは、恋愛とセックスだけにとどまらず、同性愛、外国人生徒の経験する文化的摩擦、(恋人同士の間におこる)ドメスティック・バイオレンス、セクシュアル・ハラスメント、レイプ、等々多岐にわたっています。 実は、私は当初軽く読み流すつもりでこのを手に取ったのですが、いつの間にか引き込まれ、最初から最後までじっくりと読みました。なぜそうさせられたの

    『エッチのまわりにあるもの――保健室の社会学』すぎむらなおみ(解放出版社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
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    synapse_books 2013/06/04
    『エッチのまわりにあるもの――保健室の社会学』
  • 『神の手』久坂部羊(幻冬舎文庫) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

  • 『充たされざる者』カズオ・イシグロ(ハヤカワepi文庫) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

  • 『20歳の自分に受けさせたい文章講義』古賀史建(星海社新書) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「今すぐ書くための文章術」 『20歳の自分に受けさせたい文章講義』では、プロのライターである古賀史健が、今までに培った文章を書くためのノウハウを、惜しげもなく披露している。非常に分かりやすく、時には思い切った切り口でヒントを与えてくれるので、文章が書けない、文章を書くのは苦手だ、と思っている人たちには、嬉しい一冊となっている。 まず「書けない」と思っている人たちを助けるために「頭のなかの『ぐるぐる』を、伝わる言葉に“翻訳”したものが文章なのである。」と解説する。これは谷川俊太郎等の文章の達人たちがエッセイで書いている、自己の内部に存在している言葉にならない未分化の概念を、言葉として表現する「産みの苦しみ」を指している。それを「翻訳」という分かりやすい言葉で説明しているのだ。 「翻訳」するための具体的な方法の一つが「聞いた話を“自分の言葉”で誰かに話す」ことだ。その過程

    『20歳の自分に受けさせたい文章講義』古賀史建(星海社新書) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
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    synapse_books 2013/06/04
    『20歳の自分に受けさせたい文章講義』
  • 『発達障害 ヘンな子と言われ続けて――いじめられてきた私のサバイバルな日々――』高橋今日子(明石書店) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「発達障害当事者の語り手になるということ」 21世紀に入ったころから「発達障害」という言葉が人口に膾炙するようになってきています。教育を専門とする人や実際に経験した人などを除けば、内容的にはまだなじみの薄い言葉かもしれませんが、これは広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー症候群、等)、学習障害(LD: Learning Disorders, or Learning Disabilities)、注意欠陥多動性障害(AD/HD: Attention-Dificit/Hyperactivity Disorder)を含む総称概念です。これらの障害ないし病態の名前も、自閉症などを除けば、それほど古くからあったものではなく、総じて20世紀後半、とりわけ1980年代ごろから提出され目立つようになってきたものです。その結果、従来の障害区分・枠組みは見直しをせまられ、学校教育における適切

    『発達障害 ヘンな子と言われ続けて――いじめられてきた私のサバイバルな日々――』高橋今日子(明石書店) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
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    『発達障害 ヘンな子と言われ続けて――いじめられてきた私のサバイバルな日々――』
  • 『学校を災害が襲うとき 教師たちの3・11』田端健人(春秋社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「震災をプラスに変える」 あの日から二年が経とうとしている。今も引きも切らず出されている3・11関連の中で、書にめぐり会えた読者は幸せである。ここには、東日大震災の経験が明らかにし、今後も伝えていくべき何かが、記されている。それは、一言で言えば、人間の強さであり、もっと言えば、学校という場所によってそれが強められるということである。 書は、2011年3月11日、大地震と大津波に襲われた宮城県沿岸部の学校に勤務していた教員たちに聞き取り調査したインタビュー記録を、再構成したものである。著者田端は宮城教育大学准教授、学校教育の現場をとくにその哲学的側面に関して専門に研究している気鋭の学究である。普段から学校現場を訪れ、現場研究を行なってきた、そのスペシャリストが、2011年夏以降、津波被害の大きかった学校を回り、10名の教師に被災当時の様子を尋ねた「災害エスノグラ

    『学校を災害が襲うとき 教師たちの3・11』田端健人(春秋社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
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    『学校を災害が襲うとき 教師たちの3・11』
  • 『神様からの宿題 』山本育海 (著), 山本智子 (著), 藍原寛子 (著), 藍原 寛子 (編集) (ポプラ社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「それは、みんなへの宿題」 「病気とは人生の夜の側面で、迷惑なものではあるけれども、市民たる者の義務のひとつである。この世に生まれた者は健康な人々の王国と病める人々の王国と、その両方の住民になる。人は誰しもよい方のパスポートだけを使いたいと願うが、早晩、少なくとも或る期間は、好ましからざる王国の住民として登録せざるを得なくなるものである。」 ソンタグは『隠喩としての病い・エイズとその隠喩』でこのように言うのだが、この世のすべての住民が少なくとも一度は経験する(終末期)というだけでなく、この世に誕生するのと同程度に「病い」が平等な体験であるのなら、「病い」はこの世界から消えるのではないだろうか。 『神様からの宿題』。でもその宿題は筆者のいっくんが、一人で片づけなければならないという意味ではない。かのアマルティア・センの恩師でインド詩人のタゴールが語っていたことも思い出さ

    『神様からの宿題 』山本育海 (著), 山本智子 (著), 藍原寛子 (著), 藍原 寛子 (編集) (ポプラ社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
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    『神様からの宿題』
  • 『科学の花嫁 ロマンス・理性・バイロンの娘』 ウリー (法政大学出版局) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 書はラヴレス伯爵夫人オーガスタ・エイダ・キングの伝記である。 彼女はある事情からファーストネームのオーガスタではなく、セカンドネームのエイダと呼ばれた。エイダは生前はバイロン卿の娘として著名だったが、現在では世界最初のプログラマーとして知られている(アメリカ軍が用いているAdaというプログラミング言語は彼女の名にちなむ)。 ロマン派のスーパースターだったバイロン周辺だけあって、何からなにまで極端で登場人物はみな異様に「濃い」。現代の感覚からすると引いてしまう話が多いが、書に書いてあることは事実として実証されたことばかりである。 エイダは生後一ヶ月にして有名人だった。母アナベラが出産早々バイロン邸を出て別居生活をはじめ、それをマスコミがおもしろおかしく伝えたからである。 当時は男尊女卑の時代だったので夫がどんなに浪費家で放蕩者であっても、は耐え忍ぶべきだとされた。

    『科学の花嫁 ロマンス・理性・バイロンの娘』 ウリー (法政大学出版局) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
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    『科学の花嫁 ロマンス・理性・バイロンの娘』
  • 『ドレスを着た電信士マ・カイリー』 松田裕之 (朱鳥社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 女電信士マ・カイリーを軸にアメリカの電信事業の栄枯盛衰を描いたで、読物として抜群に面白い。 マ・カイリーは綽名で、名をマッティ・コリンズという(カイリーは二度目の夫の姓)。彼女は22歳から62歳まで40年間電信士として働き、引退後の1950年、70歳にして『バグ電鍵とわたし』という自伝を出版した。ちょうど電信の時代の幕が引かれる頃だったので、同書は話題になり女電信士マ・カイリーの武勇伝が後世に残ったわけである。 表題にあるバグ電鍵とはヴァイブロプレックス社製の横振り式電鍵のことで、商標が虫(バグ)だったことからその愛称で親しまれた。 バグ電鍵はレバーを右に振ると短符号が、左に振ると長符号が打てるすぐれもので、手首や肘に負担がかからないので女電信士がよく使った。マ・カイリーが愛用したのもヴァイブロプレックス社製である。 彼女はジェシー・ジェイムズ一味が暴れまわってい

    『ドレスを着た電信士マ・カイリー』 松田裕之 (朱鳥社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
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    『ドレスを着た電信士マ・カイリー』
  • 『アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ』 マーチャント (文春文庫) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 先日NHKの「コズミック・フロント」で「古代ギリシャ 驚異の天文コンピューター」という番組が放映された。 1900年にギリシアのアンティキテラ島の沖合で古代の沈没船が発見された。大理石やブロンズの彫像など貴重な遺物が引きあげられ、独立して間もないギリシアに熱狂をもたらしたが、その中に緑青で覆われたブロンズの破片が何片かあった。 ブロンズの破片は「アンティキテラの機械」と呼ばれることになるが、美術品ではなかったので長らく倉庫で腐されるにまかされていた。 しかしデレク・デ・ソーラー・プライスがX線写真をもとに複雑な歯車機構を復元し、カレンダー・コンピュータではないかという説を1974年に「ギリシア人からの歯車」という論文で発表したために一部で注目を集めることとなった。 2005年からトニー・フリースが率いる国際チームがCT画像やCG技術などハイテク調査をおこない、太陽と

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    『アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ』
  • 『ことり』小川洋子(朝日新聞出版) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「怖い声が聞こえる」 「ことり」とは「小鳥」のことだが、平仮名になっていると擬音語の「ことり…」も連想されるだろう。さらに作品の後半では、ある禍々しい意味がちらっと示される。私たち読者は早くこの胸騒ぎから解放されたいのだが、実はこうした胸の不安と付き合い続けることもこの作品では大事になる。 やさしいのか怖いのかわからない作品世界は小川洋子の得意とするところだ。この小説も冒頭からして、ただならぬ気配を漂わせる。何しろ、最初に登場するのは死体なのである。しかも、どうやらこれは主人公の死体。死体の検分からはじまるミステリー臭いっぱいの世界が、歯切れの良い、緊張感に富んだ語り口で描き出される。 それで、どきどきしながら身構えていると、予想に反して殺人はおこらない。怨念や悪意ともあまり関係がなさそう。どちらかというとおだやかな善意に満ちたような、やさしい眼差しで児童たちを見守る

    『ことり』小川洋子(朝日新聞出版) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
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    『ことり』
  • 『海のいる風景 重度心身障害のある子どもの親であるということ』児玉真美(生活書院) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「親子の間に横たわるもの」 子を授かると、新品の電化製品を購入するかのごとく、どこにも欠陥がなければいいとか、返品不可能なのだから、などと思ってしまう。重い障害のある児は生まれない方がいいとさえ言われてきた。だが、社会との接点で障害は生じる。社会の在り様や人々の接し方次第で、障害はほとんど気にならなくなり、まったく「なくす」こともできるのに、まるで障害を持って生まれたその子が悪いかのように、産んだ母親が悪いかのように、考え考えられてしまうのは、障害の何たるかを知らないからだ。親は秀でた子を求め、劣っている子は疎む。醜いことだが、これは我々の能と社会に組み込まれた愚かさの一部である。そうではないことを知っている人は、このような書き出しをしてしまうことを許してほしい。現実問題として、この競争社会を生き抜くうえでの損得を考えてしまうと、親はわが子の生まれつきの性能では満足

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    『海のいる風景 重度心身障害のある子どもの親であるということ』
  • 『指名ナンバーワン嬢が明かすテレフォンセックス裏物語』菊池美佳子(幻冬舎) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 テレフォンセックスと聞いて何をイメージしますか? 私が思い出すのは「セックス・アンド・ザ・シティ」のワンシーン。ニューヨーク在住の独身女性キャリーが元彼とセクシーな言葉の応酬で楽しむ場面です。正直思いました。電話でセックスして何が楽しいのか。そこまでするアメリカ人って当に性欲が強いんだな、と。 なので『指名ナンバーワン嬢が明かすテレフォンセックス裏物語』というこののページを開く直前までこう考えていました。高いお金を払ってまでテレフォンセックスしたいだなんてよっぽど特殊な人たちの物語なんだろうな、と。その通りでした。このに出てくるお客さんはみんな変態でした。それも私たちの想像を絶する超一級の変態だったのです。 この世における人類は、来持っている能力の五~七パーセントしか発揮できていないという説があります。それと同じように、この世における男女は、来持つ性癖の五~

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    『指名ナンバーワン嬢が明かすテレフォンセックス裏物語』
  • ホント!? 『反省させると犯罪者になります』 - HONZ

    犯罪者を反省させればさせるほど、累犯者が増える。それどころか、ちょっと悪いことをした人を反省させることを繰り返していけば、その家系からいずれ犯罪者が生まれるかもしれない、と著者は主張する。 うそだろ? とまず思う。しかし書を読み進めれば、多くの人が「体感」として腑に落ちるはずだ。 ポイントは「反省すると犯罪者になる」ではなく、「反省させると……」だということ。そしてその「反省させる」とは、具体的には、子どもの頃から(少なくとも私は)言われ続けた「言い訳するな! 反省しろ!」といった態度のことを指す。こういったシチュエーションでの「反省させる」には、必ずといっていいほど「言い訳するな」と「相手の気持ちになって考えろ」という言葉がセットになっているが、何よりこれがいけない、というのだ。 著者はLB指標の刑務所で更生支援をしている。HONZの読者ならおなじみの言葉かも知れないが、Lはlongの

    ホント!? 『反省させると犯罪者になります』 - HONZ
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    『反省させると犯罪者になります』
  • 『世界の美しい欧文活字見本帳 ― 嘉瑞工房コレクション』嘉瑞工房(グラフィック社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「良い組版ってなに?」 パソコンとともにワープロソフトが普及し、だれもが自分で文字を組んで文章を発表できるようになった。文章に合ったフォントを選び、強調したい部分には「太字」を使い、ちょっと窮屈だなと思ったら行間をあけるなり改行するなり、色々と工夫をこらす。 こんな、昔は印刷会社などのプロに任せていた組版作業が、いまや会社や自宅のパソコンで手軽にできるようになった。キーボードを叩くだけで文字が勝手に並んでくれ、お利口さんのワープロソフトのおかげで、禁則処理のようなややこしい作業も自動で実現される。 「良い組版とか、綺麗で読みやすい文字組みとかって聞くけど、そんなの見てもわかりません。とりあえずワープロソフトに任せておけば大丈夫でしょ」 これが多くの人の正直な感想ではないだろうか。 会社の会議なんかで配布する資料程度ならそれでもいいとは思うが、何度も読み返してほしい書籍

    『世界の美しい欧文活字見本帳 ― 嘉瑞工房コレクション』嘉瑞工房(グラフィック社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
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    『世界の美しい欧文活字見本帳 ― 嘉瑞工房コレクション』嘉瑞工房
  • 『ぼくは猟師になった』千松信也(新潮文庫) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 狩猟というと「特殊な人がする残酷な趣味」といった偏見を持っている人が多いです。 また、狩猟をしていると言うと、エコっぽい人たちから「スローライフの究極ですね!」などと羨望の眼差しを向けられることがあります。でも、こういう人たちは僕が我が家で、大型液晶テレビでお笑い番組を見ながら、イノシシ肉をぶち込んだインスタントラーメンをがつがつ頬張っているのを見ると幻滅してしまうようです。 まえがきにこのようにあったので、文に入るまえに、都市生活者であるところの私の日常とはだいぶ隔たりのある「狩猟」というものへの構えは吹き飛んでしまった。 著者は、大学在学中に狩猟免許を取得し、運送会社で働きながら猟師を続ける1974年生まれ。京都在住。 この情報と、タイトルをはじめとするぜんたいの佇まいからして、ここに書かれてある「狩猟」が、「特殊な趣味」でも「究極のエコ」でもないことは想像さ

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    『ぼくは猟師になった』
  • 『気仙川』畠山直哉(河出書房新社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「見えること」と「見えないこと」のはざまに立つ もっと早くにこの写真集を取り上げたかったのに、時間がとれないまま11月になってしまった。もっと早くに、と思ったのは、東日大地震の惨状を写した写真への世間の関心が、日に日に遠ざかっていくように感じられたからだったが、出てから2か月近く経ったいまこれを書こうとして、出版直後とは別の思考が自分のなかに延びているとも感じている。 B5サイズの横幅をカットした縦長のだ。ページを捲ると上半分は白い余白で、文章だけがあり、このようにはじまる。 「何かが起こっている。いまここではない遠いところ、ほら懐かしいあの場所で、何かとてつもないことが起こっている。その様子がいま僕のいるところからでは、よく見えない」 「よくわからない」ではなく、「よく見えない」と書かかれていることに注視しよう。書のテーマがここに集約されている。この世には「見

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    『気仙川』
  • 『随筆 本が崩れる』草森紳一(文春新書) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 ―「書刑または屈葬」の現場検証― 父は、貧乏性で、滅多に単行を買わなかったが、日課の屋通いは死ぬまで続いた。耄碌しても、徘徊の行き先は屋と決まっていたから、警察のお世話にもならずに済んだ。その父が、早晩死の床となる枕の横に置いていたのは、『ゴキブリ三億年のヒミツ』(安富和男著 ブルーバックス)だった。害虫や寄生虫を偏好し、何よりもブラック・ユーモアを好んだ父らしい選択だ。もっとも、死後、書棚を整理したら、『ゴキブリ…』は二冊出てきた。後にも先にも、二度買いしてしまったはそれ一冊らしい。貧乏性の父も耄碌には勝てなかったのかと思うと哀れだが、それはそれで『ゴキブリ…』への執心が惻惻と感じられ、一生の終い方としては悪くない。 こんなことを思い出したのも、『が崩れる』を読んだからだ。 2008年春、草森紳一は他界した。当時の新聞でも日付がまちまちなのは、他でもない臨

    『随筆 本が崩れる』草森紳一(文春新書) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
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    『随筆 本が崩れる』
  • 『ぼくが宇宙人をさがす理由』鳴沢真也(旬報社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 あなたは宇宙人の電波を受信したことがありますか。衛星放送に偶然別の惑星の番組が映ったとか、ラジオから聞き覚えのない言語が流れてきたとか、もしそんなことが起きたら。速やかに「地球外知的生命の発見後の活動に関する諸原則についての宣言」に基づいて行動しましょう。まず、できるだけ多くの天文台に連絡して電波が送られてきた方角を観測してもらう必要があります。当に「地球外知的生命体」の仕業かどうか証明してもらうのです。証明されるまではむやみに公表してはいけません。矢追純一さんのようにテレビに出て喋ったりしては絶対にダメですよ。 そして、それが「物」だと証明されたら。所属する国家や国連事務総長に連絡しましょう。どのように応答するか国際協議で決まるまで待つのです。軽率な行動は慎んでください。勝手に人差し指と人差し指を合わせたり一緒に自転車に乗ったりしないようにしましょう。 この決ま

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    synapse_books 2013/06/04
    『ぼくが宇宙人をさがす理由』