ドレイクが吸って吐く時代の空気、雰囲気、そのようなもの ドレイクのニュー・アルバム『Take Care』からのリード・トラック、数々のアンサー・ソングを誘発した“Marvins Room”は、2011年の有力なベスト・シングル候補に挙げられるだろう。LAにあるマーヴィン・ゲイ所有のスタジオでレコーディングされたこの曲では、恋に破れて失意にくれる男がクラブで泥酔したあげくフラれた女に電話をかけて延々クダを巻くという、なんとも痛々しく情けないシチュエーションがリアリティーたっぷりに描かれているのだが、そんな生々しい題材を幻想的なサウンドスケープで聴かせているのがプロデューサーのノア“40”シェビブだ。嫉妬心と喪失感に苛まれた主人公が酩酊しながら夜の闇のなかに吸い込まれていく様を、メランコリックな叙情詩へとまとめ上げたその手腕は見事というほかない。 アンビエントでアトモスフェリック ドレイクには