東日本大震災によって、日本の電力システムがいかに脆弱かが明らかになった。 現状の電力供給体制では、今夏の電力需要を賄えない恐れがある。 しかし、供給を増やすことは容易ではない。原子力発電所の増強は、近隣住民の理解を得るのが難しい。とはいえ、火力発電に頼り、地球温暖化ガスを増加させるわけにもいかない。 では、どうするか? 大学やシンクタンクの研究者、エネルギービジネスに携わるビジネスパーソンに、電力需給ギャップ問題の解決策を提示してもらう。 第3回は 株式会社富士通総研 経済研究所 主任研究員 生田 孝史 東日本大震災に伴う原発事故被害によって、2030年までに14基の原子力発電所を新増設して電力供給力を増強するシナリオは破綻した。好むと好まざるとにかかわらず、原発新増設ゼロのシナリオを想定した電力需給対策を真剣に考えるのが賢明である。 当面は、東京電力管内で今夏の大規模停電や電力使用制限を