前回の記事はこちら ── 著書の『買い物する脳』(早川書房)では、日本、米国、英国、ドイツ、中国の5カ国で計2000人余りの被験者を集めて行ったニューロマーケティングの興味深い実験結果が紹介されています。あれほど大がかりな実験に取り組んだのはなぜですか。 マーチン・リンストローム 第1の理由は、「ニューロマーケティング」と呼ばれる新たな調査方法が信頼できるものなのかどうかを自ら確かめたかったからです。 人間の行動の85%は無意識のうちに行われています。つまり、我々の行動の大半は潜在意識によって決定されている。消費者の行動を本当に理解しようとすれば、潜在意識を調べることが必要になります。 ところが、現在のインタビューやアンケートによる調査では、潜在意識までは把握できない。それをニューロマーケティングによって解明できるのかどうかを確認したかったわけです。 全く正反対の反応を被験者の脳が示す も