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ブックマーク / www.webchikuma.jp (10)

  • ヨーロッパ近世はなぜ中世でもなければ近代でもないのか|ちくま新書|岩井 淳|webちくま

    ヨーロッパにおいて近世とはどういう時代か、中世とも近代とも異なるその独自性とはどのようなものか。主権国家と複合国家の相克という観点から、近世という時代の多様で複雑なうねりを描き出すちくま新書8月刊『ヨーロッパ近世史』(岩井淳著)より、「はしがき」を公開します。 「ヨーロッパ近世」とは、どのような時代だろうか。近世とは、日史なら主として江戸時代をさすが、ヨーロッパ史では通常、15、16世紀の大航海時代や宗教改革に始まり、18世紀後半のイギリス産業革命とフランス革命までの時代を念頭に置くことが多い。しかし振り返ってみると、この「近世」(英語ではearly modern と言う)という時代区分は、それほど古くからあったわけではない。19世紀までの主要な歴史家は、ヨーロッパ史の時代区分として古代、中世、近代という三分法を用いており、そこでは、大航海時代や宗教改革から始まる時代は、中世とは区別され

    ヨーロッパ近世はなぜ中世でもなければ近代でもないのか|ちくま新書|岩井 淳|webちくま
    takahiro_kihara
    takahiro_kihara 2024/08/28
    近世はearly modernなのか。
  • 四半世紀の時を超えた謎解き|ちくま学芸文庫|水野 太貴|webちくま

    認知科学の第一人者である今井むつみさんが言語習得の謎に取り組んだデビュー作を、ちくま学芸文庫として刊行しました。専門的な内容のですが、自他ともに認める「今井むつみファン」である「ゆる言語学ラジオ」水野太貴さんがその面白さをみごとに解説してくださいました! を手に取る前にぜひご一読ください! フィクションの世界ではしばしば、「ある未解決事件の犯人を追いかけ続けている刑事」が見受けられる。私にとって書の著者である今井むつみ先生は、そういう人である。今井先生が追いかけ続けている事件とは、「ヒトが言語を習得すること」だ。どの人も経験するので当たり前のことのように思えるが、立ち止まって考えると不思議なことはいっぱい起きている。例えば私たちは、親から単語の意味や日語の文法をはっきり教わったわけでもないのに、自然と言葉を使いこなせるようになる。そして、そのメカニズムは完全には解明されていない。で

    四半世紀の時を超えた謎解き|ちくま学芸文庫|水野 太貴|webちくま
  • 第4回 九鬼周造『人間と実存』|日本思想史の名著を読む|苅部 直|webちくま

    幻の主著? 九鬼周造(一八八八・明治二十一年~一九四一・昭和十六年)と言えば、よく名前が挙げられる著書は『「いき」の構造』(一九三〇年)である。日文化の伝統を貫いて存続している「いき」の美意識について考察をめぐらしたであり、最初の単著であった。一九七九(昭和五十四)年に多田道太郎による解説つきで岩波文庫に収められ、ずっと版を重ねているから、これが代表作として扱われるのも不思議はない。 だがそのことが、哲学者としての九鬼のイメージをやや歪めてしまったようにも思われる。九鬼は文部官僚の大物であった九鬼隆一の息子として恵まれた環境に育ち、東京帝国大学を卒業したのち、八年間ものあいだ、フランス・ドイツで私費による留学生活を送った。その間、アンリ・ベルクソンやマルティン・ハイデガーといった哲学者のもとで学び、学界で注目されるとともに、「バロン・クキ」――たしかに父は男爵であったが、正確には爵位を

    第4回 九鬼周造『人間と実存』|日本思想史の名著を読む|苅部 直|webちくま
  • 絶望を言葉によって塗り替える|単行本|文月 悠光|webちくま

    PR誌『ちくま』2018年3月号より詩人の文月悠光さんによる西加奈子さんの新作短編集『おまじない』への書評を転載します。ひとにとっての「おまじない」という言葉の意味に着目した詩人ならではの書評をぜひご覧ください。 「女の子なのにやめなさい」「それじゃ女として幸せになれないよ」――耳に痛い言葉を思い起こす。母親から、過去の恋人から、あるいは自分自身から幾度となくそれを投げかけられた。「言葉って惨いな」と思う。温かい「言祝ぎ」になる反面、生き方を縛る「呪い」にもなるのだから。 書は、女性の「生きづらさ」を切り取った八篇から成る短篇集。性被害に遭った少女、「子どもがかわいそう」という声にとらわれた妊婦、自ら「ブス」と称してピエロ役に徹するキャバクラ嬢など、語り手は全員女性である。 家族や身近な人の期待に敏感なあまり、彼女たちは悩む。自分は「女の子」としてどうなのか。娘として、母としてはどうか。

    絶望を言葉によって塗り替える|単行本|文月 悠光|webちくま
  • 哲学対話、ここにはじまる|ちくまプリマー新書|岡本 裕一朗|webちくま

    4月刊行のちくまプリマー新書『はじめての哲学的思考』(苫野一徳著)について、哲学者の岡裕一朗さんに解説をいただきました。 「はじめての~」というタイトルをもったは、哲学にかぎらずけっこう出版されている。たしかに、この手の入門書では、基的な知識が説明されたり、易しい言葉で表現されたりしてはいる。しかし、初学者がこうした書物を読んでも、次にどうしたらいいか、たいてい途方に暮れてしまう。 たとえばフロイトの『はじめての精神分析学(精神分析入門)』を読むと、彼の分析の巧みさに驚嘆するに違いない。とはいえ、彼の「夢解釈」がどんなに見事でも、いざ読者が同じようにやろうとすると、まったく手に負えないのだ。おそらく、著者と読者の差を実感する結果に終わるだろう。こうした経験は、フロイトのだけではない。その点では、予備知識をほとんど持たない読者に、「はじめての~」を提供することが、いかに困難であるか理

    哲学対話、ここにはじまる|ちくまプリマー新書|岡本 裕一朗|webちくま
    takahiro_kihara
    takahiro_kihara 2021/10/22
    "欲望相関性の原理"
  • 【第124回】小池百合子はモンスター?|世の中ラボ|斎藤 美奈子|webちくま

    ただいま話題のあのニュースや流行の出来事を、毎月3冊の関連を選んで論じます。書評として読んでもよし、時評として読んでもよし。「を読まないと分からないことがある」ことがよく分かる、目から鱗がはらはら落ちます。PR誌「ちくま」2020年8月号より転載。 7月5日の東京都知事選で予想通り、小池百合子知事が再選された。得票率59.7%。圧勝といえるだろう。 ところで都知事選の直前(5月30日)に出版された、石井妙子『女帝 小池百合子』が20万部のベストセラーになっている。著者は一躍時の人となり、新聞、雑誌のインタビューに引っ張りダコだ。SNSも絶賛の嵐。特に「リベラル系男性論客」の激賞ぶりはスゴかった。せっかくなのでツイートの一部を紹介しておく。 事実が虚飾をはいでいくサスペンスのようなノンフィクションです。(略)都知事選に向けてぜひにとお勧め。(参院議員・有田芳生) 「小池百合子」という人物

    【第124回】小池百合子はモンスター?|世の中ラボ|斎藤 美奈子|webちくま
  • 【第117回】東京オリンピックは無理だらけ|世の中ラボ|斎藤 美奈子|webちくま

    ただいま話題のあのニュースや流行の出来事を、毎月3冊の関連を選んで論じます。書評として読んでもよし、時評として読んでもよし。「を読まないと分からないことがある」ことがよく分かる、目から鱗がはらはら落ちます。PR誌「ちくま」2020年1月号より転載。 二〇二〇年。東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京五輪と略す)の年である。どうせ正月早々、メディアは五輪五輪と大騒ぎし、それが開幕日(閉会後?)まで続くのだろう。 二〇一三年九月、ブエノスアイレスで開かれたIOC総会で、二〇年の五輪開催地が東京に決定してから六年。誘致演説で安倍晋三首相が「(福島第一原発の)状況は完全にコントロールされている」と述べたときから、すでにミソがついていた東京五輪だが、その後もトラブルは続いた。建設費などの問題で新国立競技場のコンペが白紙に戻り(一五年七月)、デザインの盗用疑惑でエンブレムも白紙撤回された(一

    【第117回】東京オリンピックは無理だらけ|世の中ラボ|斎藤 美奈子|webちくま
    takahiro_kihara
    takahiro_kihara 2020/08/05
    コロナ後の分析もほしい。
  • ジェイン・ジェイコブズなら何と言ったか|ちくま大学|塩沢 由典,宮﨑 洋司,平尾 昌宏|webちくま(1/3)

    みなさん、こんにちは。ちくま大学事務局です。弊社では2014年から「ちくま大学」と銘打って、ゼミ形式の講演会を開催しています。を読むのは素晴らしいことですが、実際に書き手の方に会って、直接話を聞き、自分から質問するという体験には、を読むのとはまた違う、格別の良さがあります。こちらでは、現在開講中の講座の様子をダイジェストにてお届けします。 さて、現在「ちくま大学」では、アメリカの運動家・思想家ジェイン・ジェイコブズの生誕百年を記念して「ジェイン・ジェイコブズの思想と行動」という講座を開催しています。ジェイコブズの名前をご存知ない方も多いと思いますが、都市開発や建築の分野では半ば神様のように扱われている存在で、国やディベロッパーが進める再開発計画に異を唱え、20世紀の都市計画のあり方を根から変えた人物とまで言われています。このジェイコブズの思想と行動が、近年、都市開発の世界だけではなく

    ジェイン・ジェイコブズなら何と言ったか|ちくま大学|塩沢 由典,宮﨑 洋司,平尾 昌宏|webちくま(1/3)
  • 私たちは、今でも棚をつくり続けている 「増補 書店不屈宣言」文庫版あとがき|ちくま文庫|webちくま

    書店の現場はいま、どうなっているのか。四十数年、書店の現場に立ち続ける著者とその同僚たちが立ち向かう書店の現状を描き出した単行「書店不屈宣言」。三年の時を経て、さらなる大きな変化を反映して増補改訂した文庫版のあとがき。 ジュンク堂池袋店は二〇一七年八月二八日で開店二〇周年を迎えた。 戦後、日の書店はほぼ四半世紀ごとに変容してきた。それは一九五三年の再販制の施行からスタートする。まず第一期、駅前や繁華街にある主に個人経営のこぢんまりした屋さん、教科書を扱ったりしていて地域密着型。第二期、七〇年代後半頃からロードサイドの中・大規模ストアや駅ビルにチェーン書店が入り始めた。商圏が広がる。ほぼ同じ頃大都市に大規模書店が現れる(リブロ七五年、ジュンク堂七六年)、さらに商圏が広がる、経営が個人から企業になっていく。そして第三期、九〇年代中頃のバブル崩壊を経て、出版市場は下降の一途をたどり、二〇

    私たちは、今でも棚をつくり続けている 「増補 書店不屈宣言」文庫版あとがき|ちくま文庫|webちくま
  • 第14回 本屋の複合化|冷やかな頭と熱した舌|松本 大介|webちくま(1/2)

    全国から注目を集める岩手県盛岡市のこだわり書店、さわや書店で数々のベストセラーを店頭から作り出す書店員、松大介氏が日々の書店業務を通して見えてくる“今”を読み解く! ◆さわや書店ホームページ開設されました! http://books-sawaya.co.jp/ ◆さわや書店フェザン店ツイッター https://twitter.com/SAWAYA_fezan だけ売っていては駄目? 「書店の複合化が進んでいる」と業界では言われている。 だけ売っていては駄目だという意見が大勢をしめる。事実、1996年をピークに書籍の推定販売額は右肩下がりだ。は利益率がとても低い。1000円のが売れたとして、屋には200円ほどの粗利が入る。だがそこから家賃、光熱費、人件費などの諸経費を引いていくと、せいぜい数十円ほどの純利益が残ればいいほうだ。 いま「屋」という言葉を聞いて、頭に浮かぶイメージは

    第14回 本屋の複合化|冷やかな頭と熱した舌|松本 大介|webちくま(1/2)
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