「航宙機及び航宙母艦の概念検討の契約希望者募集要項」 こんな入札が公示されたのは2月17日のことだった。発注元は防衛装備庁の「防衛イノベーション科学技術研究所」。 「航宙機」に「航宙母艦」。見慣れない言葉が目を引く。政府は既に、航空自衛隊の宇宙空間での能力を強化して2027年度までに「航空宇宙自衛隊」へと名称を変更する方針だが、その構想の中でも出ていない。 ネットでは公示直後から、官庁の公式文書にこうした語句が載ったことで盛り上がった。宇宙空間での架空の戦闘を描くSF小説やアニメで以前から出ていた用語だから、というだけではない。空母(航空母艦)という実在する艦種に似た名称を、防衛省が公式文書で使ったことも要因となっている。 日本が空母を保有するかどうかは長年の議論の的になってきた。戦争放棄を定めた憲法9条に基づき、日本政府が連綿と続けてきた解釈が背景にある。専守防衛に反する攻撃的な装備を自
