アジア最終予選の最終戦、カザフスタン戦を完勝で締めくくった日本は、アジア第3代表決定戦に臨むこととなった 【写真は共同】 品川のホテルはその日、前日までのざわめきが嘘のように静まり返っていた。滞在中のメーンゲストがホテルを出払っていたからである。 1997年11月9日。前日にワールドカップ・フランス大会アジア最終予選の最終戦を完勝で締めくくった日本代表のスタッフと選手たちは、16日に行われるアジア第3代表決定戦に向けて英気を養うため、久しぶりのオフを過ごしていた。 監督の岡田武史は家族とともに横浜に出掛け、息子の希望で宮崎駿監督の『もののけ姫』を映画館で観賞した。 20歳の司令塔、中田英寿は友人たちと東京ドームに足を運び、アーネスト・ホーストが初のチャンピオンに輝くK−1グランプリを観戦した。 9月に帰化が認められ、日本代表の一員となった呂比須ワグナーは、ホテルに残って静養に務めていた。前