尖閣諸島の問題は、遂に日本と中国の関係を最悪にしかねない状況を惹起した。政治家の思慮不足が招いた憂慮すべき状況である。この事によって損害を受ける人達は日中両国において相当数に及ぶだろうが、どちらかと言えば中国に進出している企業の多い日本側の方が深刻だろう。関与した政治家は、その事の責任をよくかみ締める必要がある。 日本の外交下手は今に始まった事ではないが、戦後はずっと対米関係だけを無難にこなしていれば済む状況だったので、あまり心配する事はなかった。中国との関係も基本的にはニクソンの後について行くだけでよかったわけだ。戦前はと言えば、「外交で解決できないのなら、戦争で解決するしかない」という単純な二者択一論で全てが語られた上に、小村寿太郎や幣原喜重郎の例を引くまでもなく、少しでも妥協をすると「軟弱外交」として民衆に糾弾されるしかなかったので、外交手腕を磨きたくても磨ける筈がなかった。 しかし