著者の山岸俊男先生は、集団主義、武士道といった日本人観が誤りでにあることを主張し続ける社会心理学者。今回は、アメリカの社会学者、メアリー・ブリンストンとの対談の形で、日本社会の停滞の原因を探ります。 日本人のリスク回避傾向は世界一だそうで、内向き、上昇志向の欠如などと併せて世界的にも注目されています。本書のメインのテーマは、「日本人はなぜリスクを避けるのか」ということ。その回答は、日本がアメリカなどと比べて逆にリスクが高い社会だから、という意外なものです。 アメリカでは、国民皆保険がない、解雇基準が甘いなど、日本よりリスクが高そうに見えますが、再チャレンジや自己PRが好まれチャレンジが報われる社会のため危機感は低いといえます。 一方、日本では新卒就職でセカンドチャンスがない、自己主張が嫌われるなど、人と違ったことをすること自体がリスクです。社会自体が「リスクを取ってチャレンジする人は報われ