1999年3月15日、午後1時ごろ。北アイルランド、アーマー州、ラーガンで、一台のシルバーの車が爆発した。車の持ち主はローズマリー・ネルソン。40歳で、3人の子の母親だった彼女は、「北アイルランド紛争」という状況のなか、一方の勢力から「連中のお抱え」と見なされる弁護士として著名な存在だった。 「紛争」という局面が終わって、「紛争」の時代に発生した、特に真相が解明されるべき4つの殺人事件が選ばれた。刑務所内で囚人が囚人に射殺されるという事態となったビリー・ライト殺害事件、武装組織に属していない一般市民のカトリックの青年が、警官の見ているところでプロテスタントの暴徒にぼこぼこにされたロバート・ハミル殺害事件、そしてこのネルソン弁護士爆殺事件と、もうひとつ、ナショナリストの被告の弁護で「腕利き」として知られていたパット・フィヌケン弁護士射殺事件である。このうち、フィヌケン事件はインクワイアリの条