安倍政権が、教科書検定制度の見直しを目指す。その背景には、現行制度では社会科を中心に多くの教科書にはびこる自虐史観の記述に歯止めをかけることができず、改正教育基本法に掲げた愛国心の育成を阻害しているとの考えがある。その源流ともいえるのが、近現代史の教科書記述で近隣アジア諸国への配慮を求めた「近隣諸国条項」だ。 条項導入のきっかけは昭和57年の高校教科書検定で、当時の文部省が、中国華北への日本の「侵略」を「進出」に書き換えさせたと報道されたことだった。実際には誤報だったが、中国と韓国が強く反発して外交問題に発展したため、沈静化を図ろうと検定基準に付け加えた。 これを機に、「慰安婦問題」や「南京事件」など主に歴史認識の問題について、自虐史観の記述が急増していく。 当時、文部官僚として条項導入に携わった元愛媛県知事の加戸守行氏は「条項導入で、省内は中国と韓国に関する記述はアンタッチャブルですべて